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彷徨人達の異世界生活記  作者: 香鈴
第2章:街での新しい生活
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21.再会と散策

副題通り散策?回です。

「鳴き声が聞こえたから、馬車が襲われたらまずいし様子見に来た。だから群れを倒したの、見てた」

遠目から自分達がやっている事を見られていたらしい。少し恥ずかしい様な。


「魔法ってやっぱすげえな。武器だけじゃああはいかないし」

「でも、群れ見つけたらまずギルドへの報告が義務。その前に倒すのはホントは良くない」

「あっ」

忘れてた、とソウ兄が頭を掻いている。講習の際にそんな決まりごとを教わっていた。戻ったら叱られそうだけど今回ばかりは急だったので仕方ない。

「見つけた途端こっちに来ちゃったしな〜」

「それならしょうがない」

私もそうすると思う、とアヴィは頷いている。


「次はちゃんと報告するよ。仮に罰則とかあったらそれは甘んじて受けるしかないね」

「怪我もねぇから良いだろ、別に」

反省点が多いけどまずは倒した魔物を回収した方が良いだろうと、皆で手分けして片付ける事にした。アヴィとディルも手伝ってくれると言う。

あちこちに出来た血溜まりに支給された浄化用の水を撒いて終わりだ。貰っていた物で何とかぎりぎり足りた。


2人とルスタはそういえば初対面なので、とりあえず紹介する。まじまじと見られているルスタは薬草を食べ終わるとちょっと姿勢を正していた。

「良い毛並みだな」

「……触りたい」

ルスタに尋ねると、特に問題なさそうな返事がきたのでそう伝える。では遠慮なく、と2人はルスタを撫でていた。

「いいなー。乗ってみたいぜ」

「ちょっと乗る位なら大丈夫だと思うよ」

「主人以外は普通嫌がらないか?アキも魔物もちょっと変わってるな」

ディルはそう言って不思議そうにしていた。ウィドさんにも言われたけど、魔物が契約した主人以外に気を許すのは割と珍しい事らしい。


「アキ、その子も紹介して欲しい」

アヴィが言っているのは肩にいる鳥の事だろう。手を近づけると大人しく乗ったので彼女の目の前に連れて来る。

「紹介と言ってもまだ名前も付けてなくて……」

「この子も魔物?」

「そうみたい」

鳥についてギルドから聞いている話をする。が、アヴィはさっきからそわそわと触りたそうにしているので、手を出して貰って鳥にはアヴィの手に移動する様に促した。とても嬉しそうにしている。

「可愛い……」

しばらく撫でたり眺めたりしていたが、ふと何か思い出した様に自分を見てくる。

「でも、新しい魔物捕まえたら教えてくれる約束したのに……むぅ」

約束を反故にされた事を軽く責められてしまった。それは悪かったと思う。

「ごめん。つい昨日保護したばっかりで……後アヴィへどう連絡したら良いか分からなかった」

「あ。私もちゃんと伝えてなくてごめんなさい」

彼女も連絡手段については失念していた様で、それについては謝られた。

「ギルドに伝言してくれたら、ギルド経由なら受け取れるから」

「分かった。次があればそうするよ」

とは言えそうそう飼ってる魔物を増やす訳にはいかないけど。

アヴィはしばらく鳥を撫でては眺めを繰り返していた。鳥は為すがままだった。それをボーッと見ていたら我に返ったのか御礼を言って鳥を返してくれた。よほど鳥の事を気に入ったらしい。


アヴィとディルは街へ向かう途中だったらしく、馬車を待たせていると言うので別れの挨拶を交わし街へと向かって行った。ついでにギルドへ行くので群れがいた事について先に報告を入れてくれるそう。急ぎ戻る程緊急性はないだろうからゆっくり捜索してくれと言われた。


2人と別れてから、他にはぐれて行動している魔物がいないかを確かめながら草原を歩く。魔物は見かけないが小動物は時々森から出てきているので狩りも少し行った。

ルスタは手綱と鞍を着けたまま自由に走り回っている。呼んだり何か異変があれば戻って来るのでしばらく一頭で存分に走っていて貰う。

「野草ってこれかな」

「おっ見つかったか?」

草原の一角に奥様方の言っていた特徴のある野草に似ている草を見つけた。採って行って違えば廃棄するし合っていれば配って貰う事にした。偶々群生地を見つけたのか、かなり生えていた。



