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彷徨人達の異世界生活記  作者: 香鈴
第2章:街での新しい生活
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26.昇級とお誘い

やっと昇級したよ(飛び級の概念は余程特例でないとありません)


「皆さん。今日から階級が(セトル)に上がります」


カウンターのロシェさんへ依頼を受ける為に資格証を手渡すとそんな事を言われた。現在石の色は一番下の白。その上が黄色らしい。

「あれ?試験あるんじゃないんですか?」

「ええ。次の階級、(エヴ)への昇級からありますよ」

渡した資格証は別の事務担当の人の手に渡ってそのままどこかへ持って行かれてしまった。石の付け替えとか色々作業があるとの事。

「白で実績がきちんと積まれれば黄へは昇級出来る様な仕組みになってるんですよ」

資格を取って以降、定められた期間内に依頼を受ける頻度や達成率、達成状況なんかをギルド側で見た上で昇級かもう少し様子を見るかを決めて、昇級の際は来訪時に通達するらしい。余程問題が無ければ基本的に期間を過ぎたら昇級出来るんだとか。

講習では試験がある、程度の説明しかなかったから勝手に毎回試験の打診があると思い込んでいた。


「統括はもっと迷宮に潜って欲しいようですけど」

「要望じゃねえかよ」

次の階級への昇級については、いつも受けている依頼をこなしつつ、別途ギルド側から提示した依頼を受け達成する事が条件になっていると説明してくれた。

「階級が上がってもやってもらう事に大きな違いはありませんから。滞りなく依頼を達成してもらえれば」

「そっかー」

「それでも少し依頼の幅は広がりますよ。空いてる間に他の依頼についても少しお教えしましょうか」

ロシェさんからそう言われ頷いた。


そもそも討伐依頼以外には目的地までの護衛や採取同行の護衛、魔物の発生地の調査、迷宮深部の探索等々割と多岐に渡っている。討伐依頼でもギルドからと個人からに分けられていて、前に聞いていた指名依頼はほぼ個人からの方だ。

ギルドでは信頼度での階級の他個々の実力も加味されて依頼受領可能な幅を個人ないしチーム毎に調整しているらしい。

大変そうだな、と思ったが資格証に付いている魔石にそういった情報が刻まれているので確認は案外容易だとか。


「黄だと白と受けられるものの差異は少ないですけど、皆さんは実力も加味すると少し種類が増えますね」

「ふーん」

「皆さんの場合、もう少し階級上げて頂いて指名依頼も取れる様にしてもらえるとギルド側としては大変助かります!」

いい笑顔で言われた。指名依頼のメリットはよく分からないが。自分達が怪訝な顔をしていたのかロシェさんは付け加えて教えてくれた。

「皆さんに直接依頼をしたい方が時々いらっしゃるんですよ。階級的に今は受けられないとこっちも断っているんです」

「そうなんですか」

「直接依頼をしてくれそうな方の心当たり、少しはあるんじゃないですか?」

「そう言われると……」

気を回して依頼など考えてくれそうな人はいる。ジョーさんも頼みたがっていたし。

「急ぐものではありませんが、良かったらご検討してくださいね!」

「わ、分かりました」

ちょっと笑顔の圧に負けてしまった。




そんな感じで説明も終わって、今日受ける為の依頼を精査して貰っていると、珍しくアヴィとイルミアと会った。二人が自分達の姿を確認して駆け寄って来たとも言う。

「一週間ぶり」

「うん。元気にしてた?」

そう聞くと二人は勿論、となんかかっこいいポーズを決めてくれた。昇級の件を話すとおめでとう、と拍手で祝われた。

「ところでアキを貸して欲しい」

「一日いくらかニャ?」

「弟の貸し借りはやってないんだけどなあ」

ソウ兄のその切り返しどうかと思う。


「貸し借りはさておき……何か用事?」

「迷宮探索付き合って欲しい」

「俺に?」

アヴィ達は四人で十分過ぎるくらい戦力は足りてる気がするし、自分は移動の問題とか諸々考えても普通に邪魔なのでは。と考えていたらイルミアが付け足してくれた。

「魔法使いの人とは中々組む機会ないし、折角友達にいるから連携の練習したいニャ」

「なるほど」

「というのが建前で迷宮でアキに魔法の使い方教えて欲しいのが本音ニャ」

「なるほど」

堂々と目の前で本音と建前を並べられた。反応に困る。


「……そういうのって問題ないんですか?」

思いきり近くで話を聞いているロシェさんに質問する。一応ギルド側の意見を聞いておかないと違反していたら困る。アヴィもイルミアも自分達より余程規則に詳しそうなので問題ないのかもしれないけど。

「両者の合意であれば大丈夫ですよ。どちらも完遂して貰うのが大前提ですけどね」

ギルド側としては、依頼も探索も完遂さえすれば人員の入れ替えなんかは許容範囲内という事らしい。迷宮の場合は完遂というか無事帰還といったところか。


「つまりアキが良いなら良いという事。はいか了解で答えをよろしく」

「どっちも同じ意味合いの気がすんだけど」

「アキくん人気者だな〜」

「うーん。俺は普通に邪魔になりそうだから2人と兄さん達がいいなら特に」

正直なところ連携の練習と言われても戦闘面はあまり自信が無い。逃げるにしても足手まといだし。


「俺達は構わないよ。皆怪我だけはしない様にね」

「晩飯までには帰って来い」

「門限厳しいニャ……」

「じゃあアキは頂いて行く」

「言い方〜」

とは言えたまには兄達以外の人と組んでみるのも良い経験になるかもしれない。ルスタとゼーレの事はソウ兄にお願いした。ゼーレは何故か離れるのをめちゃくちゃ嫌がって肩にしがみついていたのでなんとか説得(?)した。




少し続きます。

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