59. オリ姫モーニングスター
俺の本来の実力を確認できた俺は、早速、第29階層にレベル上げに行く。
下層に魔王という強大な敵がいると分かったからには、俺達も早く強くならなければならないのだ。
何せ、相手は高位ゴーストを1万匹も使役できる実力を持つ相手なのだ。
たまたま、俺とミーナが勇者で光属性魔法が使えたから助かったが、光属性魔法が使える者が誰もいなかったら、俺達は見るも無残に負けていただろう。
不死者の俺なんか、やっとリッチーになって皮を手にいれたというのに、体を全て粉砕されて、ゴーストにされていたかもしれないのだ。
考えただけでも恐ろしい。
ゴーストのハーレム勇者なんて、女の子の体に全く触れないし。
そんな訳で、俺達は第29階層に着いた。
「オリ姫! actチェンジ、オリ姫モーニングスター!」
「キュイ!」
俺が命令すると、オリ姫は凶悪なモーニングスターに体の形態を変えた。
今までは、シロの作った紐を頭にくっ付けていたが、オリハルコンスライムact1に進化したオリ姫は、しっかり鎖の部分も表現しているのだ。
「よし、シロ。今日はこれを使ってみろ!」
「ご主人様が使うんじゃなかったのですか?」
「まあ、俺が使っても良いのだが、俺の知ってるラノベでは、メイドの少女がモーニングスターを使うと決まっているのだ」
「だから、メイド兼、料理係兼、掃除係兼、裁縫係兼、ご主人様の下僕のシロに、オリ姫モーニングスターを託すという訳ですか?」
「その通り!」
俺は、ス〇ルぽく、歯をキラリとさせて、サムズアップさせた。
「分かりました! そしたらシロも本気でやります!」
シロは、せっせっとメイド服に着替え、オリ姫モーニングスターを構えた。
やはり、シロは出来る子。
俺のオーダー通りに、完璧に答えてくれる。
そして、シロは、凶悪になったオリ姫モーニングスターを回し始める。
見てるだけでも恐ろしい。
あんなトゲトゲのものに刺さったら……。
俺はどうやら、先端恐怖症にかかってしまっているようだ。
多分、冒険者だった時に、トゲトゲに刺さって死んでしまったからであろう。
本当の事をいうと、オリ姫モーニングスターは、自分で使うつもりだったのだ。
あんなカッコ良い玩具を、自分で使いたくない訳が無いのだ
しかし、実際、手に持ってみたら、手がブルブル震えていた。
俺は、落とし穴に落ち、トゲトゲに刺さって死んだ事が相当なトラウマになっていたのだ。
オリ姫モーニングスターを振り回すシロが、めっちゃ怖い。
おしっこ、チビってしまいそうだ。
まあ、血肉が通ってないから出ないけど。
そうこうしてると、回転が増した凶悪オリ姫が、火山スライムキングにぶっ刺さる。
俺は思わず目を逸らしてしまうが、今までのオリ姫モーニングスターでは、無かった現象だ。
なにせ、今までのオリ姫は、一生懸命トゲトゲを作っていたのだが、2つの丸っこい触覚がピョコンと出ただけのお飾りのトゲトゲだったのだ。
シロは、火山スライムキングがぶっ刺さったオリ姫モーニングスターをそのまま振り回し続け、そして、地面に叩きつける。
ドッカーン!!
オリ姫モーニングスターに当たった地面は粉砕し、大きなクレーターが出来てしまった。
勿論、火山スライムキングも、見る影もなく破裂してしまっている。
「これは凄いな……」
「ご主人様! このオリ姫モーニングスター、凄いですよ!
その場で、火山スライムキングを倒せますから、暑い活火山に登る必要ないです!」
そこね……。
確かに、オリ姫モーニングスターの破壊力は凄まじい。
俺なんか、モーニングスターのトゲトゲの形を見ただけで、カタカタ震えてしまう程だ。
今のオリ姫モーニングスターは、俺的に怖すぎる。
「シロ、やはり今までのオリ姫モーニングスターで良かったんじゃないのか?
火山スライムキングなんか、トゲトゲ痛そうだし、それに活火山の上り下りは、ダイエットにもなるしな!」
「僕は、いくら食べても太らない体質です! それにご主人様なんて、骨と皮しかないから太らないでしょ!」
「確かに……」
俺は、シロのによる悪気のないディスりを受けて、言い返せなくなってしまった。
そんな感じで、結局、俺は、オリ姫モーニングスターを見ないようにして、第29階層でレベル上げを続けている。
流石に、活火山の上り下りをしなくていいので、レベルが上がるのが早い。
この調子だと、後、1週間も頑張れば、俺もLv.50に到達するだろう。
俺は、シロとオリ姫にレベリングを任せて、BBQの準備をする。
ご主人様として、下僕達の衣食住は保証しなければならないのだ。
と、そう言えば、シロに集めて貰っていた鶏の唐揚げの材料があったな……。
「暇だし、早速、作ってみるか!」
俺は、魔法の鞄から唐揚げの材料を取り出す。
「鶏肉と、オリーブオイルと、ニンニクと、塩と胡椒と、片栗粉……ん? 俺、片栗粉用意するの忘れてる……」
俺は本当は、生姜や醤油とかも欲しかったのだが、それはこの世界には無いので諦めたのだ。
そして、片栗粉については、本当に忘れてた。
生姜や醤油がなくても鶏の唐揚げは作れるが、流石に、片栗粉が無ければ作れない。
前の世界で見た異世界もののラノベでは、スライムからドロップできるスライムスターチとかいう、片栗粉のようなものがあったのだが、この世界には勿論無い。
「どうしよう……」
一度、鶏の唐揚げの頭になってしまったら、何がなんでも食べたくなってしまう。
脳ミソが無ければ、尚更だ!
よし、決めた!
「シロ、今から、第5階層に向かうぞ!」
俺は、目を回してるオリ姫を置いといて、シロに話し掛ける。
「えっ!? 今からですか?」
「そうだ!」
「何しに?」
「片栗粉の為に?」
「片栗粉……?」
「そうだ! 鶏の唐揚げは、片栗粉が無いと作れなかったのだ!」
「そういう事ですか……分かりました。それじゃあ、行きますか……ご主人様の願いを叶えるのが、下僕の仕事ですから……」
少し呆れた感じだが、物わかりが良いシロは、スグに納得してくれたようだ。
しかし、この時の俺の何気無い思いつきが、この後の波乱の幕開けになるとは思いもしなかったのである。
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