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彷徨人達の異世界生活記  作者: 香鈴
第2章:街での新しい生活
52/78

23:休暇の話

休暇(前日)

ギルドで資格証を得て街の北区に家を借りてから、討伐や採取の依頼をほぼ毎日こなしていた。

仕事の合間に試験を受ける予定にしていた薬師の組合へも足を運んで、何とか中級の資格まで無事に取れたところだ。後々セーナの所に報告に行かないといけない。


ところで毎日仕事をしているとは言っても、元の世界の時の様に早朝や真夜中に活動している訳でもなく、また野営をする事もほとんどない。置かれていた状況上仕方ないとは言え。

最近では夕方には家に帰宅して、自室のベッドで睡眠を取れるゆっくりした日々を過ごしている。と自分達は思っていた訳だが。




「これ、完了しました。あとついでに採取した薬草も確認して欲しいです」

「はい。ではお預かりしますね。今日もお疲れ様です」

昨日受け、今日朝からこなしてきた依頼の完了報告をしにギルドへ来た。ソウ兄がまた新しい依頼について別の受付で聞いていたのだが今日はもう時間的に精査出来ないと言われていた。夕方遅くなのでギルド自体がそろそろ閉まる時間だ。時々こういう事はあるので明日早朝に来れば良いかなと思う。


「依頼の方は達成確認完了しました。こちらは報酬です。ところでアキさん達はいつお休み取ってるんですか?」

「毎日家で休んでますよ」

「えっと、そうではなくて……」

何か無理をしている様に思われているんだろうか。自分達は大抵日帰りで行ける距離でしか仕事をしていないから寧ろ他の討伐者の人達より無理してはないはず。


「今日って、これからもう帰宅ですよね?」

「そうです。帰ったら夕食の準備します」

「あら、それなら皆さん少し待ってて頂けないですか?良かったら食事でもしながらお話ししましょう」

美味しい所があるんですよ、とロシェさんは書類を片しながら教えてくれた。兄達にも食事の件を伝えるとたまには良いのではと返答。店での食事の機会はさほど無いし、お勧めの様だからついて行く事にした。


待機しているとロシェさんの他にいつも受付業務をしてくれているアンジェさんと、いつも色々目をかけてくれるウィドさんが来てくれた。

「誘われたんで混ざりに来ましたぁ」

「ロシェが飯に誘うから来たぞ」

挨拶もそこそこに、ロシェさんの先導で店へ案内してもらう。


店内の内装は綺麗な上随分凝っていて、吊り下がったランプも面白い形をしている。飲み物はお酒を勧められたが、あまり飲んだ経験がないので先日同様適当に強くない物を選んで貰った。

「それで聞いたけど、お前達働き通しなんだって?」

「何が〜?」

「そういえば勤務日に見ない日ほぼ無い気がしますぅ。毎日依頼こなしてるんじゃないですかぁ?」

確かにアンジェさんの言う通り依頼は可能な限り毎日確認して適宜受けているし、その日の内にか次の日にはちゃんと達成報告をしている。依頼を受けていない他の日は地下迷宮へ行っていたと思う。

「それがなんかおかしいのか?」

「休めよ」

「休んでますけど?」

「そのやり取り私とアキさんもしました……」

注文して貰っていた飲み物と食事が運ばれてくる。肉の表面を焼いて切った所に白いソースが掛けられている物を摘んだ。中までは火が通っていない半生の状態だった。美味しい肉を使っている。揚げて塩をかけられた芋や、葉の瑞々しいサラダも摘むがどれも美味しい。ロシェさんのお勧めの店なだけある。

頼んで貰ったお酒は蜂蜜酒に柑橘の果物を絞った物で甘く飲みやすかった。


「休暇の話だが……」

「丸一日何もしない日は自主的にはとってません」

「とってください」

「って言われても……仕事を無理にこなしてるつもりは無いですし」

自分も頷く。きちんと睡眠を取って休養出来ているし。

肩にいたゼーレはいつの間にかテーブルに降りてソースのかかっていない葉の部分を懸命に啄ばんでいたので、千切って分けてやった。


「もしかして俺達のやり方はギルドに迷惑かけてるんですか?」

「いや、お前達は依頼者からの評判良いぞ」

「あ、そうなんですか」

どういう評判なのか少々気になるところだ。

「お前達の仕事に問題はないが、そもそも休暇無く働き通しなのが良くないんだよ」

「そうなの」

「お前達の家の近所からも毎日働いてるのを注意しろと何故か今日言われていた所だ」

「はあ」

まさかそんな所まで派生していたとは。確かにご近所さんは自分達が討伐の仕事をしてるの知ってるけど。

「毎日遅いから迷惑って言われたのか?」

「お前達が毎日仕事してるからそんなに人手が足りないのかと言われたんだ……」

ウィドさんはそう言って溜め息を吐いている。実際足りてないという事はないけど、急ぎでない細々とした依頼は多いみたいだから逐次こなしていても結局量はあまり変動しないらしい。


「そんな訳で!皆さん明日はお休みです!」

ロシェさんから声高らかに休みを宣言された。ちょっと酔っているみたいだ。

「はい」

「何したらいいですか?」

「まあ……普段やらない事でもやればいいんじゃないか」

「それなら俺少し薬師の組合に顔出しに……」

「それは仕事の延長だからダメだ」

即却下された。いきなり選択肢を減らされた。

「皆さん普段どんな生活してるんですか?」

「特におかしい所なく普通の生活してますけど」

と言いつつ自分が普段の生活についてをロシェさんへ説明する。


リツ兄とシュウ兄は早朝走り込みがてら中央の朝市に買い物に行っている。ソウ兄は昔から朝が弱くて中々起きて来ないから大体自分は起きたら一人だ。朝食の準備をしてたらソウ兄が起きて洗濯を始める。二人が戻って来ると、準備をリツ兄と交代して自分はルスタやゼーレの世話をする。と言ってもゼーレは別に食事を別途用意したりしないんだけど。

朝早くから出かける程急いでいない場合は皆で掃除もしているし、持っていく為の昼食の準備をする時もある。

夕方は討伐で分けて貰った肉や、保管している材料でご飯を作る。たまに近所の奥様方からおかずのお裾分けを貰ったりする事も。

晩御飯後は次の日の予定とか、その日の成果とかを皆で確認して自室でそれぞれ過ごして就寝だ。


「毎日こんな感じですね」

「たまにはゆっくり寝るといいですよお」

アンジェさんの言う通り、休みを取るなら朝はベッドでゆっくり過ごすのも良いのかもしれない。

「ま、明日は休みに決定だから今日は飲めのめ。俺達の奢りだ」

ウィドさんはそう言いながら店員さんへ追加の酒の注文をしている。あまり気にしていなかったが兄二人とだいぶ飲んでいて今何杯目なんだろうな、と少し心配した。


「私もロシェも出しますけど多分大体統括ですねぇ」

「奢って貰うのはちょっと」

「ソウさん、せっかくですし遠慮しないでください!」

ロシェさんは上機嫌でグラスを傾けながらそう返していた。結構酔っている。

「これうまい〜」

「食えくえ」

結局色々とご馳走になって、夜遅くなったのでロシェさんとアンジェさんを送ってから帰路に着いた。


不意に丸一日空いたので、何をしようか考えてるうちに眠ってしまった。

また酒飲んで飯食ってる……デジャヴ。

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