よかった。
「も〜、ライト飲みすぎだよー」
「ぅぅ……だってぇ! みんなが『お子ちゃまはお酒飲んじゃいけない』とか馬鹿にするんだもん! ぼくはもう成人してるのにぃ!!」
今現在、私の背中にはライトが乗っている。それも、お酒を飲みすぎてベロベロになっているのだ。
ライトはずっと小さい頃から身長も顔も変わらないから、子供だとからかわれるのが悔しいらしい。
それであまり飲めないお酒もガーッと飲んでた。
「ライトぉ……私もお腹いっぱいで歩きたくないー」
「ぅぅん…………すー……すー……」
「寝てる……。ライト起きろー! 私も美味しい料理の余韻に浸りたいのに〜っ!!」
私の叫びは虚しく、ライトには届かず、そのまま宿まで運んだ。
「ミアちゃんお帰り〜ん。ありゃ? 合法ショタのライトくんは酔いつぶれてますな〜」
お酒の入ったグラス片手にケラケラと笑っているアーリャ。
「またからかわれてお酒たくさん飲んでた」
「にゃはは〜! でもライトくんをおぶるの正直好きっしょ?」
アーリャに図星を突かれ、思わずそっぽを向く。
「カァーッ! 甘酸っぱいねぇ、酒が進むねぇ!」
「……私も眠いからもう寝る」
「お休み〜。あたしはもう一杯いっちゃいますか〜!」
グラスに酒を注ぐアーリャを横目に、自分たちが止まっている部屋に入ってライトをベッドに寝かした。
「すー……すー……」
「…………」
私もその横に転がり、ライトの寝顔をじーっと眺め始めた。顔に当たる鼻息がこそばゆいけど、幸せ。
「…………よかった、ライトが変わらなくて」
私と契約して、ライトは強くなった。けれどライトは慢心せず、優しく、料理が好きで、みんなが大好きないつものライトと変わらなかった。
少しは変わるかと思ったけど、全然変わらない。
「んん〜〜♡」
ギュッとライトを抱きしめ、顔をグリグリど押し付ける。変わらない幸せを噛み締めながら私も眠りに落ちていった。