表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/65

残された者

王宮とはいえ、下級侍女の部屋は狭い。

エミリーとシャルナは二人部屋で、高位貴族であるエミリーがよく耐えている。

シャルナが危険だと言うたびに、エミリーは楽しいから大丈夫と笑った。それが、シャルナには嬉しくって、エミリーは絶対に守ろうと思う。


その夜もいつもと同じ夜だった。

すでに、エミリーもシャルナも眠りについていた。

ただ眠れなかっただけかもしれない、それとも何か予感がしたのかもしれない。

シャルナは、ベッドに仰向けになって天井にある染みのような汚れを見ていた。


原作では王とはどんな人だった?

何度も読み返したのに覚えてないということは、書かれていなかった?

原作は、悪役令嬢クリスチーネを断罪して、大団円で終わっているけど、現実はそうではない。

当然だ、その後も生きて行くんだから。


そしてシャルナとミレミアが違うけど、原作では王の希望通り、聖女はハウエルの妃になった。

ここにきて、強制力というやつなのか?



窓の外で何かが動いた。

シャルナはエミリーを起こさないように気をつけながら、部屋をそっと出る。


動いていたのは、女性だった。

近寄ろうとして、女性を警護する騎士が控えていることに気づく。

騎士の方も、当然シャルナに気がついていて、言葉も出さずに威圧してくる。

下級侍女のシャルナは、小さく礼をして夜の暗闇に隠れていく。


あの女の人誰だろう?

警護が付いているって、王族か高位貴族に違いない。

考えながら歩くシャルナの前に、イルゼーンが立っていた。

シャルナに隠れて付いている護衛が、イルゼーンに知らせたらしい。

「ゼーン、あれは?」


イルゼーンは、シャルナを案内しながら答えた。

「王妃陛下だ。

唯一の王子ハウエル殿下が、王太子から外されて伯爵に降下されたのと、王陛下が新しい愛人を囲われている事で、心に異常を起こされている。

夜になると、王宮を歩き回ってハウエル殿下を探しておられる」

イルゼーンの後ろを歩いて良かったと、シャルナは思う。

あまりの驚きに、この表情を見られなくて良かった。


ハウエルは、クリスチーネと婚約解消してミレミアを次の候補とした。

ミレミアの悪意には関わってなかったが、クリスチーネを第2妃に望み、拉致して強姦未遂で、ジョサイアとアルフレッドを激怒させた。

それでも、王妃にとって、ハウエルは期待の王太子であったのだ。

ミレミアと関わるまでは、優秀な王太子であり、女性を襲うなどありえない事だった。


シャルナも優香の記憶がない孤児院の時代は、ハウエル王太子を敬愛していた。国民として、ごく当たり前の事だった。

ハウエルは(おのれ)の行いを(むく)う事になったが、大きな影響を残した。


「陛下は、王妃様の事?」

放置しているの、と言葉は続かなかった。

「知らないはずなかろう。

王は、この国の最高権力者だ」

前を向いたまま、イルゼーンは歩みを止めない。

イルゼーンはアルフレッドから、王妃の事を聞いていたのであろう。 


ハウエルに王妃がいたように、ミレミアにも家族がいたろう。

優香がライトの下敷きになって、ママはどうしたのかな?

今頃思い出すなんて、ママが拝金主義と思っていたけど、私も親不孝だ。


アルフレッドに会いたいな・・・


イルゼーンはシャルナが部屋に入るのを確認すると、見つからないように足音を忍ばせて離れて行く。


「いなかったから心配した」

部屋に入るとエミリーが起きていて、シャルナの姿に安心したようだ。


「ごめん、少し気になることがあって。

そこまでゼーンが送ってくれた」

待っていてくれて、ありがとう、エミリー。

シャルナの心が温かくなる。


「そう、それなら良かった。もう、寝よう」

エミリーがベッドに横たわると、シャルナもベッドに入った。


ベッドが暖かくて、ゆっくり目を閉じると、すぐに寝入ってしまった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