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60. シロの大冒険

 

 俺達は、片栗粉を求めて第5階層に来ている。


「何か、おかしいな……」


「人っ子一人いませんね……」


 シロが、俺に回答する。


 何故だか分からないが、第5階層には、人が一人もいないのだ。


「どうしましょう、上の階層に行ってみますか?」


「そうするしかないよな……」


 俺とシロとオリ姫は、第4階層に上がったが、やはり冒険者は一人もいなかった。


「これはおかしいな……」


「アムルーダンジョンで、何か起きてるんですかね?」


「取り敢えず、第1階層まで上がってみるぞ!」


「了解です!」


 結論を述べると、第1階層には人がいた。

 しかし、人といっても、いつもと毛色が違う兵士がたくさんいた。


 俺達は、様子を探る為に、大々的な行動には出ていない。


「アムルー冒険者ギルド所属でない冒険者と、知らない国の兵士がたくさんいるな……」


「この国の兵士ではないのですか?」


「違うな。ハルマン王国の兵士なら、見れば分かる。なにせ俺は、ハルマン王国の国民だったしな!」


「魔物なのに?」


「魔物ちゃうわい! 俺は今でも、気持ちは人間だ!」


「分かってますよ。言ってみただけです」


 絶対、シロにからかわれている気がする……。

 少し、イラッとしたが、脳ミソが無い俺は、すぐに気持ちが切り替わる。


「どうしようか……片栗粉は欲しいけど、不穏な空気はするし、これじゃあな……」


「僕が偵察に行きましょうか?」


 シロが、俺に提案してくる。


「お前、魔物だろ?」


「魔物に見えます?」


「見えないな……」


 全く、魔物に見えない、シロが羨ましい。

 なんで、人間に戻りたい俺が、いつまで経っても人に戻れなくて、シロだけが人化できるんだ!

 俺は、またまたイラッとしたが、脳ミソが無いので、すぐに気持ちが切り替わって、次の疑問をシロに投げかける。


「だけど、第1階層にいるのは、アムルー冒険者ギルド所属の冒険者じゃないぞ?」


「そしたら、アムルー城塞都市に行って、聞き込みしてきます!」


「な……何だと!」


「だから、外の世界を見てきます!」


「お前、そう言って、俺を裏切る気だな!」


「僕は、ご主人様を裏切りませんよ!

