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彷徨人達の異世界生活記  作者: 香鈴
第2章:街での新しい生活
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39.調査依頼の終了後

飯を食ったり動物と戯れたりします(要約)


調査依頼も特に問題なく終わり、分かれていた三人とも無事合流出来た。結局出た魔物は二体程で、自分が何かやる間もなくアヴィとリツ兄がさっさと倒していたし、ルスタとゼーレは色々集めて自分に渡してくれていた。自分は何もしていないな、とちょっと反省した。

「ディルそっちどうだった?」

「小型の群れがいたのが一番大きいかな。アヴィ達の方は?」

「こっちは小さいの二体」

「意外と多いな。次回やる時期はあんま間を開けない方がいいってギルドに言っとくか」

二人が成果の確認等を打ち合わせている間、自分達も少し話をする。

「アキ何かやってたの?」

「え……特に何も……」

「ルスタが採ってた薬草しまってたぞ。後ゼーレも何か色々持って来てたな」

「ルスタもゼーレも働き者だな~」

「ホントに……」

採取の依頼くらい受けておけば良かった。せめて採ってきた物の納品くらいはしておきたい、となると整頓の時間が欲しい。時計を確認すると昼をとっくに過ぎている。


「シュウ兄お腹空いてないの?」

「空いてる~」

「森出てお昼食べる。お昼ご飯預かってきた」

打ち合わせが終わったらしいアヴィが横から入って来た。いつの間にか昼食も用意されていたらしい。


二人の案内で森から出ると、町の外に拡げられたらしい畑と放牧地が眼前に広がっている。畑は成長途中の作物が良く伸びているし、柵で覆われた放牧地には本でしか見た事のない牛や羊がのんびりと歩いたり草を食べたりしている。

「この辺なら何の邪魔にもならねえよな」

「うん。じゃあお昼出す」

アヴィは鞄から敷布を取り出して草の上に広げ、そこに料理が入っているらしいだいぶ大きい箱が三つ置かれる。

「大きいね……」

「男の人いっぱいいるからこれくらいしないとって言ってた」

蓋を取るとサンドイッチや小振りなパンが入った箱と、腸詰や焼いた野菜、茹で卵が入った箱、揚げられた肉とそのまま口に入れられる様に切ったり剥いたりされた果物が入っている箱。だいぶ豪勢である。


「昼飯で思い出したけどよ、作ってきたモン食ってねえよな」

「あー忘れてたね」

昨日用意していた昼食はアヴィに勧められた店でとったものだから鞄に入れっぱなしになっている。痛まないので問題ないのが救いだ。

「アキ達の作ったお昼ご飯?」

「うん。作ったのはほぼリツ兄だけど」

「む。食べたい」

何故か興味があるらしい。ディルも食べたいというので自分の鞄から昼食の入った箱を出した。木の皮らしいものを編んで作られた箱は軽くて使い勝手が良い。中に詰めていた楕円形のパンには腸詰と刻んだ野菜や、切った茹で卵と燻製肉を挟んでいる。

「美味しそう」

「どうぞ」

箱ごと二人に差し出すと各々パンを取ってかぶりついている。

「うまい」

「リツ、お料理上手」

「そらどうも」

口に合ったようで何よりだ。自分達もアヴィの家の人が用意してくれた昼食に手を付ける。サンドイッチには種類がある様で、自分の取ったものには葉野菜と薄切りの燻製肉が挟まれていた。卵を使ったソースがパンに塗られており口に入れると程よい塩気が感じられる。ゼーレも何か欲しそうに腕を伝って降りてきたのでパンの端をちぎって分けた。森の中で薬草を食べていたルスタはその辺の草を食んでいる。



「食い終わったらこのままあっちの放牧地行こうぜ」

「今日の放牧終わらないうちに見に行く」

「勝手に入って大丈夫なのか?」

「幼馴染の家の牧場だから。行くって言ってるし問題ない」

「見るの初めてなんだろ、アイツらでかいからちょっと触るくらい平気平気」

そんな風に二人が勧めるので、予定も二人に合わせるつもりだった自分達は完全に任せる事になった。

「行く前に少し採った物の整頓してもいい?」

「いいぜー」

「手伝う」

二人に断りを入れ鞄から適当な布を出し広げてその上に薬草類をまず出していく。ルスタがせっせと毟っていたから結構な量だ。ソウ兄から糸と鋏を借りて同じ種類の物を束ねていく。アヴィとディルにはゼーレの採っていた木の実等を分けてもらった。

