63. シロの大冒険(4)
「申し訳ございませんーー!」
シロは、土下座して許しを乞うアムルー冒険者ギルド長を前にしている。
「許してあげてもいいけど、僕のお願い聞いてくれるかな?」
「なんなりと!」
アムルー冒険者ギルド長ブルース·モレルは、頭を床に擦り付けながら返事をする。
「そしたら、僕を、ご主人様と同じ、B級冒険者にしてくれるかな?」
「ご主人様と同じ? B級冒険者?」
「そう。僕のご主人様は、アムルー冒険者ギルド所属のB級冒険者だったんだよ!」
「な…なんと、それは本当ですか?!」
「うん、だから、アムルー冒険者ギルド所属の人には優しいんじゃない、それ以外の冒険者には鬼畜だけど」
「成程、ウチのギルド所属の者が、ダンジョンで死んでスケルトンになってしまったと……」
ギルド長は、全ての合点がいったようだ。
「それで合ってると思うよ。ギルド長の名前は覚えてなかったけど、S級パーティーの『鷹の爪』の事は、知ってたし」
「という事は、『鷹の爪』がS級パーティーになった5年前までには、まだ生きていてB級冒険者をやっていたと……」
「そうじゃない」
シロは、軽い感じで頷いた。
「誰でしょう……うちは大世帯だから、B級冒険者もたくさんいるし、ダンジョンで死ぬ者も多いですし……名前は分かりますかな?」
ギルド長は考えながら、シロに質問する。
「それが、スケルトン歴が長過ぎて、脳ミソが無い時間長かったので、忘れちゃったみたいなんだよね!」
シロは、軽い感じで話す。
「さ……さようで、それならば、金の魔王がアムルー冒険者ギルド所属の冒険者だったというならば、最早、私達とは仲間です。
これからは、アムルー冒険者ギルドは、金の魔王と敵対は致しませぬ!
ハルマン王国にも、金の魔王と敵対せぬように伝えておきます!」
ギルド長は、脳ミソの話はスルーして、自分達と仲間だと認めてくれた。
「頼むよ。今回みたいにお金に目が眩んで、僕達を売らないでね!」
「ハッ! 国王陛下へは、重々申しておきます!」
ギルド長は、深く頭を下げた。
「それから、アムルーダンジョンには、僕達以外の魔王が居るって話は聞いてる?」
「『鷹の爪』からは、報告を受けていたのですが、それは本当でしたか……」
「アノ魔王達には、気をつけたほうがいいよ。あの人達、人間を殺すのなんとも思ってないから」
シロは、少しだけ怖い顔をして忠告する。
「それも国王陛下に伝えておいた方が良さそうですな……」
ギルド長に、本物の魔王の脅威が伝わったようだ。
「僕達と違って、本物の魔王だからね」
「ハッ! そう言えば、今回のレスター王国の軍隊には聖女がいますが、大丈夫なのですか?」
「全く問題ないよ! 何せウチのご主人様は、勇者様だからね!
光魔法効かないし、逆に光魔法は得意だから、『鷹の爪』にも話したけど、最近、魔王軍の1万のゴースト軍団を、ほぼ一人で全滅させたんだから!」
ご主人様 大好きなシロは、無い胸を張り、エッヘンと自慢する。
「なんと……スケルトンなのに、勇者……」
「そう! 今は、スケルトンじゃ無くてリッチーだけど!」
と、そんな世間話をしていたら、突然、勢いよく、雑談室の扉が開いた。
「大変です! 今、ラインハルトさんのお使いから帰ってきたら、エントランスにいるB級以下の冒険者達が、みんな失禁して倒れていて、大惨事になってます!」
ラインハルトに頼まれたのであろう下っ端冒険者が、片栗粉を握り締め報告してきた。
「そりゃあ、そうなるわな……」
「そうね。私達程の実力でも、四つん這いにさせられたのに、B級冒険者以下では、あのプレッシャーは耐えられないわね」
「我が神、シロ様は偉大です!」
『鷹の爪』の面々が納得している。
ケンジが少しおかしな事 言ってるけど、いつもの事であろう。
多分、人型になったシロを見て、ケンジの中の何かが変わったのかもしれない。
「アッ! 片栗粉来たね!
それじゃあ、僕、ご主人様に報告しないといけないから帰るね!
これアナスタシアの服! それから、B級冒険者の件、宜しく頼むよ!」
「次にお会いする時までに、ギルドカードを用意しておきます!」
ギルド長は土下座したまま、深々と頭を下げた。
「了解!」
シロは、元気に返事をする。
そして、いつの間にか完成させていた服をアナスタシアに渡し、まるで、突風のようにアムルー冒険者ギルドから去っていった。
シロが去った後、アムルー冒険者ギルドのエントランスが、暫くオシッコ臭かったのは、また別の話。
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