chapter6-2 行動開始
「もう平気なのか」
自宅からゲームを再開すると、すぐにゲーハスが姿を現した。
どうやらずっと看病してくれていたようだ。
本当に姿によらず、マメなドワーフである。
念のため彼の前で体を動かしてみるが、特に異常はみられなかった。むしろ調子がいいくらいだ。
それを伝えると、彼は一つ頷いてから一度部屋を出てすぐに戻ってくる。手には麻袋が握られていた。
「今度はそれぞれ五つずつだ」
どうやら私の様子を見ながら、道具の作成を進めてくれていたようだ。
仕事の出来る男だなあ。これは足を向けて寝られなくなりそうだ。
「坑道に行く。今日から少し無茶をするかもしれない」
そう言うと、ゲーハスを顔をしかめて腕組みをする。
「もうしたじゃねえか」
「下手をしたら昨日よりも、だ」
それで、聞いておきたいことがあった。
「回復は、身体活性剤と併用すると効果が増すんだったな」
「ああ、治りが早くなる。だが、大したもんじゃないぞ」
「いや、それが分かればいいんだ。例えば打ち身の場合、どの程度で治る?」
彼は髭を弄りながら唸り、
「程度による」
「打撲程度は」
「じっとしてりゃ、三十分から一時間くらいか」
「充分だな」
私はベッドから立ち上がると、早速支度を始めた。
それを見ながら、ゲーハスが困ったやつというように頭を掻いた。
「坑道じゃ流石に助けに行けねえ。無茶しても知らねえぞ」
私は不適に笑って見せた。
「まあ、やるだけやってみるさ」
坑道内を進み、一旦ゴーレムを倒した分岐点を確認して回る。
幸いというべきか、効率が落ちたいうべきか、やはり新しいゴーレムは湧いていなかった。
仮にロックドラゴンが未だにゴーレムを生み出し続けているのだとして、そろそろ次が出口を目指してきていてもおかしくないのだが。
思ったよりも進行速度は遅いのだろうか?
一人で討伐する速度よりも早かった場合、どうあがいても進行を食い止めることはできなかっただろうが、このペースであれば湧き潰しをするだけなら何とかなりそうだ。
さて、次の分岐点だ。
今まで各ドームごとに三~六体のゴーレムが居た。ここにも確実にゴーレムは居るだろう。
カンテラを壁に固定すると、岩の欠片を潜伏していそうな場所へ投げる。
案の定、ゴーレムが潜伏を解いて壁から浮き上がってきた。今回は三体のようだ。
今回の検証では、当たり判定を見ていこうと思う。どのタイミングでぶつかったと認識されるのかを確認しなければ、フレーム回避など夢のまた夢だ。
このゲームは物理演算が大変優秀のようである。恐らく衝突の前後の挙動におかしなところはないだろう。
ただその分、それを処理する側には相当な負荷がかかっていることが予想される。そうなれば、フレームレート自体はそれほど突出しているわけでもないんじゃなかろうか。
ただの希望的観測でしかないが、それを確認するためにも。
とりあえず、一体を残して討伐してしまおうか。
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