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神々の遊ぶ庭の裏山で遭難したら熊に襲われてしまいました  作者: おかわりいくら丼
始まりの譚
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第2話 ドラゴンの来襲と避難民

訪問感謝です。

後半部分に腐った世界に突入です。

「・・・ここは?」

 洞窟の中でサンペが意識を戻す。


「ラムアン!ようやくサンペが気付いたであります。」

「あ~。顔色も問題無いし、大丈夫そうだね。サンペ。どこか気になるところはあるかい?」


 記憶をたどりながら今の状況を整理する。

 あの日、いつも通り山仕事を行っているとマッセの

「逃げるのであります!」、「隠れるのであります!」、「水に飛び込むのであります!」

 が同時に聞こえた。


 急に辺りが暗くなり、空を見ると空を覆う大きな黒い影が目に入る。

「ドラゴン!」


 気が付くと同時に、マッセに覆いかぶさる。直後にドラゴンの瘴気に襲われて・・・記憶が途切れる。



 手、足、腕、深呼吸と一通り自己診断を終えて、


「少し息苦しいのと、軽い頭痛かな。体の方は大丈夫みたい。マッセの方は大丈夫だった?」


「サンペはドラゴンの瘴気にやられたのでありますよ!なんで私の警告に従わなかったのでありますか?」


「いや。あのタイミングであの警告はないでしょ。あそこで、逃げろ。隠れろ。水に飛び込め。そもそもあそこに水場は無かったし。」


「それから、何故あの時私を襲ったのでありますか?」


「襲った?・・・・守ったつもりだったんだけど。」


「えっ!そうだったのでありますか?私はてっきりドラゴンの襲撃に便乗したものだと・・・。」


「あ~。実は、マッセには不思議な守護が憑いていて、かなり高いレベルの状態異常までは無効になるんだよね。あ~。直接攻撃は僕たちと同じように怪我をするけど、毒とか麻痺、幻覚の類はマッセにはほとんど効かないんだよね。あ~。サンペは知らなかったの?」


「初耳です。ちなみにラムアンには何かあるのですか?」


「あ~。一応僕にもあるよ。ただ、僕の場合は回数制限があって、三回までだけどね。あ~。なんか昔話のお札みないなやつかな。小僧さんが山んばにおっかけられるやつ。あんな感じかな。」


「そうなんだ。ちなみに僕には何かあるの?」


「あ~。残念だけどサンペには何にも無いね。いたって普通の人。ただ、不思議とサンペと一緒にいると安心感はあるね。なんか気持ちが落ち着く、とか自分の嫌な感情が無くなるとか。そういう意味では何らかの守護があるかもね。あ~。そんな感じ。マッセも感じるでしょ。」


「はい。私も同じであります。嫌なこととか、悲しいこととか、サンペと一緒にいるといつの間にか消えているのであります。」


「ふ~ん。そうなんだ。僕には何も無いんだ。状態異常無効とか、三枚のお札とか。打ち出の小槌とか、石うすでも不思議なポケットでも良いんですけど。ランプでも指輪でも。」


「あ~。残念だけど無いね。でもサンペとマッセの二人には素敵なリュックがあるよね。なんでも入るし。いくらでも入るし。入れた物しか出てこないけど、なんでも収納できる。あ~。ある意味魔法のリュックだよ。マッセのは非常に残念な状態だけど。」


「ラ、ラムアンは私のデイパックを覗いたのでありますか?お、女の子のカバンを覗くなんて最低の男であります。もう二度とラムアンにはご飯を作らないのであります。服の破れも直さないし、洗濯も一切しないのであります。一生後悔すれば良いのであります。」


 それってある意味当たりかも。

 マッセって、甲斐甲斐しくよく動くし、細かいところもよく気が付いて、ある意味完璧な理想の女の子で、見た感じも、深窓の令嬢とか、清純な乙女とかに見えるけど、実際の女子力は見た目に反比例してほぼ皆無だよね。見た目と性格はほぼ完ぺきなのに。やっぱり世の中バランスだね。


