14. ジャパンプライド
俺は湖畔の拠点予定地で、せっせと土台の枠型の板を設置している。
本来なら鉄スライム狩りに行く時間なのだが、小屋の設計図を地面に描いたら、テンションが上がってしまったのだ。
俺は明け方から、次の日の真夜中まで掛かって、型枠の設置を終わらせた。
「よし、後は、この型枠にコンクリートを流せば、土台の出来上がりだ!」
と、思ったのだが、地球の知識がある俺は、突然、地球では土台の中に鉄筋を入れている事を思い出した。
「うん。これはアレだな。地震が起きた時など心配だから、鉄筋を入れた方がいいな」
ダンジョンの中で地震が起こるかは謎だが、鉄は、鉄スライムからも作る事が出来る。
鉄スライムは、乾燥すると固まって鉄になるのだ。
なので、倒してから急いで、魔法の鞄に入れておけば問題ない。
しかしながら、倒し方を考えなくてはならない。
今までは、ファイアーボールで燃やしていたから、手にとると絶対に火傷しそうだ。
「今回からは、風魔法で倒さなくてはならないか……」
ウィンドーカッターで、鉄スライムを切れるか?
少し、無理そうな気がする。
空気を圧縮して、鉄砲の弾のようにしたら、鉄スライムの魔核だけを弾き飛ばせるのではないか?
こちらの世界には無い魔法だが、俺が持っている地球の異世界モノのラノベの知識では、普通にある魔法だ。
その名も、エアーバレット。
第一階位風属性魔法でも、無理なく発動出来る筈だ。
一応説明しておくと、この第1階位魔法とか第2階位魔法とかいうのは、一つの魔法で使える魔力の大きさを表している。
水魔法で考えると、第1階位魔法は、バケツ一杯分の魔法を出せて、第2階位だとバスタブ一杯分の水を出せるという訳だ。
なので俺は、第一階位風属性魔法で使える分の風を極限まで圧縮して、風の弾丸を作り、鉄スライムの魔核だけを撃ち抜く作戦を思いついたのだ。
魔力は、圧縮すればする程パワーが上がるので、普通に魔法を放つより、威力が何倍にも跳ね上がるというカラクリである。
俺は早速、鉄スライムの狩場に向かい、エアーバレットを試してみる。
ズキューン!
俺が放った、エアーバレットは、見事に鉄スライムの魔核を撃ち抜いた。
それと同時に、鉄スライムは形状を保てなくなり、その場で座布団の様になった。
俺は急いで、鉄スライムが固まる前に、魔法の鞄にしまう。
このエアーバレットは、使える。
今まで、鉄スライムを倒すのには、2発から3発のファイアーボールを当てなくてはならなかったが、エアーバレットなら一発当てれば良いだけだ。
俺は、エアーバレットを撃ちまくる。
しかし、意外と当たらない。
どうやら、最初はまぐれであったようである。
懲りずに狙い続けるが、鉄スライムの魔核は小さい。
その魔核にピンポイントで、エアーバレットを当てるのは至難の技なのだ。
「糞! イライラする」
まさか、何気に思いついた、土台に鉄筋を入れる作業が、これほど難航するとは思わなかった。
しかし、俺は何がなんでも、土台の中に鉄筋を入れたい。
これは、地震大国である元日本人の俺にとっては、外せない作業というか、
手抜き工事を絶対にしないという、日本人のプライドの問題なのである。
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