表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/79

16. 羊スライム

 

 俺は木をカットして、ベッドのフレーム作りをしている。


 トリプルベッドを作ろうとしていたのだが、思わずオクタプルベッドのフレームを作ってしまった。

 因みに、オクタブルは8を意味するらしい。

 これは鑑定で調べたので間違いない。


 これでハーレムを作った時に、同時に7人の相手ができる。


「早く、肉を。肉棒を手に入れなければ!」


 俺は必ず肉を手に入れる事を、今日ここに誓った。


 でだ。俺はベッドのマットを作らなければならない。


 ベッドのマットの材料は、羊スライムを使う事にする。

 羊スライムは、程々の弾力があるスライムで、最高級ベッドのマットに使われるスライムである。


 そして、その羊スライムなのだが、アトレシア大陸北西部にあるオーランド共和国にしか生息していないと言われているのだが、何故かアムルーダンジョンの第22階層にも居るのだ。


 俺は早速、羊スライムが生息している平原に向かう。


「おっ! たくさんいるな!」


 平原には、数百頭の羊スライムがボーッとしていた。

 羊スライムは、最高級品である。

 一匹10万ゴルで取引されているのだ。


 俺は思わず目が眩む。

 ここにいる羊スライムを全部捕まえて、街で売ったら幾らになるんだ?

 俺は思わず数えてしまう。


 数分後。


 358匹いる。

 全部売ったら3580万ゴル。

 日本だったら、マンションが買えてしまう。


 しかし、俺はユニークリッチーだから、街に行けないので、お金に変えられない。

 しかし、俺はお金が欲しい。


 俺ってこんなに拝金主義者だったっけ?

 ちょっとおかしい。

 今の俺には、羊スライムがお金に見えるのだ。


 俺は冒険者時代、宵越しの金は持たぬ散財家だった。

 稼いだ金はその日に使う、典型的な冒険者だったのだ。


 確かに、お金は好きだったが、これ程では無かった筈だ。


「アッ……そう言えば……ゴールデンスケルトンになった時、リッチーが俺の周りをやたら飛んでいたな……まさかな……」


 俺は適当に、風魔法を使って羊スライムを倒して、魔法の鞄にしまった。


「これだけあれば、マットに使うのに十分だな」


 俺はそのまま湖畔のログハウスに戻ろうとしたのだが、体が動かない。


「何が起こっているのだ?」


 俺の右手が勝手に動いて、羊スライムに杖を向ける。


「おい! 嘘だろ?!」


 そして俺は、第一階位風属性魔法ウィンドーカッターを羊スライムに向けて放っていた。


 暫くした後、平原にいた羊スライムが皆殺しになっていた。


「ウッヒョー! お金だお金!」


 そして俺は、小躍りしながら魔法の鞄に羊スライムの死骸を入れていた。


 しかしながら、358匹もの羊スライムは魔法の鞄に入りきらない。


「糞! 入らない! お金が消える!」


 そう、ダンジョンで死んだ魔物や人間は、暫くすると、ダンジョンに吸収されてしまうのである。


「お金お金お金お金……俺のお金がぁーー!」


 どうやら俺は、リッチーに進化したせいでお金の亡者になってしまっていたようである。


 やっと、肉の欲求から解放されたというのに、今度は、お金の亡者になってしまうなんて……。


「まっいいか!」


 お金は有っても困らないし。

 ゲットした羊スライムの死骸は、家に置いとけばいいし。


 なんか知らんが、家は消えないんだよね?

 多分、少しでも加工したものなら、ダンジョンに吸収されないのかもしれない。


 それにしても勿体無い事した。

 魔法の鞄に入るだけ、羊スライムを倒せば良かったのだ。

 そしたら、羊スライムはダンジョンに吸収されなかったのに。


 初めてのお金への衝動だったので、自分でコントロール出来なかったのだ。


 興奮して、羊スライムを皆殺しにしちゃったけど、本来のリッチー的観点なら、羊スライムを皆殺しにするべきでは無かった。

 リッチーの行動原理は、損得感情で動くようである。


 ちょっと性格がお金に汚くなったが、人肉食べたいとか、脳味噌食べたいとか思うよりはマシだ。


 お金が欲しいと思うのは、俺から言わせれば人間らしい欲求なのだ。


 俺は少しだけ、人間に近づいたのではないかと思うのであった。


 骨が金色になった時点で、無理そうな気もするけど。


 ーーー


 ここまで読んで下さりありがとうございます。

 面白かったら、ブックマークに入れてね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