18. シロ
「よし! シルクスパイダー。早速、ベッドマットのカバーを作るんだ!
このベッドの大きさに合わせるんだぞ!」
「キュイ!」
俺は湖畔のログハウスに着くと、早速、下僕のシルクスパイダーに命令する。
シルクスパイダーは、命令すると、俺の言葉が分かるのか、セッセッと尻から糸を出して、マットカバーを編み出した。
調教すると、主人の言葉が分かるようになるのか?
それとも、魔物同士だから言葉が分かるのか?
まあ、それは無いな。だって俺、シルクスパイダーの言葉分からないし。
取り敢えず、俺が言葉が分からなくてもシルクスパイダーが、オレの言葉が分かってたら問題ないのだ。
俺は面倒臭いので、深く考えない事にした。
シルクスパイダーが作業している間、俺は暇なので、ログハウスの家具作りに精を出す。
タンスやテーブル、椅子やソファーの骨組み、8LDKなので、結構大変だ。
見た目がオシャレな湖畔の別荘なので、やはり室内もオシャレにしたい。
「キュイ!」
そうこうしていると、シルクスパイダーが、完成したベッドマットのカバーを持ってやって来た。
「おっ! 早いな」
俺はシルクスパイダーに渡された、ベッドマットのカバーを確認する。
「うん。よく出来てる。偉いぞ!」
「キュイ!」
シルクスパイダーは、褒められて嬉しいようだ。
早速、ベッドルームに持って行き、ベッドマットのカバーに、羊スライムの死骸を入れてみる。
「いい感じだ」
「キュイー!」
シルクスパイダーも、ベッドの上で飛び跳ねている。
「そうだ。お前の寝床も作ってみたらどうだ?大きめなクッションみたいなの」
「キュイ!」
シルクスパイダーは、「本当に?!」って顔をして、早速、その場で寝床を編み出した。
時間にして、5分。
速攻で寝床のクッションカバーを作ったので、俺はその中に、羊スライムの死骸を入れてやる。
「キュイキュイ!」
とても有能なシルクスパイダーは、寝床のクッションの寝心地を確認するかのように、仰向けに寝てみたり、横になって寝てみたりしている。
「キュイー!」
どうやらシルクスパイダーは、「ありがとう!」と、お礼を言ってるようだ。
「ウンウン、可愛い奴だな」
というか、呼ぶ時に、シルクスパイダーとか、お前とか呼ぶのもアレだし、名前でも付けてやるか。
「おい! お前の名前を付けようと思うんだが何がいい?」
「キュイ」
「キュイって名前がいいのか、しかし却下だ!」
「キュイ……」
「不満か?しかしだな、もし、俺とお前が一緒にいる時に、荒くれ冒険者とかと遭遇してみろ。
その時、俺が、お前の事をキュイなんて、可愛いらしい名前で呼んでたら、荒くれ冒険者にお腹を抱えて笑われてしまう。
だって、俺、この顔だぜ。
骨と皮しかないし、見た目から悪の化身だろ」
「キュイ?」
「分かってくれたか! そしたらそうだな……俺はお前の事を、これからサイコと呼ぶ事にする!」
「キュイ!キュイ!キュイ!キュイ!」
シルクスパイダーは、必死に首を横に振る。
「エッ……嫌なの? 闇属性のリッチーの下僕としては、最高にサディステックでサイケディックな名前だと思うんだけど?」
「キュイ!キュイ!」
シルクスパイダーは、更に早く、顔が見えなくなる程、首を横に振っている。
首が取れないか心配になる程だ。
「サイコだけは、絶対に嫌なのか?」
「キュイ」
シルクスパイダーは、ウンウン。必死に首を縦に振る。
「カッコイイと思うんだけどな……他に思いつかないんだけど……」
すると、シルクスパイダーは、私を見てとばかりにクルクル回りだした。
「何だって、自分の事を良く見ろだって?」
「キュイ」
「う~ん……白いな……」
「キュイ!」
シルクスパイダーは回るのを止め、飛び跳ねた。
「ん? お前、シロって名前がいいのか?」
「キュイ!!」
そのまんまの名前だが、本人がそれで良いと言うなら、まあいいか。
シロなら俺も、冒険者の前でギリギリ呼べるし。
「よし! そしたら、お前の名前は、今日からシロだ!
俺様の、最初の下僕に任命する!」
「キュイ!」
シロが、飛び跳ねながら元気よく返事をする。
と、その瞬間!
突然、シロが、目を覆うほどの眩しさで、光り輝いた。
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