ふと空腹感を覚えて、時計を見るといつの間にか昼に差し掛かっている。

「もうすぐ昼になるよ」

「それならもう少し森に近いとこで昼食にしようか」

少し歩いて、木々の木陰になっている所へ腰を下ろす。ルスタは呼ぶと来てくれた。食事にする事を伝えたら森に入って行った。多分薬草探しだろう。

「予定外あったけど早く終わったな」

「そうだね」

作ったサンドイッチを頬張る。今日は生野菜と焼いた燻製肉を挟んだ物にしたが食べ応えがある。色々作ってみた料理も美味しく出来たので満足だ。鳥もおこぼれを食べたそうに腕まで降りてきたので、パンの端っこや野菜などを千切って分けた。


のんびりお茶を飲んでいたらルスタが薬草を咥えて戻って来る。持ち帰り用らしい。

「薬草も少し採って行こうかなあ」

「手伝おうか」

「俺らアキくん程わかんないけどな〜」

そう言うが兄達も実物を見るとすぐ判別出来るのだから十分だと思う。

森の中へ少し入って、ルスタに薬草の生えている場所を訪ねると案内してくれた。似た草が群生していてそれをルスタがまた食べ始めているので葉の部分を摘む。

「此処も群生地かな」

「な〜」

鳥はしばらく肩で大人しくしていたのだが、いきなり頭上へ飛んで行ってしまう。もしかして森に帰るのか。と思ったら数分程して何かを咥えて戻って来た。

「木の実?」

手に止まって咥えている赤黒い木の実を自分の掌に置いてくれた。そのまま鳥は自分を見ている。もしかして食べろと言っているのかなと思い切って一粒口に放り込んだ。

「……あ、甘い」

噛むと種はなく、皮も柔らかい。鳥はまた飛んでいき、木の実を咥えて戻って来る。どうも自分達の頭上に実がなっている様だ。

「なあなあー。それどこになってんだ?」

「ちょっと登ってみるか」

鳥は鳴いて飛んで行こうとするので、兄達を案内してほしいと伝えると、2人の登るペースに合わせて飛んだり枝に止まったりしてくれている。

「おわー。すごい沢山なってるじゃん」

「採ってって母さん方に見せてみるか」

この辺の木は同じ種類らしく上にはかなり実がついているみたいだ。何故か時々風を切る様な音が聞こえる。何の音なのか聞いたら、鳥が魔法で実を落とすのを手伝っている様だ。自分の知らない魔法を覚えているらしい。

自分はソウ兄と薬草を摘みつつリツ兄とシュウ兄を待った。ルスタは満足したのか食べるのをやめて自分達の薬草摘みを手伝ってくれた。渡してくれる物には時々違う薬草が混じっている。

「いっぱい採ったぞ〜」

「そういやこれ魔法かかってんの忘れてたわ」

鞄は物を入れても重みや膨らみが変わらないので一体どの位採ったのか見当が付かないけど、2人の言動から察するに相当量採ったのかも。




ギルドへ戻って受付のアンジェさんに報告をしていると、ウィドさんが来てくれた。

「お前達、アヴィとディルから話聞いてるぞ」

「今回はすいません」

「別にお前達が群れに突っ込んで行った訳じゃないだろ?」

「目的地に入って群れを見つけたらすぐこちらに向かってきましたよ。そのまま逃げる訳にもいきませんし」

「まあそれなら仕方ないな」

「疑わねえのかよ」

「森の奥入り込んで、ならそもそもアヴィとディルには会わんだろ。2人の報告とも相違無いからな。罰則も無い」

ウィドさんはそう言って笑っていた。ある程度規則に則って、とはいってもやはり現地での判断の方が重要なのだと言う。確かにあのまま報告には行けないなとは思った。というか逃げきれないと思う。

解体場へ収納袋ごと魔物を渡して、確認と解体等をお願いする。数が数なので急ぎはしないと担当の方へ伝えた。

報酬関係の手続きも予定の討伐と内容が変わってしまった関係で時間がかかってしまうらしい。別件の報告もあり明日また手続きをする旨を伝えると了承を貰ったので、帰宅して採った物の報告に行く事にした。

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