17. シルクスパイダー
俺は現在、第18階層にいる。
第18階層は、蜘蛛が闊歩する階層。
俺はそこで、シルクスパイダーの糸を調達というか、調教しに来ているのだ。
どうやって調教するかというと、俺の持ってる闇属性魔法を使う。
闇属性魔法は、人に癒しを与える光属性魔法の真逆の特性を持つ魔法で、簡単に言うと、人を不快にさせる魔法である。
第1階位魔法までは、人を不安や不快な気持ちにさせたり、または仲間同士に猜疑心を与える程度の魔法しか使えなかったけど、第2階位魔法になると、嫌な思い出を見せる精神系の魔法や、人の心を支配する調教など、いかにも鬼畜っぽい魔法が使えるようになるのだ。
因みに、今の俺のステータスはこんな感じ。
種族: ユニークリッチー lv.17
職業: 勇者
称号: 不死者、思い出すのが遅すぎた男、骨なのに勇者、運の無い男、陰陽を極めた骨。
スキル: 超隠蔽、不死、鑑定
魔法: 第2階位光属性魔法。第2階位火属性魔法。第2階位闇属性魔法。第2階位風属性魔法。
力 30
運 30
HP 170
MP 290
しっかり、第2階位闇属性魔法を覚えている。
「という訳で、シルクスパイダー狩りだ!」
シルクスパイダーは、高さ30センチ、巾70センチ程の白色の蜘蛛で、蜘蛛の中ではとても綺麗な部類に入る。
たまに、高級な服飾屋さんがテイムして飼っていたりするので、結構、ポピュラーな蜘蛛だったりする。
しかし、その性格はとても獰猛で、しかも滅茶苦茶強く、捕まえるにはA級冒険者10人は必要と言われている難敵なのだ。
俺は、そんなシルクスパイダーに、空中からエアーカッターを浴びさせる。
シルクスパイダーも糸を飛ばして応戦してくるが、俺のエアーカッターは、その糸をことごとく切断する。
やはり、空中からの攻撃は有利だ。
戦車が、戦闘機の爆撃に敵わないのと一緒。
ヤバかったら、空に逃げればいいだけだし。
俺はやりたい放題で、シルクスパイダーの全ての脚を切断した。
「よし! これで身動きとれないな。後はシルクスパイダーを調教するだけだ」
俺はシルクスパイダーの前に降り立ち、杖でシルクスパイダーの頭を殴りつけた。
「おい! お前! お前は今日から、俺の下僕になるんだ!」
「キュイ!!」
シルクスパイダーは、殺意のこもった真っ赤な8つの目で、俺の事を睨みつけてきた。
「うん。まだまだだ」
調教を成功させる為には、まず相手に、絶対に敵わないと思わせなければならないのだ。
俺はシルクスパイダーの頭を木魚と見立てて、杖でポコポコとタコ殴りする。
「キュイーー!!」
シルクスパイダーは、怒り心頭だ。
上顎をガシガシ動かして、俺を威嚇してくる。
「強情だな……しかし、強気でいられるのも最初だけだ!
お前が、俺を認めない限り、ポコポコ攻撃は一生続くのだからな!」
ポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコ……。
「キュィィィーー!!」
「ハッハッハッハッハッ! どうだ痛いだろ?
早く俺に降参しないと、次は、火あぶりの刑だぞ!」
俺は、杖に炎を纏わせて、シルクスパイダーに近づける。
「キュイ…キュイキュイ……」
シルクスパイダーは、どうやら自分の負けを認めたようだ。
相当、炎が怖かったらしい。
「お前は、俺に絶対服従だ! 分かったな!」
「キュイ」
どうやら、シルクスパイダーの調教が完了したらしい。
俺が今した行為が、本当に闇属性魔法なのか謎の部分があるが、鑑定で調べたらこのやり方が書いてあったから、間違いないのだろう。
俺は、シルクスパイダーの調教が完了したので、切断した脚を元の場所にくっ付けて、ヒールを掛けてやった。
「キュイ。キュイ。キュイ」
どうやら、シルクスパイダーは喜んでいるようだ。
「よし! 行くぞ! シルクスパイダー。我がアジトに!」
俺は、初めての下僕に向かって、カッコよく命令した。
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