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彷徨人達の異世界生活記  作者: 香鈴
第2章:街での新しい生活
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余話:アヴィラ達の迷宮探索

ちょっと短め、会話多めのアヴィちゃん達のこぼれ話。



先日、講習にて探索し想定外の事態に見舞われた迷宮。

アヴィラ達四人は討伐者ギルドでの依頼を受け、既に9階層まで降りていた。本来なら迷宮初心者が降りてくる階層なので難易度は全体的に高くない。


「次、例の階層」

「いやー流石に同じ事態は無いだろ」

アヴィラとディルはそんな会話を交わしつつも、携えた武器を改めて確認する。

「一応ほら、ギルドが確認の為に色んな人達に依頼して何度も潜ったみたいだし」

「逆に同じ事態が起きたら、次は普通に逃げるだけだな」

ファイのそんな言葉に三人は頷いた。前回対峙した牛頭の亜人は一、二体ならともかく出現数によっては戦う実力に及ばない脅威であるだろうと感じているからだ。

十階層に降り、例の部屋前まで到達した四人は顔を合わせ頷くと勢いよく扉を開く。迎えるのは犬頭の小柄な亜人だった。背の高さは四人の中で最も小柄なアヴィラよりも低い。少しの安堵を覚えつつ、各々の武器を改めて構え直し亜人に向かった。




「終わった」

「俺達の時が本当に予定外だったんだな……」

然程の時間もかからずに部屋内の亜人を全滅させた四人は少し拍子抜けした様な表情をそれぞれ浮かべていた。

「あれから何回も亜人と戦ってるけど、あんだけデカいのってなるとまだな……」

そう呟くディルの言葉に四人は最初に見た牛頭の亜人を思い出す。人よりも大きな体躯を持ち、人が振るうのは難しい大きさの武器を携えていた。動きこそあまり素早くはないものの、それでも鈍い様には見えなかった。

「私怖気付いちゃって固まっちゃったわねー」

「通路が広くなくて助かったな」

「魔法すごかった」

話を続けつつも部屋のあちこちに落ちている武器や素材を集め、少し休息を取り更に下層へと足を運んだ。



四人は十一階層に広がる森の中を、魔物の気配を探しながら進む。

先日の講習後からしばらく調査の為に立ち入りを制限されていた迷宮の為、此処から先は彼等の未踏の階層である。

「他の迷宮の同じ階層に比べると出てくる魔物も弱いけど、種類が多いのが難点よねー」

「だが色んな魔物に対応出来る力を鍛えないと他の迷宮で探索に詰まってしまうしな、よく出来てる」

「だなー」

事前に管理室の魔物の資料に目を通してきた為、未踏の階層とは言っても魔物の対処法は全員が把握していた。

基本的に迷宮内部の情報は討伐者組合で調査し探索する者には平等に閲覧権がある。それと同時に得られる素材の情報もありそちらは主に商業組合や職人組合等に情報共有されている。


討伐者は依頼遂行よりも迷宮探索に明け暮れる者の方が割合的には多い。依頼遂行と迷宮探索を兼ねる事もある為、注意される事も規則による罰則も無いが、基本的に住民等からの依頼が優先とはされているのは余談である。


「で、今回の依頼」

「此処の下層でとれる素材は需要が多いみたいだからなー。難度は駆け出しにもうってつけだし」

「倒しまくって稼ぐかニャ」

「ギルドも迷宮の制限期間中あちこちからせっつかれていた様だし……在庫確保にはなるべく貢献しておきたいな」

魔物の姿を見つけては倒し、残った部位を回収する。倒しても倒しても湧いて出てくる魔物にきりがないのは、迷宮が際限無く魔力を魔物に形作れるからに他ならない。その状況も、依頼の遂行をする彼等にとっては好機でしかなかったが。

結局倒す時間よりも落ちた部位の回収の方に時間を要したのだった。




――――――――――――




休息の為に一度上の十階層へ戻り、日を跨いで最下層までの踏破を進めた四人が迷宮から出て来たのは潜った翌日の夕方近くだった。

「明日帰るから忙しい……」

アヴィラとディルは、行きに護衛の依頼を受けていた馬車の帰り分も依頼がある為、翌日の早朝には街を出なければならない予定だった。二人は溜息を吐く。

「俺とイルミアでギルドへの手続きはやっておく。報酬はギルド経由で受け取っておいてくれるか?」

「いいぜ。任せた」

収納魔法がかかった鞄の為に内容量が分かりにくいが、かなりの時間をかけて回収した素材は大量にある。

「いやー働いたわねえ」

イルミアは大きく伸びをしながらふと三人へ話を振る。


「受けてた皮革素材の依頼って、ソウ達にやって欲しそうだって言ってたのよねー」

「ウィドさんなんかぼやいてた」

ギルドで職員達の話を又聞きしていたイルミアは続ける。

「お店の店主が四人の事、てかアキの事気に入ってるみたい」

「そりゃあまた」

「アキ達の仕事横取りした?」

「どうかしら。あんまり迷宮探索行きたそうじゃないし。行きたい私達が行っても咎められないわよ。適材適所でしょ」

「そうかもな。でも、今度会った時話題くらいには出しとくか」


闇色に染まりかけた空を見上げて、四人は解散した。

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