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5.性悪による性善

投げられた缶が地面にぶつかり、知らせる。ここはゴミ箱であると。

下を向いてばかりのせいなのかポイ捨てされたゴミに気づく、だが見て見ぬふりして通り過ぎることが多い。

逆に空ばかり見ている冒険者はそもそもゴミがあることに気づかない。恐らく青く輝く空に心奪われているからだろう。

あるいはゴミのない空中に憧れているのか。だがそれも見えないだけ。

宇宙ゴミが漂っている。


スパイダーマンは犯罪者を黙らせ、石川五右衛門は盗賊ながら富豪らを懲らしめた。

一般市民からすればどちらも英雄であっただろう。

法を破ってもヒーローになれていた。


何の罪もない市民を襲ったり、金をだまし取ったりした人。たとえばあなたの家族や友人や恋人がターゲットだ。

その人はまもなく牢獄に捕らえられるだろう。場合によっては処刑もありうる。

指名手配犯を見つけ出した人、捜査が終わっても一人で頑張り続けた人、悪党が苦しむたびに我々は安心して暮らせる。

だがその人が家族から暴行を受けて育ち、だれも頼れる人がなく、飢餓に苦しんで物を奪い、人を殺したのならば、その事実を知ったのならばどうだろう。

本当に悪いのは人間ではなく、環境だったのだろう。だがその環境は誰が作った。そのニュースに耳と目を塞いでいる人たちだ。

そう思ったとき、悪人が一気に増える。

彼らにはそう見えていたんだ。


隣の国では人殺しが横行しているとする。

国境には丈夫な壁があり、あっちの様子は監視できる。

十秒に一人が死ぬ世界が壁の向こう、数センチ先にはある。

遠くでモニターから見ている我々と、現地でカメラを回す命がけの人。

見ている景色は同じであるはずなのに、我々は怖がることはない。

視覚じゃ恐怖を伝えることはできないのか。目を瞑っているのと変わらない。


どこかの時代では、動物園にいるのと同じ見た目の動物が人間を喰って暮らしていた。人間も槍を持って、小動物の体を手で掴んで突き刺していた。

今では楽になって並んでいるだけ。


どこかの時代では、指を刺すだけで人を処刑できた。猫も女も怪しいやつなんて、声を聞かれることもなく死んでいった。

だけど根本的に問題は解決することはない。

今では愚かだと否定できてしまう。だがそのような人がその時代では死んだのだろう。


こんなどうしようもない世界で人類は生きてきて、悪人も善人も見分けるのが面倒になっているのは、この世界に呆れているからかもしれない。

だからどっちも称賛しない。

すると正義を唱えた人が都合よく消えていった。

現状維持が最も楽だから、退かせたんだ。

でも悪人は消えなかった。むしろ活発になっていく。


やはりこの世界は生き難い。

何をするのにも疲れを伴うし、予想のことばかり起こる。

昔に比べたら楽だけど、そんなものは歴史を理解できる人でしか認識できない。


都合の悪いことがいつの時代でも先にあって、それを解決して称賛されれば嬉しく、英雄になれる。

つまり悪があるからこそ、英雄は生まれられる。悪人がいなくなれば英雄もいなくなるのだろう。

でも英雄がいなくなったら悪人がいなくなるわけではない。警察がいなくなれば犯罪者は消えないだろう。

世界は悪人が先に存在している。悪こそが根源である。


それをどこかでわかったから捨てられたゴミから目を逸らすのだろう。そのような人を悪と言う人もいるし、さらにその人を悪だと言う人もいる。

理想的である善人はそのどちらでもなく、ゴミを片付ける人だ。

悪人ばかり見てたらそのような人に気づかない。


でも例えば悪人が大物であれば、それを片付けた人は、英雄として認識される。

それは悪人が目立ったから、いなくなったことが目立ち、英雄が目立つから。

子供が憧れる英雄はそのようなものだ。

そしてこの憧れに世界の美しさを抱く。


世界は悪が根底にある。

そのことに強く絶望するから、救われたときの気持ちも強くなる。

悪から善が生まれていた。

だが我々は悪が好きなわけじゃない。だれでも悪になりたくてなるわけではない。仮になるとしても、それは相対的なものだ。

誰かから見れば悪人も英雄だから、憧れる。

美しいものは存在している。それを求めて生きていく。

このようなあり方は性善のようだとおもえる。

だれしも自分が悪者だと思いたいわけではなく、正しいと言ってもらいたい。







知らんけども、どっかの青くて丸い人がそうやって言っていた。


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