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神々の遊ぶ庭の裏山で遭難したら熊に襲われてしまいました  作者: おかわりいくら丼
始まりの譚
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第16話 商隊の護衛依頼

ご無沙汰しておりました。

約2年半ぶりの投稿になります。

サンシンからの依頼はこうだった。


トマリの町の南門から馬車で1日の場所で、緑頭蟻が馬車を襲うようになり、隣町のカナヤーカと物流が出来ず、カナヤーカの農産物がトマリに入って来ない状況であり、トマリの産物である干し魚も緑頭蟻に奪取され、甚大な被害が出ているとのことだった。

サンシンとしては、トマリの干し魚をカナヤーカで販売することと、カナヤーカからの野菜を仕入れなければならず、このためにサンペ達に行き帰りの商隊を護衛してほしいとのことだった。



「なに!?緑頭蟻だじゃか?あいつらは基本的にはおとなしい蟻だじゃ。常に5~6匹で移動し、小動物程度の獲物なら狩りをする程度だじゃぞ。」

最初に疑問を出したのはタシロだった。


「そうなのです。通常は5~6匹で行動している緑頭蟻ですが、今回は500~600匹で行動しているのです。さらにゲシュトクゥを襲い20頭ほどのゲシュトクゥの群れが10分で消えてしまったとの情報もあります。」


「なに!?ゲシュトクゥの群れまでもだじゃか?しかも500~600匹。」


「被害はいつ頃から出ているのですか?」

サンペの問いにサンシンが答える。


「約一週間前から被害が出始めて、昨日5~600匹の集団が確認されました。」


「我々も素材集めに近くまで行っていましたが。マッセは何か気が付きましたか?」


「いや。私は分からなかったでありますよ。5~600匹の緑頭蟻なら絶対にわかるはずなのでありますから。」


「あ~。分かったね。でも、今回は領主が動いてから、こちらが動くことにしたいね。サンシン殿、干し魚はいつまで保管することができるか教えて欲しいね。」


「そうですね~。あと7日分位なら倉庫の方も大丈夫です。」


「あ~。分かったね。では今日中に被害にあった方全員と一緒に領主に被害届を出してほしいね。明日にはサラニがやって来て、サンペに討伐依頼が出ると思うのね。我々はそれまでに準備をすることにするのね。最初は三日分の食料で様子を見ることにするね。」



「ところで、例の物は完成したのですか。」

サンペはラムアンとタシロを見る。


「あ~まだ全部は出来ていないだじゃが、アッテレ達の分は完成しているだじゃ。サンペのはもう少し待ってほしいだじゃ。」


「分かりました。では今晩にでも皆さんにお渡しすることにしましょう。タシロさんの方はそれで大丈夫ですか?」


「あぁ。それで大丈夫だじゃ。夕食後までには仕上げておくだじゃ。」


◆ ◆ ◆ ◆ 


タシロの工房は、トマリの町から少し離れた山の中にあった。

トマリの町自体が火山に近く、常に噴煙を出している山が点在しているため素材の融合などを伴う鍛冶仕事は山中の工房で行っていた。


タシロの前には、偃月刀、朴刀、三叉槍、戦斧が並べられている。

ラムアンの指示で、ドラゴンの素材を中心にタシロが作った武器であった。


「見事じゃ。」


思わずタシロの口から言葉が出る。

トマリの町に来て二カ月が過ぎたが、タシロはそのほとんどを工房で過ごしていた。


フッシコカの村を守るために、自らの命を落としかけた五人に対し、武器を作ってほしいとサンペから依頼を受け、タシロが全身全霊を注ぎ、己の技術を全てつぎ込んで打った武器であった。


マッセが持ってくる素材をラムアンの指示に従ってドラゴンの素材と融合させ、素材の性能をギリギリまで引き出した四振りである。


タシロは目の前の武器を慈しむ様に、


「今晩お前たちは自分の真の持ち主の手に渡り、本来の姿で自分の主を守る事になるじゃ。儂はお前たちが途中で折れるような柔な鍛え方はしていないし、アッテレ達の動きや癖を考えて打ったじゃ。アッテレ達ならお前たちの力を正しく使ってくれる筈だじゃ。万が一、正しく使われないようなことがあれば、お前たち自ら己を封印するだじゃ。」


そう言って、丁寧に最後の仕上げを行った。



◆ ◆ ◆ ◆ 



夕食が終わった後サンペからアッテレたちに武器の授与が行われた。


「先のフッシコッカへのドラゴン襲撃の際、皆が使っていた武器は瘴気で破損し、一部は行方不明となってしまった。今は各自適当な武器を持ってもらっていたが、今回新たにタシロに武器を鍛えてもらったので是非使ってもらいたい。」


ラムアンが呼び出す。

「アッテレ。」


アッテレが前に出る。

「アッテレには、この偃月刀を使ってもらいます。」


「ありがたく頂戴します。」


「この刀は龍偃月刀と命名しただじゃ。アッテレの心情に応えた時に刀身の部分に龍が浮き出るようになっているだじゃ。」



「次、アッシク。」


「アッシクには、この朴刀を使ってもらいます。」


「ありがたく頂戴します。」


「この朴刀は藍の朴刀と命名しただじゃ。今は漆黒に見えるが、濃藍の朴刀だじゃ。藍の朴刀も刀身に龍が浮き出るだじゃ。アッテレの偃月刀と同じようにアッシクの心情に応えるようになっているだじゃ。」



「次、メチウ。」


「メチウには、この三叉槍を使ってください。」


「ありがたく頂戴します。」


「この三叉槍は王虎と名付けただじゃ。色も漆黒で黒色槍を使っていたメチウには良いと思うだじゃ。龍もちゃんと浮き出るだじゃ。」



「次、ウエンク。」


「ウエンクには、この戦斧を使ってもらいます。」


「この戦斧は雷鳴の斧と命名しただじゃ。一見すると、漆黒の斧じゃが、本当に漆黒だじゃ。雷鳴の斧も同じように、斧腹の所に龍が浮き出るだじゃ。」



「以上で各自の武器の譲渡を終わります。使用中に龍が浮き出ることがあるようですが、武器に負けぬよう精進してください。武器を扱えるのは、限られた者だけです。決して誤った使い方をせぬよう、お願いします。」


「あ~明日から少し忙しくなるのね。皆よろしく頼むのね。」


よろしくお願いします。

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