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5. 進化

 

 俺は、何とか冒険者パーティーから難を逃れ、ホーンラビットにオシッコをかけられ続けている。


 これは、レベルを上げる為に仕方が無い行為なのだ。

 レベルが高くなれば、生意気な冒険者の前で死んだ振りなどしなくて良かったのである。


 まあ、どの道、死んだ振りをしているので一緒の気もするけど。


 ティッティティーン!


 オシッコをかけられ続けたお陰で、またレベルが上がったようだ。

 久しぶりにステータスを見てみる。


 種族: スケルトン lv.10

 職業: 勇者

 称号: 不死者、思い出すのが遅すぎた男、骨なのに勇者、運の無い男

 スキル: 超隠蔽、不死、鑑定

 魔法: 第1階位光属性魔法。

 力 35

 運 3

 HP 65

 MP 120


 何か、魔法が使えるようになっている。


  第1階位光属性魔法は、聖職者や聖女や勇者などの光属性の職種のみに覚えられる魔法である。

 思いっきり、闇属性のスケルトンが覚えれる魔法では無いんだけど……大丈夫なのか?


 しかしだ、第1階位光属性魔法の回復魔法ヒールが使えたら、この先何かあった時に便利だ。

 怪我した時とか、自分自身で治せるし、もっと無茶な戦い方が出来る。


 そういえば、足の骨の指先にヒビが入っていたな。

 試しに使ってみるか。


「第一階位光属性魔法! ヒール!」

 光属性魔法ヒールを使った瞬間! 足に激痛が走る。


「ウギャァァァァァァー!」

(骨語)

「ウギギギギギィィィー!」


 最近やたらと原因不明な叫び声が聞こえてくる第5階層で、今までで最も大きく、最も不快な叫び声が階層中に響き渡った。


 足が焼けるように痛い。

 足の骨のヒビが治るところか、溶けて欠損してしまっている。


 何でだ?


 アッ……!? そういえば、冒険者時代に聞いた事があったな……闇属性の魔物がたくさん出てくるダンジョンでは、ヒーラーは無敵だって。

 どうしてかと言うと、闇属性の魔物にとって、光属性魔法は弱点だからだ。


 俺は一応勇者だから、光属性魔法を覚える事は普通だけど、

 やっぱり、闇属性の特性のスケルトンが、光属性魔法が使えるのは おかしな事だったのだ。


 それにしても、この光属性魔法は、いつ使えば良いのだ?

 使えば使う程、ダメージを受けてしまうし。


 もしや……俺に、同士討ちをしろという事なのか?

 確かに光属性魔法が使えれば、スケルトンを倒すには無敵だけど。


 ホーンラビットにオシッコを掛けられながら倒すより、光属性魔法でスケルトンを倒した方が楽だし、精神衛生上、そっちの方が良いかもしれない。


 それに、これ以上第5階層にいると、人肉を食べたくなる衝動が抑えられなくなってしまう可能性もあるし。


「ウン。これは、死霊系が蔓延る階層に移動だな!

 死霊系の階層では、新鮮な肉が食べられなくなるが、人肉を食べるよりはマシだ。

 確か、第21階層が死霊系の階層だった筈だ。あそこなら、俺は無敵になれる!」

(骨語省略)


 俺はこうして、ホーンラビットの肉に別れを告げ、死霊系が蔓延る第21階層に移動したのだった。


 ーーー


「ヒャッハッー! 俺TUEEEーー!」


 俺は今、第21階層で無双している。

 レベルの高い魔物を倒し続けているので、一気にレベルが上がっていく。


 ティッティティーン!


 レベルの上がる音がした。

 第21階層に来てから、もう1週間以上、格上のゴーストやリッチーを倒し続けているのだ。


 久しぶりに、ステータスを見てみる事にする。


 種族: スケルトン lv.30 (進化可能)

 職業: 勇者

 称号: 不死者、思い出すのが遅すぎた男、骨なのに勇者、運の無い男

 スキル: 超隠蔽、不死、鑑定

 魔法: 第1階位光属性魔法。第1階位火属性魔法。

 力 65

 運 3

 HP 110

 MP 219


「オッ!火魔法が使えるようになっている。そして、遂に進化出来るレベルになったぞ!」


 俺は小躍り(骨ダンス)しながら、直ぐにステータス画面をスクロールして、何に進化出来るか調べてみる。


 [スケルトンから、グールorユニークスケルトンに進化]



「クッ……これは……」


 まさか選択肢が2つあるとは思ってもみなかった。


 滅茶苦茶悩むんだけど……。


 グールに進化すれば、念願の肉をゲットする事が出来るんだけどな。

 しかしなぁ……俺の見解では、グールが進化して、スケルトンになったと思うんだよなぁ……。


『進化なのに、何故、わざわざ退化しないといけないの?』って、思っちゃうんだよな。実際に、グールよりスケルトンの方が、ほんのちょっと強いし。


 だけど俺は肉が欲しい。


「肉に恋焦がれているのだ!」


 肉の欲望を思い出し、思わず叫んでしまった。


 落ち着くんだ、俺。

 肉は肉でも、腐った肉だぞ?

 グールになんてなってしまったら、物凄く臭くなってしまう。


 それより、ユニークスケルトンになった方が良いのではないのか?

 ユニークスケルトンは、特殊個体だ。


 次に進化する上で、更に特殊な個体に進化出来る可能性がある。

 肉は無いけど、後々、凄い個体になれるかも知れないのだぞ。


「よし! 決めた。 俺はユニークスケルトンになる!」


 俺は決心して、ステータス画面に出ていた、ユニークスケルトンという文字をタップした。


 すると突然、目の前が真っ暗になり、俺は そのまま意識を失った。


 ーーー


 ここまで読んで下さりありがとうございます。

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