「へー。これもう生ってたんだ」

「ギルドに採集の募集出して採りに行ってもらお」

「生えてる所ギルドに教えるの?」

「ううん、商会からギルドに依頼を出す。採ってきてもらった物加工して販売する」

家の商売用らしい。しっかりしている。今回採ってきた物は木の実は菓子類やパン作りに使われる事が多い様だ。

「じゃあこれ持って帰ってよ」

「情報もらうのにこれ以上もらえない……」

「え」

あまり数も無いし家で食べてもらおうと思って渡したが断られてしまった。

「俺達も宿代や食事代出してないんだし、受け取って欲しいなあ」

「むぅ」

「アキがいいっつってんだ。もらってやってくれよ」

「……ん。わかった」

そんなやり取りの末やっと受け取ってくれた。今日早速料理に使ってもらって食べようと言っていたので晩ご飯に出てくるんだろう。



作業人数も多かったので整頓は割とすぐ終わり、皆でぞろぞろと放牧地へ向かう。

柵の目の前まで近づくと、何故か羊や牛が数頭こちらに寄ってきた。飼われているだけあり人には慣れているらしい。

「でかー」

「世話すんのも大変そうだな、こんだけいると」

柵の間からはみ出てきた羊の頭に触るが特に嫌がりはしない。少し手を伸ばしてもこもことした体の毛を触るが意外と固い。実際に触れないと分からない事もあるなあ。

「ディーくん! アヴィ! 仕事終わったんだ!」

そんな声とともに牧場の方から駆けてくる女の子。彼女が二人の幼馴染の様だ。勢いよく来ていたが何故か少し間を開けて立ち止まってしまった。

「リミィそんなとこで止まんなくても」

「なんで今日連れて来るって言ってくれなかったのぉ?!」

「行くとは言ってた。今日になっただけ」

「聞いてたけどぉ!」

リミィ、と呼ばれた女の子は顔を手で覆って嘆いている。事前に伝えてはいたらしいが、いきなり来てしまったのはまずかったのか。兄達と顔を見合わせる。

「すいません、急に訪ねてしまって」

ソウ兄が謝るとリミィはすごい勢いで首を横に振った。

「あぁ! 違うんです! 皆さんは悪くなくってー!」

「?」

「リミィは四人が来て動揺している」

「うん? なんで?」

「それを分かってないのはなあ。まあいいや。リミィ中入っていい?」

「だいじょーぶ! 一時間くらいで皆小屋に帰しちゃうからそれまでになるけど」

こっちですよーとリミィが先導して柵の扉部まで案内してくれた。それに伴ってなのか何故か牛や羊たちも近くに寄って来ている。折角なので自分も柵の中へ入ろうとしたらルスタまでついてきてしまった。

「ルスタ入れても大丈夫?」

「キュリルスタングくらいなら皆驚かないと思う」

「馬と遜色ないですからねー」

アヴィとリミィがそう答えてくれた。見ていると確かに逃げたり慌てたりする様子はない。ルスタもルスタで牛や羊と何故か頭を突き合わせている。挨拶だろうか。


寄ってきた羊の頭を撫で、体の毛を触らせてもらった。近く毛を刈ってしまうらしいのでもこもことはしばらくお別れの様だ。シュウ兄は何故か軽快に走っている牛の背に乗っているし、ソウ兄とリツ兄は柵にもたれかかってアヴィと何か話をしていた。牛達はあまり人間に興味ないのか、草を食んでたりのんびり歩いていたり、草の上に腰を下ろしている。ルスタと一緒に歩いている牛もいた。

「アキ、アキ。お前囲まれてるぞ」

「へ?」

羊を撫でながらぼんやり遠くを見ていたので自分の周りを見ると羊が数頭寄って来ていた。ベェベェと鳴いて何故か軽くではあるが頭突きしてきたり、上着を嚙んだりしてくる。

「構って欲しいんですねえ」

「そ、そうなんだ?」

とりあえず頭突きしてきた羊の頭を撫でると大人しくなった。ついでに体の毛も触る。どの羊も触り甲斐のあるもこもこだ。他の羊も頭を寄せてくるので撫でてやった。いいのかこれで。

「たまにいるんだよね、ああやって囲まれちゃう人」

「そろそろ助けようぜ」

結局ディルとリミィが助けてくれるまで羊達を撫でる事になった。ゼーレは流石に大きい動物に囲まれて怖かったのか上着のフードの中で丸まっていた。避難すれば良かったのに。

この後全員アヴィちゃん家で晩ご飯をごちそうになる流れです。

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