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夏祭りに好きな子をうまく誘えない僕だけど

作者: 綸子

梅雨明けしたと思ったら、急に暑い日が続いている。



僕は夏が苦手だ。すぐ汗をかくし、暑いと集中力が削がれる感じがする。



苦手なものは、他にもある。



他人とコミュニケーションをとることも苦手だ。悪気があるわけじゃないのに、空気読めよと言われることが多くてうんざりする。



でも、彼女は別だ。




ひょんなことから知り合った彼女は、僕と違って友達が多いタイプなのだが、僕が話を聞いていると話しやすいのだと言う。



面白い返しとかできないけど、と言ったら、




面白い事言ってほしい訳じゃないからー!と笑っていた。そして、




「私、頭は良くないけど、バカにしてくる人とそうじゃない人はなんとなくわかるよ。君は愛想はないけど、私のことバカにしたりしてないと思う。」



と、言ってくれた。



なんかいいな、と思った。



この子の取り留めのない話をもうちょっと聞いていたい、と。



つい、本人にそう言ったら、





「…それ、告白ってこと?彼氏とか、彼女とか、そういうやつ…?」




と、真っ赤な顔で聞かれた。






あ。可愛い。






言葉が口から勝手に出ただけで全くそういうやつではなかったけど、可愛いからそういうことにしよう。



そんなわけで、彼女ーーマミとは付き合うことになった。





問題はその後だ。




なんせ今まで好きな人すらいたことがない恋愛初心者なので、何をどうしたらいいのかさっぱりだ。



会うたびにひたすらマミに喋らせるだけ、とか、いくらなんでもマズいのだろうけど…




そういえば、もうすぐ夏祭りがある。



暑いのも人混みも苦手だけど、彼氏彼女っぽいイベントをマミは望んでいるかもしれない。



ここは僕から夏祭りに行こうと提案するべきなのか…



でも僕と夏祭りに行って楽しめるのか…?




そんなふうに僕がうだうだ考えているうちに、



「卒業したら働くことになってるスーパーの夏祭りの出店、バイトで入ることになったんだー。」


と、マミのほうから夏祭りの話をふられてしまった。




しかも、あんなに悩んだというのに一緒に出掛けることはできないようだ。少なからずショックを受けている自分がショックだ。


マミは、言葉の出ない僕のほうを見ずに、



「…来年は、早めに言っとけば休めるかも。」



と、小さな声で付け足した。




「夏祭りに好きな子をうまく誘えない僕だけど、マミが来年も一緒に行きたいと思ってくれるなら、来年こそ絶対僕から誘うから。」



僕がそう言うと、彼女はにっこり笑って頷いた。




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