45. 女悪魔スルト
「貴方、何を言ってるか分かってるのかしら?
貴方は、ただの魔物の分際で魔王様に逆らおうとしてるのよ?」
「フン! それがどうした! 俺は勇者だ! まごうことなき勇者なんだ! 勇者が魔王に逆らうのは一般常識だろ!」
俺の口からは、どうやら魔王に敵対する言葉しか出てこないようである。
こうなったらヤケクソだ!
俺も乗っかってやる!
「魔王なんか、うんこチビり野郎だ!
俺にビビって、今頃、トイレで震えてるんだろ!
アッ! トイレに間に合わなくて、うんこチビっちゃったかな?」
「魔王様をウンコ呼ばわり……。言わせておけば……」
俺自身が考えた魔王ディスりに、女悪魔は打ち震えている。
ウンコを連発して、ちょっと子供っぽかったかもしれないが、脳ミソ無い俺が一生懸命考えた魔王ディスりはこれが限界なのである。
しかし、女悪魔スルトには、ウンコディスりが効いているようだ。
スルトの周りに、炎のような真っ赤なオーラがユラユラと揺れている。
「第6階位火属性魔法、エクスプロード」
いきなり、スルトが第6階位魔法を放ってきた。
「オリ姫!」
「キュイ!」
オリ姫が、俺達とスルトに間に入り、第6階位魔法、エクスプロードをブロックする。
「なっ! オリハルコンスライムで、私の第6階位魔法をブロックするですって!」
スルトは、まさか第6階位魔法をブロックされるとは思って無かったらしく、驚愕している。
オリ姫が仲間で助かった。
俺とシロだけでは、第6階位火属性魔法、エクスプロードは避けれなかった。
しかし……俺達は、オリ姫のお陰で第6階位魔法エクスプロードを避けれたが、俺のログハウスは、思いっきり燃えている。
「ご主人様ぁーー! 僕達の愛の巣が燃えてしまっています!」
シロが泣きながら、俺に叫んでくる。
見れば分かるけど、シロは、拠点のログハウスに相当の思入れがあったようだ。
というか、俺が必死に建てたログハウスを燃やすとは、絶対に許さん!
「ああ、アイツは許さない。
普通、人の家の中で、火属性魔法を放つか?
人としておかしいだろ!
って、アイツ、人じゃなくて悪魔だったか……。
いや、悪魔だっておかしいだろ!
絶対、仕返しに魔王城に火を放ってやる!」
「アッハッハッハッハッ! ボロ屋はよく燃えますわね!」
スルトは、俺達が悲しんでるのに気づいて、大笑いしている。
「お前、何笑ってんだ! お前の魔法は、俺の家を燃やせても、オリ姫にダメージを与える事は出来ないんだよ!」
「それはお互い様でしょ? 貴方達に、私にダメージを与える事が出来まして?」
「ウゥゥ……言わせておけば、もう許さないんだからね!」
怒りプンプンのシロが、鋼鉄糸をスルトに放つ。
しかし、シロが放った鋼鉄糸は、スルトの前で、ことごとく灰になってしまった。
「いくら頑張っても、第3階位程度の魔法しか放てない蜘蛛ちゃんなんて、私の敵じゃないわよ。
第5階位と第6階位には大きな壁があって、第6階位の魔法が使える者には、第5階位以下の物理攻撃も魔法も全く効かないのよ」
スルトは、まるで勝ち誇ったように言い放つ。
「言ってろよ! お前、忘れてないか?
その第6階位の魔法にノーダメージのオリ姫の事を!」
「フフフ。オリ姫って、そのオリハルコンスライムの事かしら?
オリハルコンスライムなんて、全く怖くないわよ!
基本、大人しいスライムだもの」
スルトは余裕綽々で、鼻で笑う。
「まあ、確かにオリ姫は優しい子だ! しかし、オリ姫を武器として使ったらどうなるかな? 」
俺は不敵に笑って、シロに目配せする。
「了解!」
シロは全てを察して、指から粘着糸を出し、オリ姫の頭頂部にくっつける。
そして、オリ姫をクルクル回し始めた。
「貴方達、一体何してるの?」
スルトは、少し警戒する。
まあ、何をするかは、見れば分かると思うけど。
オリ姫鎖鎌? 違うか、オリ姫モーニングスターは、回転速度を早め、ボーボー燃えているログハウスを破壊していく。
そして、俺はと言うと、邪魔にならないように体育座りをしている。
「僕とご主人様の、初めての共同作業で建てたログハウスを燃やした恨み、晴らさずおくべきか!」
「貴方、何言ってるのよ! ログハウスを破壊してるのは、貴方の方でしょ!」
「五月蝿いなぁーー! もう燃えてるんだよぉーー!」
今のスルトの言葉で、シロの怒りは沸点に達したようだ。
「いけぇぇぇぇえええぇぇぇーー! オリ姫メガトンダイナマイトスペシャル最強最悪ハンマーー! 」
遠心力で、極限までスピードを付けたオリ姫が、女悪魔スルト目掛けて飛んでいく。
そして、
バッコーーン!!
オリ姫が、女悪魔スルトにクリーンヒットした。
勿論、オリ姫は、既に目を回して気絶している。
今回は、シロの怒りが頂点に達していた為、回転量が多かったみたいだ。
そして、女悪魔スルトなのだが、スルトは大空高くに吹っ飛ばされて、星になったみたいだ。
「飛んだな……」
「飛びましたね……」
「オリ姫は、最強だな」
「最強ですね」
「所で、第22階層の空ってどうなってるんだ?」
「さあ、どうなんでしょう?」
「ダンジョンって、謎だな……」
「そうですね……」
こうして俺達の危機は、一応、オリ姫の活躍によって、過ぎ去ったのであった。
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