13. 小屋
俺は案の定、MP切れを起こしている。
レベル4に上がる為には、鉄スライム1匹では上がれなかったのだ。
俺は仕方が無いので、MPが回復する間、第22階層を探索する事にした。
第22階層は、ハッキリ言って地上と変わらない。
スライムはたくさんいるが、弱いスライムは襲って来ないし、強いスライムはすぐ逃げ出すので、案外、ここに住めば快適に過ごせそうである。
俺は色んな場所を探索し、湖畔の静かな平地を見つけた。
バックには山脈がそびえ、雄大な景色が広がっている。
「ここに家を建てたいな」
俺は、思わず口にする。
というか、建ててしまおう。
幸い、冒険者だった時に、家を建てるのを手伝った事がある。
凄い家は建てれないが、雨風を防げるくらいの掘っ立て小屋なら建てれる筈だ。
MP回復するまで、やる事ないし、時間潰しにもなる。
まず、土台だな。
俺は、早速、セメントの繋ぎになる、その名も粘着スライムを狩りに行く。
俺はリッチーなので、魔法攻撃がメインなのだが、俺はMPを消費する訳にはいかないので、粘着スライムは剣で倒さなければならない。
まあ、粘着スライムはそれほど強くないので大丈夫なのだが、結構な数を倒さなければならない。
多分、土台を作るのに200匹は必要だろう。
俺は粘着スライムの住処に移動し、粘着スライムと戦闘を始めた。
粘着スライムは、粘着力のある物体を飛ばしてくる。
それさえ避けてしまえば、どうってこと無い。
俺は基本、飛んで攻撃するので、粘着物体に当たっても、逃げればいいだけ。
地面しか歩けない人間には厄介な魔物だが、俺にとってはお得意様と言える。
俺は、冒険者時代に鍛えた剣術を駆使して、粘着スライムを次々に倒していく。
「粘着スライムって、こんなに弱かったかな?」
今の俺は空中浮遊できるので、立体的な攻撃が出来てしまう。
そのせいか、冒険者時代より剣の腕が上がった気がするのかもしれない。
そうこうしていると、MPが回復して来た。
俺は粘着スライム狩りを切り上げて、本来の目的である鉄スライム狩りに出掛ける。
鉄スライムも剣で倒せたら、こんな面倒な事をしなくても良いのだが、鉄スライムは、剣撃を弾くので、魔法攻撃で倒すしかないのだ。
鉄スライム討伐は、素早い魔物に魔法を当てる練習にもなるので、そう考えれば少しはやり甲斐もある。
取り敢えず、俺は2匹の鉄スライムを倒して、Lv.4にレベルアップする事に成功した。
しかしまた、MP切れを起したので粘着スライム狩りに向かう。
基本、スケルトンになってからというもの、進化する時とMP切れになる時以外は眠気が襲ってこないので、ノンストップで、鉄スライムと粘着スライムを交互に倒し続ける事ができるのだ。
それからこれは、第22階層に来て気付いた事なのだが、夜中に活動すると、俺はハイテンションになる。
やはり闇属性の魔物は、暗闇が好きなのかもしれない。
死霊系ばかりいる第21階層は、いつでも薄暗い朽ち果てた霊廟のステージだったからか、いつでもハイテンションだったが、一日の移り変わりのある第22階層では、何故か朝と昼は魔法のキレが悪い気がするのだ。
とか考え事をしながら、粘着スライムを狩っていたら、30キロ入る魔法の鞄が一杯になってしまった。
俺は取り敢えず、拠点にする予定の湖畔の平地に戻る。
そして、魔法の鞄から粘着スライムを全て取り出し、再び、粘着スライム狩りに向かう。
そんな生活を2週間程してたら、俺はLv.10に上がった。
ステータスはこんな感じ。
種族: ユニークリッチー lv.10
職業: 勇者
称号: 不死者、思い出すのが遅すぎた男、骨なのに勇者、運の無い男、陰陽を極めた骨。
スキル: 超隠蔽、不死、鑑定
魔法: 第1階位光属性魔法。第1階位火属性魔法。第1階位闇属性魔法。第1階位風属性魔法。
力 25
運 30
HP 100
MP 250
「よし! 思った通りだ。風属性魔法が増えている」
第21階層で見たリッチーは、結構、風属性魔法を使っていたので、絶対に覚えられると思っていたのだ。
俺は早速、湖畔の拠点に戻り、近くの森で第1階位風魔法ウィンドーカッターを使って見た。
スパパパパァーン!
目の前にあった木が、均等な材木にカットされた。
「よし! いい感じだ!」
俺は調子に乗って木をカットしていく。
土台のセメントを流し込む為の枠用の木材と、小屋の材料になる木をカットしているのだ。
小屋の材料の方は、少し乾燥させたいので、枝だけ切り落とし、その辺に転がしておく。
まあ、土台の枠は、すぐ使うから乾燥させなくても良いだろう。
そして、再び小屋を建てる予定の拠点に戻り、俺は地面に小屋の設計図をそのまま描いていく。
「ここは玄関で、ここはリビング。そして、トイレも必要だな。
今は何故かウンコ出ないけど、肉が付いたら、ウンコも出る筈だし!」
とか、独り言を言いながら、せっせと描いていく。
「出来た! 8LDK、アイランドキッチンの平屋!」
小さな小屋を作るつもりだったのだが、設計図を描いていたら、テンションが上がってきて、気付いた時には、滅茶苦茶広い平屋になってしまっていたのだ。
描いていたのが、真夜中だったのも関係あるかも知れない。
「広すぎたかな……。まあ、誰の土地か知らないけど、余るほどあるからいいよな!」
と、俺は、自分自身を納得させた。
しかし、この何気ない決断が、後に大波乱を起こす原因になるとは、この時の俺には分かる筈のない事だった。
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