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38. 火山スライム

 

「何ですここは?

 本当にダンジョンの中なんですか?」


 17、8歳位の黒髪黒耳の猫耳娘が、第22階層の俺の拠点である湖畔のログハウスを見て興奮している。


「ああ、そして今日からのお前の仕事は、この家庭菜園の水やりをする事だ!」


 俺はウッドデッキの横にある、2畳ぐらいの家庭菜園に案内する。


「この家庭菜園の水やりするだけでいいんですか?」


「ああ、1日1回お願いする!」


「分かりました! 一生懸命世話をしますので、その暁には、シロさんの服をお願いします!」


「ああ!」


「ご主人様、こんな欲の皮が突っ張った女なんかに、優しくする必要なんて無いですよ!」


 シロは昨日から、ずっとプンスカしている。


 そんなシロを無視して、

「で、魔王様は、いつ頃、お帰りになられるのですか?」

 と、猫耳娘が質問してきた。


「ん? チョット待て! 俺は魔王じゃないぞ!

 俺は歴とした、正真正銘の勇者だ!」


 俺は、一応、猫耳娘の言葉を正しておく。


「そんな訳、ないじゃないですか!

 スケルトンの勇者なんて、聞いた事ありませんって!」


「本当だって!」


「またまた!」


「だから、本当だよ!」


「またまたまた!」


 猫耳娘は、全く信じてくれない……。


「ご主人様、僕は、ご主人様が勇者だって信じてますから!」


 シロが、俺を慰めてくれた。


「シロ、お前だけだな、俺の事を分かってくれるのは」


「そうですよ。だから、こんな強欲な女なんか忘れて下さい!

 ササッ! 行きましょご主人様!

 今から、未開の階層の冒険の始まりですよ!」


「ああそうだな!」


 俺は、何とか元気を取り戻し、シロと一緒に歩き出した。


「チョット、待ってくださいよ!

 結局、いつまで出掛けるんですか!」


「10日以内には、帰る」


「ご飯は、何を食べればいいんですか!」


「この中の物を、勝手に食べてろ!」


 俺は、昨日、冒険者から奪った魔法の鞄の幾つかを猫耳娘に投げ捨てて、下層に向かったのだった。


 ーーー


 俺は、良かれと思って招き入れた猫耳娘に、ダメージを与えられ、そのまま下層の探索に向かった。


「ご主人様! だからあんな女、駄目だって言ったんですよ!

 あの女、ご主人様がリッチーだった時のように、お金しか興味が無いんですから!」


 シロが、1人でブヒブヒ言っている。


「確かにな、だが、あの娘のサクランボ、薄らピンク色で綺麗だったんだよな……」


「サクランボなら、僕のを舐めさせてあげますから、早く進化して、舌を復活させましょ!」


「そうだな!」


 俺の目標が定まった。

 兎に角、肉が付かなくては何も始まらない。

 肉が無いから、魔王などとディスられるのだ!

 肉さえあれば、俺は普通に勇者なのだ!


 そして、サクランボも好きなだけ舐められる!

 俺は俄然ヤル気が出てきた。


 そんな話をしながら、俺とシロは、サッサッと第28階層に進む。

 ハッキリ言って、第23階層から第28階層までの魔物は、とても強いのだが、ミスリルスライムほど経験値が稼げないのだ。


 俺が狙うのは、ミスリルスライムを超える経験値をゲット出来る魔物。

 例えば、見た事も聞いたも事ないけど、オリハルコンスライムなんかがいたら助かるのだが。


 鉄スライムとミスリルスライムがいるなら、必ずいると思うのだ。

 まあ、倒せるか分からないけど……。


 そんな感じで、俺とシロは、遂に、未開の第29階層に足を踏み入れた。


 第29階層は、マグマの海が広がる活火山ステージ。

 至る所で火山が噴火し、平地にマグマの海を作っている。


「ご主人様……めちゃくちゃ暑いですね……」


「そうか?」


「ご主人様は、骨だけだから分からないんですよ!」


 シロが、何気にディスって来る。

 しかし、ここは我慢だ。偉大な勇者は、ちょっとやそっとな事で怒らないのである。


「でも、お前、火属性魔法が使えるから、暑さの耐性があるんじゃないのか?」


「火の耐性があっても、暑いものは暑いんです!」


「そしたら、水属性魔法で氷を作って、氷枕みたいのを作って見たらどうだ?」


「それいいですね!」


 シロは、早速、糸で氷枕を編み、そしてその中に水魔法で作った氷を入れて頭や首筋を冷やす。


「気持ちいいです~」


「そりゃあ、良かったな」


 と、話してたら、突然、マグマの海から真っ赤なスライムが現れた。


 俺は急いで、真っ赤なスライムを鑑定する。


 [火山スライム、第5階位火属性魔法を放ってくる凶悪なスライム。スライムなのに攻撃的]


「シロ、こいつヤバそうだぞ!」


「分かってます!」


 シロはそう言うと、火山スライムと俺達の間に、土魔法で土壁を作成する。


 ドカーン!


 そうこうしてると、火山スライムの魔法攻撃が、土壁にヒットした。


「チョット、ヤバすぎる威力なんだけど……」


「ご主人様は、大人しくしておいて下さい!

 火山スライムは、ご主人様と相性が悪すぎます!」


 確かにシロが言うように、俺は火山スライムに対処できるような、水属性と土属性の魔法を持っていない。


「頼んだぞ!」


「任せて下さい!」


 蜘蛛種は、本来、火属性魔法が苦手なのだが、シロは普通の蜘蛛種ではないのだ。


 火属性魔法、土属性魔法、水属性魔法、風属性魔法の四属性魔法が使える、最強の蜘蛛種アラクネなのである。


 シロは、自分が作った土壁を駆け登り、取り敢えず、火山スライムに、氷枕を投げつけた。


 パシャン!


 氷枕は、見事に火山スライムにヒットする。


 すると、火山スライムから、ブシュー! と、水蒸気が溢れでた。


「効いてるようですね?」


「ああ、効いてるぞ! シロ、ジャンジャン氷を当ててやれ!」


「了解! 第3階位水魔法、アイスランス!」


 シロは、アイスランスを続けて4発、火山スライムに向けて発射した。


 ズダダダダーーン!


 その全ての氷の槍が、火山スライムにヒットする。


 ブシューーー!


 火山スライムは、水蒸気と共に見えなくなる。


 そして、暫くして水蒸気が晴れると、先程までいた凶悪な火山スライムが居なくなっていた。

 どうやらシロは、火山スライムを倒す事に成功したようである。


「やったな」


「結構、強敵でしたね……」


「ああ、俺一人だったら、絶対倒せなかった……」


「大丈夫ですよ! 僕がご主人様を守りますから!」


「シローー! お前とゆー奴は!」


 こうして吊り橋効果なのか、二人っきりで強敵火山スライムを倒した事により、俺とシロの絆がより一層深まったのだった。


 ーーー


 ここまで読んで下さりありがとうございます。

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