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19. ネームド

 

 突然、シロが、目を覆うほどの眩しさで、光り輝いた。


 俺は、何が起こったのかと身構える。


 しかし、シロは一瞬、光っただけで、元の状態に戻っていた。


「何だったんだ?」


 俺は一応、シロのステイタスを、鑑定で見てみる。


 名前: シロ

 種族: ネームドシルクスパイダーLv.5

 称号: 編み物上手

 スキル: シルク糸、粘着糸、編み物

 力 120

 HP 230

 MP 120


 種族が、ネームドシルクスパイダーになっていた。

 そして、普通のシルクスパイダーより、かなり強くなっている。


 まあ、ネームドの魔物は、普通の魔物より強いのは常識だが、しかし、何故、シロはネームドになったのだ?


 ありがちなパターンだと、強い個体が冒険者とかと遭遇し、勝手に二つ名を付けられて呼ばれている内に、いつの間にかネームドに進化する場合があるが、俺は、今、適当に名付けただけだぞ?


 もしかしたら、強い魔物が、格下の魔物に名前を付けると、簡単にネームドに出来るのか?


 その辺の事は、いくら考えても俺には分からない。なにせ俺の知識は、人間のものであって、魔族のものではないし。

 いつか、強い魔族に遭遇したら、聞いてみよう。

 まあ、教えてくれたらだけど。


 そんなこんなで、シロの名前が決定し、俺は、いつものレベル上げの日常に戻った。


 しかし俺は、現在、苦境に喘いでいる。

 レベルが、全く上がらないのだ。


 レベルが中々上がらない俺は、何度かミスリルスライム討伐にチャレンジしたのだが、まだ、1度も攻撃が当てられずにいる。

 仕方が無いので、コツコツと鉄スライムを倒しているのだが、流石にもう限界だ。


 という訳で、俺はシロをレベル上げに連れて行く事にした。

 シロに蜘蛛の巣を張ってもらって、ミスリルスライムを拘束してから倒そうという作戦だ。


 そしてこれがハマった。


 ミスリルスライムの出現ポイントのあらゆる場所に蜘蛛の巣を張っていたら、次の日には、ミスリルスライムが蜘蛛の巣に掛かっていたのだ。


 俺は動けなくなったミスリルスライムの魔核にエアーバレットを撃ち込むだけ。


 一匹倒したら、いきなりシロのレベルが32まで上がったのには驚いた。


 そして、ネームドシルクスパイダーも、lv.30を超えると進化可能になるらしく、シロが進化したそうに、俺をチラチラ見てくる。

 そう、シロの主人である俺には、シロを進化させる決定権があるのだ。


 そんな訳で、シロが何に進化できるのか鑑定で調べてみた。


 [ネームドシルクスパイダーから、ネームドシルクタランチュラorネームドレッドタランチュラに進化]


 う~ん……。これは悩む……。


 どちらもシルクスパイダーより強くなるのだが、シルクタランチュラより、レッドタランチュラの方がかなり強いのだ。


 スパイダー系の魔物は、火に弱いと相場が決まっているのだが、レッドタランチュラは火属性に耐性があり、しかも、火属性魔法まで使ってくるという、スパイダー系の弱点を無くしてしまった最強の蜘蛛種なのである。


 なので俺は、シロをネームドレッドタランチュラに進化させたいと思うのだが、如何せん、ネームドレッドタランチュラに進化させてしまうと、体の色が紅くなってしまうのだ。


 しかし俺は、シロを、シロと名付けてしまっている。

 それも、体の色が白色だからという理由で。


 シロが赤色になったら、名前をアカに変えないといけない気がする。

 これは一応、シロの気持ちも聞いて見た方が良さそうだ。


「シロ、もしもだぞ。もし、お前の名前をアカに変えるっていったらどうする?」


「キュイ!キュイ!キュイ!キュイ!」

 シロは、必死に首を横に振る。


「じゃあ、体が赤色になるのは?」


「キュイ!キュイ!キュイ!キュイ!」


 相当、イヤらしい。

 名前をシロと決めた時も、とても喜んでいたし、相当、自分の体の色が気にいってるようだ。


 これは、ネームドレッドタランチュラに進化させるのは絶対に無理そうだな。

 希少種なので、残念だけど……。


 まあ、仕方が無いか。

 シロは、白色が好きなのだ。

 確かに、赤色より白色の方が可愛らしいし。


 それにまだ、シロには、カーテンとかテーブルカバーとか、ログハウスの備品を作って貰わないといけないからな。


 ネームドレッドタランチュラになったら、シルクのようなツヤツヤな糸が出せなくなるかもしれないし。


 俺は、シロのステータス画面を操作し、ネームドシルクタランチュラをクリックした。


 すると、シロは糸が切れた操り人形のように、その場で倒れ、深い眠りについてしまった。


「しまったな……拠点のログハウスで進化させれば良かった」


 終わった事は仕方がない。

 俺はシロを抱えて、拠点のログハウスに戻る事にした。


 勿論、ユニークリッチーの俺は、ミスリルスライムの回収も忘れない。


「ウッヒョー! お金だ!」


 ユニークリッチーになってからというもの、俺は、引くほど金の亡者になってしまっているのだ。

 キンキラに光ってるものに、妙に惹かれたりする。


 貴重で高価なミスリルになるミスリルスライムの死骸なんて、今の俺には、円マークが付いたお金にしか見えないからね。



 ーーー


 ここまで読んで下さりありがとうございます。

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