地下牢①
初めに紹介しよう。
俺は高校生16歳。
頭の出来はあまりよくなく、地元の公立校を受験するも日々の勉強不足のせいで当然落ちてしまい、名前だけ書けば入れる私立の普通科に在籍している。
昔から本を読むことが好きで流行りの異世界転生モノを愛読している。
ゲームを時間制限なく楽しんだりもして貴重な青春の時間を費やしている。
また、アウトドアも好きで釣りや父のDIYを手伝ったりしていた。
ただし、一人で山に行ってなんでもできるわけではなく、素人に毛が生えた程度である。
草むらの向こうで野生動物にガサガサされる状況なんて絶対に無理。
同じような繰り返しの毎日だけどスマホもあるし日々更新されるネット漫画や投稿アプリを回覧することで些細な幸せに満足している。
とある日、いつものように学校の帰り道、うす暗い雨の中を国道の面する道を歩いていた。
シャッター街と言われている商店街のアーケードを横目に大きな遊歩道を渡ろうとした時に信号の下に見慣れぬ形のタブレットが落ちていた。
誰かの落とし物だと思ったけれど、タブレットに目を移した瞬間に周りの音が消えたような感じがして、手を伸ばそうと近づくにつれて、画面が光りだした。
林間学校で寝ている最中に急に部屋の明かりをつけられたときに似ているな、と途切れ行く意識の端にぼんやりと思い浮かべた……。