 なんたって、僕はご主人様の一番の下僕ですから!」


「そうか、そうだよな……」


 シロが裏切らないと分かっているのだが、それでも不安に感じてしまう。


「それに、序でに片栗粉も買ってきますから!」


「そうか。それならお願い!」


 骨と皮しかないリッチーの俺は、肉料理。それも、お弁当で好きなオカズNo.1である、鶏の唐揚げの誘惑には抗えなかった。


「それじゃあ、早速、行ってきます。

 ご主人様は、安全そうな第5階層で待ってて下さい。第1階層は人が多いですから」


 シロは、そう言い残し、そのまま出発しようとした。


「おい待て、その格好じゃ、他国の兵士に怪しまれるぞ!」


「そうですね」


 シロはそう言うと、メイド服から、魔法使いがよく来ているようなローブに着替える。


「次いでに、これも持ってろ!」


 俺は以前、第21階層のリッチーから大量に手に入れた杖をシロに渡した。


「魔法使いぽく見えますか?」


 シロは、くるりと回り俺に確認する。


「完璧だ。どこから見てもオシャレな魔法少女にしか見えないぞ!」


 そう、シロが作ったローブは、オシャレ過ぎるのだ。


 シロが大好きな白色を基調にしており、凝りに凝った金色の刺繍がふんだんに縫い込まれている。

 一目でアラクネが製作したと分かる逸品なのだ。


「それじゃあ、ご主人様、行ってきますね!」


「おい、 オシャレなのはいいんだが、そんな派手な格好で大丈夫なのか?」


「大丈夫ですって!」


 シロはそう言うと、アムルーダンジョンの出口の方に向けて、歩いていったのだった。


 ーーー


 シロがアムルーダンジョンの出口に向けて歩いていると、やはり目立つので、案の定、他国の兵士から話し掛けられた。


「オイ! お前、今日から、アムルーダンジョンは、レスター王国の貸切りと聞いていなかったのか!」


 レスター王国の兵士は、シロに強めの口調で注意してきた。


「あっ! そうだったんですか。僕も、何で冒険者が全然居ないんだろうと思ってたんですよ!」


「5日前から、アムルー冒険者ギルドから、お触れが出てた筈だぞ!」


「アッ! それなら僕、分かんないですね!

 私、1週間前からアムルーダンジョンに篭ってましたから!」


「そうか。それなら問題ない。早く、ダンジョンから立ち去れ」


 どうやら、レスター王国の兵士は簡単に納得してくれたようだ。

 多分、今までにも、シロのような冒険者が居たのだろう。


 シロは軽く会釈して、その場を離れる。

 そんなやり取りを2、3回して、ようやく、シロは、初めてアムルーダンジョンの外に出たのだった。


 ーーー


「これが、アムルーダンジョンの外の世界か!」


 アムルーダンジョンの外の世界は、建物が立ち並び、人の活気で満ちていた。


 シロは、空気を大きく吸い込み、深呼吸してみる。


「ダンジョンの中の空気の味と、あまり変わらないな……」


 シロ的に、ダンジョンの外の空気は美味しいに違いないと思っていたのに、あまりに変わらなかったのでガッカリしてしまった。

 勿論、カビ臭い石造りの迷宮ステージとかでは無く、第5階層や第22階層の森林ステージと比べた場合だけど。


 まあ、取り敢えず、シロの感想はおいといて、ここで少し、アムルー城塞都市の話をしておく。


 アムルー城塞都市は、アムルーダンジョンを中心にして出来た城塞都市だ。

 冒険者の街と言ってもいい。


 そして、アムルー城塞都市は、アムルーダンジョンを中心に、十字の形に大通りが広がり、街を区分している。

 正門を南として考えると、北東が貴族街、北西が住民街、南東が商人街、南西が冒険者街と別れている。

 まあ、区分されてると言っても、基本冒険者の街なので、何処にでも冒険者が住んでいるのだけどね。


 簡単に言うと、普通の街より、たくさん冒険者が住んでいるという事である。


 そんな冒険者の街なので、ダンジョン入口の周りには、軽く食事が取れる屋台や道具屋、武器屋、買取屋などの露店が出ており、活気みなぎっている。


 露店街を過ぎると、ちゃんとした街が現れ、冒険者の他にも、街の住人や商人達などもいっぱい歩いている。


 そして今現在、それより目に付くのが、他国の兵隊だ。


 ざっと見、5000人は居るようだ。


 他国の兵隊達は、アムルー城塞都市の大通りに隊列を作り、不気味にたたずんでいる。

 アムルー城塞都市の人々の雰囲気としては、他国の兵隊をよく思っていないようだ。


 特に、アムルー冒険者ギルド所属の冒険者達は、苦々しい目をして、他国の兵士を遠巻きに睨みつけている。


「なるほどね……。やっぱり雰囲気おかしそうだよね」


 シロは、ダンジョン前の屋台でゲットした串焼きを食べつつ、街の様子を観察しながら歩いてると、石造りで3階建ての立派な建物を見つけた。


 建物の中には、冒険者と思われる者達がひっきりなしに出入りしている。


「あそこが、ご主人様も所属してた冒険者ギルドかな?

 取り敢えず、情報収集に行ってみるか!」


 シロは、そう独り言をいうと、ルンルン気分で冒険者ギルドに向かったのだった。


 ーーー


 ここまで読んで下さりありがとうございます。

 面白かったら、お気に入りにいれてね!

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