「サンペ、今何かとても失礼なこと考えているのではありませんか?そんな事を考えていると、ラムアンと同じ罰を与えるのでありますよ!しばらくは、ドラゴンの瘴気で弱っているので私が献身的にお世話をするのでありますけど。」


「自分、少し寝させてもらいますね。」


「あ~。サンペ、寝る前にこの薬を飲んで。まだ、完全に瘴気が体から出てないから。」


 ラムアンに渡された薬を飲み、体を横にして意識を手放す。




「しかし、ラムアンはさすがでありますね。・・・・賢き神の使い。今回もありがとうなのであります。またまた、私の主の命を救ってくれたのでありますね。改めてありがとうなのであります。」

焚火を見つめながらマッセがつぶやく。


「あ~。それに関しては問題ないよ。サンペの魂はまだこの世界でやることがあるからね。このタイミングでサンペの魂が女神の所に行ってしまったら、僕は一気に最下級に降格されられてしまうから。だけど、マッセにも驚かされたよ。よくあの短時間であれだけの素材を集められたね。しかも二人分も。」


「それについては必死だったからであります。あの時のように自分のお腹の下でサンペが冷たくなっていく。あんな気持ちはもう二度と嫌なのであります。だから必死で。素材が足りなくなったら困るから少し多めに集めたのであります。」


 そう言ってマッセは自分のお腹に手を当てて、それから指先の包帯を見つめる。



「ううううううぅぅぅ。」


「あ。もう一人も気が付いたであります。大丈夫でありますか。」


「ここはどこだじゃ?フッシコッカの村はどうなったのだじゃ?」


「フッシコッカの村はドラゴンにやられたのであります。家も畑も、人も家畜も何もかもであります。助かった人たちは先を急ぐと言って、行ってしまったのであります。」


「ん。お前さんたちは、サンペの所のラムアンとマッセだじゃか?すると、お前さんたちが儂を運んでくれたのだじゃか。」


「あ~。タシロの旦那もドラゴンの瘴気でやられていたから。サンペと同じだったので一緒に助けた。あ~。薬もサンペと同じだったから。ところで、タシロの旦那は、体の異常はないか?」


 タシロも自分の手足、指先を動かした後、軽くジャンプして、

「儂は大丈夫だじゃ。いや。助けてくれて本当にありがとうだじゃ。一度なくした命だじゃ。これからはサンペ達のためになんでもさせてもらうだじゃ。」


「あ~。分かった。これからタシロの力を借りる時があるかもしれない。その時はよろしくお願するよ。」


「まかせておくだじゃ。ただ、わしは鍛冶仕事しかできんだじゃがな。ががががが。」


「タシロさんもまだ完治してないのであります。この薬を飲んでもうひと眠りするのであります。」


 薬を飲んだタシロも、しばらくして寝息を出し始めていた。



*************************************



「この峠を越えるとアウェントカの町だ。町まで行けばなんとか助かるぞ。」


 サンペ達と別れたフッシコッカの住民たちは、アウェントカの町を目指して進んでいた。住民達の中にはアウェントカの町に移住する者、その先の王都まで移動する者、他の地に居る親類・縁者を頼る者など様々であった。王都までの距離を考えると、老人・子供のいる者たちの大半はアウェントカの町までにしていた。

 アウェントカの町の領主は国内でも中央に太いパイプを持っており、近隣の町の中では最も豊かな土地と言われていた。アウェントカの町の住民たちも、物流も発達しており必要な物は何でもそろうので非常に住みやすい町だと話していた。ただ、税金が他より少し高いのが悩みの種とも話していた。

