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6 野良犬ちゃんと家庭訪問を乗り越えろ

担任の兼子かね子先生を家に招きいれて、しばらく沈黙が続く……。

僕は少しでも空気を紛らわすためにコーヒーを入れた。

「ど…どうぞ…コーヒーです。」

「ん…んん……。ありがとう。」

かね子先生は少し気まずそうにコーヒーを一口すすると、言葉を選ぶように口を広げた。

「そ…その女の子とはどういう関係なのかな……。」

「えーっと……妹…のようなものでして……。」

「妹の服を脱がしていたのかね?」

かね子先生にはモモの服を脱がしていたように見えたようだ。

「違います!服を着せていたんです!」

「そ…そうか…。ちなみにこの子の名前は何というのかな…?」

「モモでーす!お兄ちゃんは私のご主人さまでーす!」

ピシィィッッッッッ!

僕は凍り付いた!モモ…余計なことは言わないでくれ…。


「ふむ…人の趣味にどうこう言うつもりはないが、二人きりで生活しているのかな?」

「は…はい……。」

「そうか、こんな幼い子がいたら学校へ来るのはなかなか難しいのかもしれないな。

誰か、預ける人とかはいないのかね?」

「いや!お兄ちゃん以外の人とはいられない!」

「ちょっとわけがありまして、この子は人に裏切られて、人間不信なんです。

今のところ、モモが懐くのは僕だけなんです。」

「うーん…。そうか。

でもキミの欠席日数もかなりたまってきている。この調子だと留年するな。」

「まぁ、そんなに学校に未練もないので辞めてもいいんですけどね。」

学校へ行っても僕は透明人間だ。行く意味も感じられない。

「まぁ、そう言うな。また始まったばかりだ。

ふむ。それじゃあ、モモ君と一緒に学校に来るといい。

校長には私の方から言っておこう。」

「そんな。学校は託児所じゃないんですよ。そんなんでいいんですか?」

「なぁに。キミもモモ君も似たようなものじゃないか。

他人に心を開くというのは難しいことだ。これは少しずつ時間をかけて開かれていくものだ。

ちょうど2人は心を開き合っている。2人一緒に登校すれば、案外楽しいかもしれないぞ?」


たしかに僕は透明人間だった。

きっと周囲の人と繋がることから逃げていたんだろう。

結果、機会を逃してきたんだ。

モモは成長している。

少しずつ他の人にも触れさせていくのもいいかもしれない。

そして僕も…。


「モモ……一緒に学校行ってみるか?」

「お兄ちゃんと一緒なら…頑張ってみようかな?」


僕の腹は決まった。学校へ行ってみよう。

意味があるか、ないか。それは行ってみてから考えよう。

「先生、わかりました。二人一緒に学校へ行こうと思います。」

「よし!それじゃあ、校長にかけあってみよう。」


先生は学校へ戻ると校長へ掛け合ってくれた。

条件は、

・モモは生徒ではないので、モモの世話はすべて僕がすること。

・モモの席は僕の席にくっつけて座ること。

・授業の妨害をしないこと。

まずは、こんなところらしい。

かね子先生から明日から登校可能という連絡をいただいた。


夜、僕はベッドに寝転がったがなかなか寝付けない。

「学校か…。大丈夫かな…?」

これだけ休んで今さら僕の居場所なんてあるんだろうか?

不安がむnewo

担任の兼子かね子先生を家に招きいれて、しばらく沈黙が続く……。

僕は少しでも空気を紛らわすためにコーヒーを入れた。

「ど…どうぞ…コーヒーです。」

「ん…んん……。ありがとう。」

かね子先生は少し気まずそうにコーヒーを一口すすると、言葉を選ぶように口を広げた。

「そ…その女の子とはどういう関係なのかな……。」

「えーっと……妹…のようなものでして……。」

「妹の服を脱がしていたのかね?」

かね子先生にはモモの服を脱がしていたように見えたようだ。

「違います!服を着せていたんです!」

「そ…そうか…。ちなみにこの子の名前は何というのかな…?」

「モモでーす!お兄ちゃんは私のご主人さまでーす!」

ピシィィッッッッッ!

僕は凍り付いた!モモ…余計なことは言わないでくれ…。


「ふむ…人の趣味にどうこう言うつもりはないが、二人きりで生活しているのかな?」

「は…はい……。」

「そうか、こんな幼い子がいたら学校へ来るのはなかなか難しいのかもしれないな。

誰か、預ける人とかはいないのかね?」

「いや!お兄ちゃん以外の人とはいられない!」

「ちょっとわけがありまして、この子は人に裏切られて、人間不信なんです。

今のところ、モモが懐くのは僕だけなんです。」

「うーん…。そうか。

でもキミの欠席日数もかなりたまってきている。この調子だと留年するな。」

「まぁ、そんなに学校に未練もないので辞めてもいいんですけどね。」

学校へ行っても僕は透明人間だ。行く意味も感じられない。

「まぁ、そう言うな。また始まったばかりだ。

ふむ。それじゃあ、モモ君と一緒に学校に来るといい。

校長には私の方から言っておこう。」

「そんな。学校は託児所じゃないんですよ。そんなんでいいんですか?」

「なぁに。キミもモモ君も似たようなものじゃないか。

他人に心を開くというのは難しいことだ。これは少しずつ時間をかけて開かれていくものだ。

ちょうど2人は心を開き合っている。2人一緒に登校すれば、案外楽しいかもしれないぞ?」


たしかに僕は透明人間だった。

きっと周囲の人と繋がることから逃げていたんだろう。

結果、機会を逃してきたんだ。

モモは成長している。

少しずつ他の人にも触れさせていくのもいいかもしれない。

そして僕も…。


「モモ……一緒に学校行ってみるか?」

「お兄ちゃんと一緒なら…頑張ってみようかな?」


僕の腹は決まった。学校へ行ってみよう。

意味があるか、ないか。それは行ってみてから考えよう。

「先生、わかりました。二人一緒に学校へ行こうと思います。」

「よし!それじゃあ、校長にかけあってみよう。」


先生は学校へ戻ると校長へ掛け合ってくれた。

条件は、

・モモは生徒ではないので、モモの世話はすべて僕がすること。

・モモの席は僕の席にくっつけて座ること。

・授業の妨害をしないこと。

まずは、こんなところらしい。

かね子先生から明日から登校可能という連絡をいただいた。


夜、僕はベッドに寝転がったがなかなか寝付けない。

「学校か…。大丈夫かな…?」

これだけ休んで今さら僕の居場所なんてあるんだろうか?

不安で胸が押しつぶされそうになる。

もそもそっとモモがベッドの中に裸で潜り込んできた。

「こ…こら!服を着なさい!」

モモは僕の手を握って、

「お兄ちゃんと一緒ならモモは大丈夫だよ…。」

僕は何も言えなくなった。

きっとモモも不安を抱えているはずなのに…。

これじゃあどっちが年上か分からないな。

僕たちは

「どんなことがあってもこの手がある限り大丈夫」

と言い聞かせるように、強く手を握り合いながら眠りに落ちた。


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