表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/79

20. 白い悪魔

 

 俺は朝から、拠点のログハウスのウッドデッキ造りに精を出している。


 昨日の昼前にシロを進化させたのだが、まだ目を覚まさないのだ。


「進化って、こんなに時間が掛かっていたんだな」


 俺的には、大体1時間くらいで終ると思っていたのだ。

 だって、進化して起きると、それ程、景色が変わってなかったし。


「変な場所で進化してたら、今頃、俺、死んでたな……」


 背中に冷たい汗が流れる。

 実際には、血も肉もないから汗なんか流れないけど。

 まあ、気持ち的に。


 とか、考えていたら、ログハウスから一回り大きくなったシロが、飛び出てきた。


「キュイ!」


「おっ! シロ、大きくなったな」


 シロは見て見てとばかりに、俺の前で回ってみせる。


「ウンウン。可愛くなった!」


「キュイ!」


 シロは俺に可愛いいと言われて嬉しいのか、ピョンピョン飛び跳ねる。

 多分、シロは雌だな。

 今まで性別不明だったが、シロはカッコイイと言われるより、可愛いいと言われる方が好きっぽい。


「キュイ」


「ん? 進化したら、お腹が空いただって?」


「キュイ!」


「そしたら、スライムでも食べるか?」


「キュイキュイ」


「スライムは、嫌だ?じゃあ、何食べたいんだ?」


「キュイ!」


「何?肉が食べたいだって?」


 蜘蛛なので、シロはてっきり昆虫が好きだと思ってたのだが、まさかの肉食だったとは。

 まあ、シロが、虫をバリバリ食べる所なんか見たくないけど。


「でも、この階層にはスライムしか居ないぞ」


「キュイ」


「上の階層に行って狩ってくるだって?

 1人で大丈夫なのか?」


「キュイキュイ!」


 シロは、「上の階層なら問題無い」と、言っている。


 ん? そういえば、俺……さっきから、シロの言葉、理解してないか?

 まあ、便利だからいいか!

 脳みそないから、難しい事を考えても無駄だしね。


 まあ、シロは、ネームドシルクタランチュラに進化して強くなってる筈だし、

 俺も、ウッドデッキ造りの続きがしたいので、1人で獲物を狩ってきてくれるのは有り難い。


「分かった。なら1人で行ってこい!」


「キュイ!」


 俺は、狩った肉を持ち帰りできるよう、魔法の鞄をシロに渡し、送り出したのだった。



 ーーー


 次の日。


 森林ステージの第12階層には、アムルーダンジョン最強ギルド、『鷹の爪』が訪れていた。

 アムルー冒険者ギルド直々に、金色のスケルトンを調査する依頼を受けたからだ。


「やっぱり、もう居ないわね」


 紫色のロングの髪に、とんがり帽子。

 紫色で、切れ長の目をした、20代後半と思われる巨乳の女が、

 ミスリルの鎧を装備した、ガタイの良い、頬に切り傷がある茶髪の男に話し掛けた。


「だな」


 返事をした、頬に切り傷がある男は、『鷹の爪』のリーダーで、名をラインハルトと言う。

 トンガリ帽子の巨乳の方は、アナスタシアと言い、『鷹の爪』の凄腕魔法使いだ。


 そして、もう一人。

 日本の着物のような服を着ている、日本刀に似た刀を持った黒髪の無口の男が、ケンジだ。


 ケンジは懐手をして、目を閉じながら歩いている。

 何故、ケンジが目を閉じてるかというと、それが、ケンジ的にカッコイイと思ってるからだ。


 心の中で、『目を閉じて歩ける俺って、達人じゃね!』とか、思ってるのだろう。

 まあ、パーティーメンバーには、薄目にしてるのがバレバレなんだけど。


「居る」


 薄目のケンジが何かに気付き、パーティーメンバーに注意を促す。


「どこだ?」


「西の方角だ」


「西ってどっちだよ!」


「西は西だ」


「だから、ダンジョンの中だから分からないだろ!」


「俺には分かる」


 ケンジは、ドヤ顔で答える。


「あんた達、何、遊んでるのよ!

 ケンジ、とっとと敵が居る方角を指さしなさいな!」


「あっちだ」


 ケンジは森がある、西の方角を指さした。


「最初から、そうしろよ!」


 ラインハルトが、キレ気味でケンジを突っ込む。


「2人共五月蝿いわよ! 敵が、あの金色のスケルトンだったらどうするつもりなの!

 しっかり準備なさい。」


「わぁーてるよ!」


「準備は出来ている」


 ラインハルトは、盾を構え、ケンジは鞘に手を掛ける。


「第4階位闇属性魔法、隠密!」


 2人の準備を確認したアナスタシアが、気配を消し去る事ができる闇属性魔法を、パーティーメンバーに掛けた。


「準備できたわ! それじゃあ、森に入るわよ!」


「おお!」


「うむ」


『鷹の爪』は、周囲を注意しながら、不気味な雰囲気がする、西の森に立ち入った。


「凄い魔力を感じるわね……」


「だな」


 アナスタシアの問いに、ラインハルトは短く答える。


「アッチだ」


 目をバッチリ開けたケンジが、森の奥を指さす。

 やはり、強敵が居ると感じると、流石のケンジも目を開くのだろう。

 しかし、一重で目が小さいので、目を開けても それもほど変わらない。


「魔力が、濃くなってきたわよ!」


「魔力が無い俺でも、ピリピリ感じるぜ!」


「待て! すぐ近くにいる」


 ケンジが小声で、二人に注意を促す。


「エッ!」


「何だ! これは……!」


 ラインハルト率いる『鷹の爪』が、そこで目にしたのは、森中に巧妙に張り巡らさた蜘蛛の巣。


 そして、その蜘蛛の巣に引っ掛かった、数百にも及ぶ牙狼族にむしゃぶりつく、

 見た事もない、白色の巨大な蜘蛛だった。


 ーーー


 ここまで読んで下さりありがとうございます。

 面白かったら、☆☆☆☆☆押してね!

 作者が、飛び跳ねて喜びます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