 フッシコッカの村人達も、物を買うときはアウェントカの町に行っているので、町の雰囲気や馴染みの店を持つ住民も多かった。


 アウェントカの町では、フッシコッカの村がドラゴンに襲われ、生き残った住民がアウェントカの町に向かっているという情報はすでに入っていた。



「領主様。いかがいたしましょう。」


 領主の執務室で執事の男が伺いを立てる。


「男は鉱山。女は絹。白金貨5枚」



 それだけ言うと、領主と呼ばれた男は部屋から出て行ってしまった。


 フッシコッカの住民たちは、着の身着のままの状態でようやくアウェントカの町に到着し、避難民の代表が領主の下に向かう。が、領主は多忙のため執事が対応する。


「遠路お疲れさまでした。ドラゴンの襲来とは衷心よりお見舞い申し上げす。本日は、当屋敷で旅の疲れを癒していただきたく存じます。少しばかりの食事も準備いたしますので、ごゆっくりおくつろぎください。今後の事もございますので、当アウェントカの町に移住をご希望される方には後ほど手続きをお願いいたします。」


 フッシコッカの住民たちはドラゴンの襲撃後はじめて、風呂に入り、温かい食事を食べ、布団で眠り、互いの境遇を慰めあった

 翌日、王都や他の町に移動する者には領主からいくばくかの路銀と着替えの入った荷物が餞別として渡され出発していった。




「それでは、当アウェントカに移住を希望の方はこちらにお越しください。」


 昨日対応した執事の男が、フッシコッカの住民たちに指示を出す。移住者全員が揃ったところで執事の男が話し出す。


「皆様方は昨日より、当アウェントカの町の住民となりました。これからは、住民の方たちとも仲良く、助け合いながら、町の発展のため手を取り合っていただくことになります。」


 王都へ出発していった仲間たちが、領主からの少なくない餞別を貰っているのを見ていたフッシコッカの住民たちは、執事の言葉を希望の眼差しでうなずく。


「ここ、アウェントカの町では、住民一人一人から税金をいただくことになっています。住民の方たちは、税金を払うことにより領主様から様々なサービスを受けることが出来ます。皆様方が昨日歩かれた道も、領主様のサービスで使用が許されるとお考え下さい。」


 執事はさらに続ける

「皆様方が昨日食べられた食事や、使用した寝具においても税金であります。いわば、昨日受けられたサービスは、今の住民の皆様方からの税金となります。税金を納めていない者が、領主様のサービスを受けることはあってはならないことなので、今回の対応については、一世帯当たり白金貨5枚の税を納めていただくことになります。白金貨5枚の税を納めていただいたご家族には、新しい住宅へご案内いたします。なお、先ほど出発された方々は、お客さまということで、領主様からのおもてなしとなっております。」


 それを聞いたフッシコッカの住民代表がゆっくりと手を上げる。

「私たちは、ひと月金貨1枚で生活している状況です。白金貨1枚は金貨1千枚になります。とても今の状況では、白金貨5枚を納めることは出来ません。」


 執事は移住希望者全員に向かって

「あなた方はご自分たちの判断で、この町の住民になることを決めた方々ですよね。この町に住まうことを決めておきながら、サービスは受けますけど税金は払えません。それでは、お天道様も許してはくれないでしょう。」


 さらに執事の男は続ける、

「わかりました。白金貨5枚を納めることが無理なら、労働力をもって納めるということでも良いですが。皆様いかがいたしますか?」


 住民一同は仕方なしに頷く


「それでは、さっそく男性と女性に分かれてもらいます。5歳までのお子様はこちらでお預かりいたしますのでご安心ください。」



 住民の一人が

「え~っと、それは家族が離れ離れとなることですか?」


 それを聞いた執事は冷たく

「はい。あなた方は税金を納めていない、未納税者です。脱税者と同じ身分であると思ってください。脱税行為は立派な犯罪でありますので、当然今回の税金を納めるまでの間、労働をもって納税してもらうことになります。当然、就労中も領主様のサービスは受けられますが、課税の対象となりますので考えて行動してください。それでは皆様移動をお願いします。」



住民たちは、これからの生活に絶望しながらそれぞれの場所に移動していった。



「領主様。今回の子供は5人でした。男3人女2人です。」


 執事の報告に対し、領主と呼ばれた男は、


「わかった。いつものように処分するように。」


 と部屋の中から返事をするだけだった。

設定は

サンペ(22歳)、マッセ(20歳)、ラムアン(28歳)を想定しています。

タシロは34歳の設定です。


おかわりいくら丼。

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