21. BBQ
「あれは、シルクスパイダーか?」
「違うわね。シルクスパイダーにしては、大き過ぎるわ」
ラインハルトの問い掛けに、アナスタシアが答える。
「もしや、タランチュラの新種か?」
「そのようね。ハルマン王国の北隣。ツクシー帝国にあるルルルダンジョンのラスボス、『レッドタランチュラ』に次ぐ新種で、間違いないでしょうね」
「レッドタランチュラって、あの、倒す事が不可能っていわれてる、あの、レッドタランチュラか?」
「そうよ。蜘蛛種は、火属性魔法が弱点だけど、レッドタランチュラは火魔法の耐性があるのよ」
「と、なると、あの白色のタランチュラも、普通のタランチュラとは違う特性が有るという事か……?」
「見るからに、蜘蛛の巣を張るのは得意そうね。アソコを見て、蜘蛛の巣でスケルトンの絵を描いているわよ」
アナスタシアは、スケルトンが描かれている蜘蛛の巣を指さす。
「ゲッ! アレはどう見ても、金色のスケルトンだろ!」
「私もそう思うわ」
「という事は、白色のタランチュラは、金色の奴の仲間という事か?」
「状況から見ると、可能性は高いわね」
「で、どうするよ?」
ラインハルトは、アナスタシアに回答を求める。
「帰るしかないでしょ。普通のタランチュラでも、3人で勝てるかどうかなのに、どう見てもユニーク種のタランチュラになんかに、勝てる訳ないでしょ」
「だな……」
ーーー
その日、アムルー冒険者ギルドに、第12階層を調査していた『鷹の爪』から、新たな凶悪な魔物の発見情報がもたらされた。
その魔物は、白色のタランチュラで、どうやらタランチュラの新種だと思われる。
白色のタランチュラは、糸を自在に操り、その糸でスケルトンの絵を描いていたという事だ。
間違いなく、少し前に確認されたアムルーダンジョン第一級危険モンスターに認定された、金色のスケルトンの仲間か眷族と思われ、白色のタランチュラも、金色のスケルトンと同様、第一級危険モンスターに認定される事に決まった。
ーーー
シロを1匹で狩りに行かせて、そんな大変な事になっているとは思っていもしなった俺は、現在、でき上がったウッドデッキを眺め、悦に浸っていた。
「遂にできたぞ! これで、外でBBQできる! ハーレムと言ったら、やっぱりパリピだからな。
この、でっかいウッドデッキで、ガンガン音楽を掛けて、水着の美女と肉を食べるのだ!」
「キュイ!」
いつの間にか、シロが狩りから戻っていたのか、嬉しそうに飛び跳ねている。
「おっ! ずいぶん遅かったな!
それで、狩りのほうはどうだった?」
俺は、ウッドデッキが完成して、無性にBBQしたくなっているというか、久しぶりに肉が食べたくなっていたのだ。
まあ、骨と皮しか無いので、体が肉を欲しているというのが、正直な所だろう。
「キュイ!」
シロは、魔法の鞄をひっくり返し、大量の牙狼族の死体をウッドデッキの上に置いてみせた。
「おっ! 凄いな! だけど、お前、第12階層まで行ってたのか?
あそこまで上層に行くと、冒険者が現れるから気をつけろよ!」
「キュイ!」
シロは、「気をつける!」 と、元気に返事をした。
実際、アムルーダンジョン最強ギルド『鷹の爪』と遭遇しているのだが、シロは全く気付いていない。
まあ、第4階位の闇魔法を探知するのは、流石に、ネームドシルクタランチュラのシロでも無理だろう。
その話は置いといて、早く肉が食べたい俺は、早速、BBQの準備をする。
この日の為に作っておいたBBQコンロに、乾いた薪を入れて火を起こす。
そして、火が安定するまでの間、風魔法で牙狼族を一匹解体していく。
「シロ! 火加減はどうだ?」
「キュイ!」
どうやらバッチリのようだ。
俺は、切り終わった牙狼族の肉を次々に焼いていく。
しかし、今更ながら、調味料が全く無い事に気付いた。
「どうしよう……味付けの無い焼肉なんて……」
俺は途方にくれてしまう。
が、実際、骨と皮しか無い俺には、肉の味なんか分からないのだけど……。
シロなんか、味付けが無い牙狼族の肉を、殆ど生で、美味しそうにパクパク食べてるし。
焼肉の意味がないよな……。
まあ、塩とかの調味料は、今度、上層階に行って、冒険者を襲えば適当な調味料とか手に入るだろう。
取り敢えず、俺も、牙狼族の焼肉を食べてみる事にする。
「肉うめぇ〜!」
俺は思わず、叫んでしまう。
無理もない、久しぶりの肉なのだ。
肉が無い、俺にとっては、例え、味付けや血抜きが行われていない肉でも、とても美味しく感じてしまうのだ。
調味料がないとか、無駄なこと悩んで損した。
脳ミソ無いから、5秒しか悩めないけど。
ーーー
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脳ミソない作者は、5秒だけ、狂ったように踊りまくるでしょう。




