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恨みの結果

あまりに衝撃的な事件であり、学院は1週間の休みとなった。

王太子殿下が在学中であり、警備の再検討と強化、不穏分子の排除の為である。

その指揮は、アルフレッドとジョサイアがすることになった。



強い酸を使った事で、犯人は隠れている所を捕まえることが出来た。

酸の刺激臭が衣服から漂い、犯行を否定のしようがなかった。

出入りできる場所をすぐに封鎖したために、学院から逃走できずに倉庫に隠れていたのだ。

アルフレッドが犯人確保の知らせで現場に駆け付けると、見知った顔がそこにはあった。


それは、シャルナに不満を持って職務を怠惰にした為に公爵家を解雇になった侍女の一人、プレゼア・コースターであった。

侍女の姿であったので、容易(たやす)く学院内に入れたらしい。

強酸をシャルナにかけた後、騒ぎに乗じて逃げるつもりであった。

プレゼア自身が卒業生という事もあり、校内で姿を隠せる場所も知っていたが、捜査する軍人も貴族ならば学院を卒業している。


「アルフレッド様、私は無実です。信じてください」

プレゼアは涙を流しながら身をよじるも、縄で拘束された身体は思うように動かない。


ジョサイアは学生時代にジブゼレラ公爵家を頻繁に訪れていたが、この侍女は見覚えが無かった。

花嫁修業も兼ねて、高位貴族の侍女の仕事は人気がある。

上手くいけば、その家の子息に見初められることもあるのだ。

そういう思惑で侍女になった一人なのだろう。

アルフレッドは動じることなく、プレゼアを冷たく見下ろして、近くにいる士官に指示を出す。

「我が家の元侍女だが、すでに解雇になっている。

軍の牢に連行して、背後関係を吐かせろ。女一人で酸を手に入れるのは難しい。

ましてや、王太子殿下が狙われた可能性もある」

現在のシャルナはアルフレッドが求婚しているとはいえ、貴族の養女にすぎない。

それよりも、王太子を狙ったとした方が刑を重くできる。


「違います! 私は何もしてないの!」

私は知らない、と叫びながらプレゼアは引き()られるように連行されていく。


「コースター子爵家だね」

ジョサイアが言えば、アルフレッドが頷く。

「いらないな」


「そっちの方は僕の専門だ。

王太子殿下を狙ったが、通りすがりの女子生徒が巻き添えになったのならば、王太子の側近の僕が処分しよう」

ジョサイアがコースター子爵家を処分すると言い切った。

王太子が即位した時には、ジョサイアが宰相となる為に側近としているのだが、ジョサイアとクリスチーネが婚約した今、ジョサイアは王太子の権力を手中に収めようとしている。


シャルナは綺麗な顔をしている。

解雇されて恨んでいるのだろう、その顔を醜くさせようとしたのは間違いない。

「シャルナを傷つけようとしたことは、万死に値する。

楽な死に方をさせやしない」

呟いたアルフレッドは、学院長に説明する為に倉庫を出て行く。

その後ろを士官である騎士達が付き従い、すでに軍の指導者のようである。

アルフレッドは将校という軍の高官であるが、軍内の横領事件での手柄は、アルフレッドの権限を大きくさせた。




学院が休みの間、イルゼーンは公爵家に滞在し、シャルナはノラロ司祭から指導を受ける事になった。

その指導には、クリスチーネが立ち会っていた。

聖女の訓練内容は教会の機密であるので侍女を置くわけにはいかず、シャルナとノラロ司祭を二人きりにするわけに出来ないことから、クリスチーネが立ち会っているのだ。


そこに犯人捕縛の報が伝えられ、シャルナは眉をひそめたが、クリスチーネは表情を変えない。

映画の演技で悪役令嬢だった優香と、お妃教育を受けた本物の公爵令嬢の違いである。


ノラロ司祭も、この件に関しては大きな関心がある。

本物の聖女であるシャルナが狙われたのだ、聖騎士の護衛を付けたいと思っている。

だが、イルゼーンの成績を聞き、実際にシャルナを守ったことから、学院内は同級生のイルゼーンの護衛が自然であると納得はしている。


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