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52. 駆け出し冒険者

 

 駆け出し冒険者であるデービッドは、今日、初めて、アムルーダンジョン第5階層に来ている。


 話によると第5階層には、最近アラクネが現れるようになり、冒険者の魔法の鞄の中に、アラクネが気に入った物が入っていると、アラクネが、自らの糸で編んだ服やらハンカチなどと交換してくれるとの事だ。


 凄いのになると、S級ギルド『鷹の爪』の大魔法使いアナスタシアさんが、アラクネと交換して貰ったという、その名も『白蜘蛛紫羽織』が有名だ。


 なんでも、アナスタシアさんのカラーである紫と、アラクネが好む白色のレースをあしらったオシャレな服で、機能も他のアラクネ作の服の3倍の性能なのだとか。


 そして驚くのが、その価格。


 ある大商人が、『白蜘蛛紫羽織』に3億ゴルの価格で、アナスタシアさんに売ってくれと交渉したとか。しないとか。


 勿論、アナスタシアさんは、安すぎると突っぱねたらしい。


 3億以上の装備なんて、最早、国宝モノであるのに……。

 流石は、アトレシア大陸に3パーティーしか居ないと言われている、S級冒険者パーティー『鷹の爪』の大魔法使いである。


 そして、デービッドも、そんなアラクネの作品を狙う冒険者の1人。

 上層で、ちょこちょこ弱い魔物を狩っていても、食うのには困らないが、大したお金にならない。


 そんなだったら、一攫千金を狙い第5階層に!


 今現在、アムルーダンジョンでは、空前のアラクネブームが巻き起こっているのだ。


 他国からも、たくさん冒険者や騎士団が来ていて、アラクネの作品を総取りする為に、アラクネの主である金色の魔王を倒そうと画策したとか。

 まあしかし、逆に倒され、恥ずかし過ぎる返り討ちにあったとか。なかったとか。


 何でも、金色の魔王に挑んだ騎士団の中に、ハルマン王国南の隣国レスター王国の王子が居たらしく、アムルーダンジョンで起こった恥ずかし過ぎる惨事にかん口令が引かれているらしい。


 アムルー冒険者ギルド所属の冒険者達は、王子達に何が起こったのか知ってるので、今でもマヌケな笑い話として、酒場の酒の肴になっているけど。


 まあ、アムルー冒険者ギルド所属のギルド員は、筆頭の『鷹の爪』をはじめ、金色の魔王一派と利害が一致する為、自ら望んで、金色の魔王やアラクネと戦おうとするバカはいない。


 そんな訳で、アラクネと戦うつもりの無いデービッドは、しっかり下調べして、アラクネが欲しがりそうな物を、魔法の鞄に仕込んでいるのだ。


 話によると、アラクネは、高価な貴金属より、調味料や食料を好むらしい。


 なので、デービッドは、アラクネが好きそうな、物を見繕って、魔法の鞄に用意してきたのだ!


 そんな感じで、第5階層でアラクネを探し回っていると、遠くの方から、女の子の歌声が聞こえてきた。


「オ〇パイ! オ〇パイ!嬉しいな~!」


 ん……?


「オ〇パイ! オ〇パイ! 早く大きくな~れ!」


 オ〇パイ……?


「牛さんのミルクを飲みたいな~!」


 なんだ……牛のオッパイの歌か!


「ミルクを飲んだら、大きくなるかもしれないな~!」


 ミルクが、よっぽど好きなんだな……。


「そして、大きくなったら、ご主人様に吸われたい~!」


「ナッ!? 吸われたいって、 自分のオ〇パイを吸われたいのかよ!」


 デービッドは激しく動揺し、思わず声を出してしまった。


「アッ! 人間だ!」


 デービッドの目の前に、上半身素っ裸でチッパイの、アラクネの少女が立っていた。


 バタン!


 デービッドは、取り敢えず、魔法の鞄を突きだし、死んだフリをする。


「別に、死んだフリしなくていいのに。僕は一応、女の子なんだから、いきなり倒れられると傷付くんだけど……」


 何か言ってるけど、とてもじゃないけど、無理だ。


 アラクネが発するプレッシャーは強大。

 マトモに向き合って喋ったりしたら、押し潰されて失神してしまいそうなのである。


「お兄さん? ミルク持ってる?」


 そんなデービッドにお構いなく、アラクネは質問してくる。


「も…って……無いです……」


 デービッドは、なんとか返事をする。


「そっか……残念だな……そうだ!

『鷹の爪』って、どこにいるか知らない?」


 苦しいが、何とか回答しないといけない。

 デービッドは、何としても、アラクネの服をゲットしたいのだ。


「け……今朝……冒険者ギルドで見掛けましたから……もうすぐ……第5階層を通ると思います……よ!」


 何とか、回答する事が出来た。


「なるほどね! そしたら、階段の前で待ち伏せしてたら会えるかな!

 ありがとう!

 アッ! これ御礼だよ!」


 アラクネは、デービッドの魔法の鞄の上に、レースのハンカチを置いて去っていった。


 よし! やったぞ!

 アラクネのハンカチをゲットできた!


 デービッドは、アラクネが十分に過ぎ去り、プレッシャーが無くなるのを確認してから立ち上がる。


「こ……これは、今まで見た事がないアラクネの作品だぞ!

 レースの所々に、蜘蛛の意匠が編み込まれている!」


 デービッドは、思わず歓喜し飛び上がる。

 多分、売れば、15万から25万はする代物だ。


 駆け出し冒険者が、一日に稼げる金額は、せいぜい7000ゴル程。

 駆け出し冒険者のデービッドは、たった一日で、一ヶ月分の収入を稼いだ事をになる。


「もし、ミルクを持ってたら、どうなってたんだろう……」


 ーーー


 この日、アムルー冒険者ギルドの買取りカウンターに、珍しい意匠のアラクネのハンカチが持ち込まれた。


 持ち込んだのは、やっと第5階層に到達した駆け出し冒険者。


 その駆け出し冒険者の話によると、アラクネは、チッパイを気にしてミルクを欲しがってるという話であった。


 どうやらアラクネは、牛のミルクを飲むとオ〇パイが大きくなると信じてるらしい。


 この情報は、すぐにアムルー冒険者ギルドに所属する冒険者の間に広がり、魔法の鞄の中に、必ず、ミルクを入れる事が必須になったのは言うまでもない。



 ーーー


 ここまで読んで下さりありがとうございます。

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