創作
レビュー執筆日:2021/9/6
●「コンセプト性」よりも「分かりやすさ」を強調させてきた印象が。
【収録曲】
1.強盗と花束
2.春泥棒
3.創作
4.風を食む
5.嘘月
ヨルシカの5曲入りのEP。今作において特に興味深く聴くことができたのは冒頭の2曲である『強盗と花束』と『春泥棒』しょうか。両方ともポップで分かりやすいメロディを聴かせる点は共通しているのですが、歌詞に関しては、前者はシリアスで攻撃性をはらんだもの、後者は「春の終わり」を爽やかに描いたものと大きく雰囲気が異なり、そういった2曲を並べて収録する辺りにある種のユニークさを感じられます。
そして、インストナンバーの『創作』を挟んで『風を食む』『嘘月』と続くわけですが、これらに関しては、冒頭の2曲と比べて盛り上がりをあえて抑えたような感じで、「曖昧」な雰囲気の歌詞と相まってやや地味な印象を受けました。まあ、この点に関しては「EPの前半と後半で楽曲の雰囲気を変える」という彼らなりの「演出」なのかもしれませんが。
前作の『盗作』とタイトルは似ているものの、全体を通してのコンセプト性はそこまで強くなく、特に前半において「分かりやすさ」を強調させてきた印象のある本作。その中でも『春泥棒』は「春ソング」としての完成度は非常に高いと思いますし、個人的には、アルバム単位でそういうポップな面を強調させた作品を聴きたい……と思わせるようなEPでした。
評価:★★★★