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彷徨人達の異世界生活記  作者: 香鈴
第2章:街での新しい生活
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19.魔物と魔法

今日は街の外に出ている。というか既に森の中で兄達とは別行動を取っていた。

朝どうするか予定を決める際、日帰り出来る程度で少し遠出してみようという事になり、依頼を確認しにギルドへ行くとまとめて依頼を受けてはどうかとアンジェさんに討伐と採取の依頼を渡された。

まあ、つまりいつも通りなんだよなあ。強いていつもと違う所を言えば目的の魔物が二体な所くらいだ。


それからすぐ目的地まで向かい二手に分かれて依頼をこなす事に決めて、今は森の中を探索していたところである。


「うーん。これ、依頼の薬草で合ってるのかな」

依頼品の写し書きを眺める。ギルドでも現物は見せて貰ったが今日頼まれたのは採った事の無い薬草なので何度も目視で確認する。持っていた草をルスタが食べようとしてたので薬草ではあるらしい。制止したら生えている方を毟って食べだした。

「食べてからで良いから手伝いもよろしく」

そう言うと幾つか食べずに毟って渡してくれた。物分かりが良過ぎる。いくつかは手にしてる薬草と違う葉の形だったので、今いる場所は何種類も薬草がある様だ。

「ありがとう」

礼代わりに撫でると満足げだった。ついでに野草も少し探そうかと思った時、頭上から鳥の鳴き声がした。


上を向くと羽をばたつかせながらふらふらと降下している青い鳥がいたので手で受け止めた。見ると翼を怪我している。こっちに来た時に貰った薬でも塗ってみようかと考えていたら横からルスタが鳥に顔を近づけてると、鳥が淡い光に包まれる。光が消えると鳥が怪我の部分を確認して首を動かしている。自分も見てみるがきちんと傷は塞がった様だ。治癒魔法を使ってくれたらしい。


「大丈夫か?」

一応声を掛けてみると小さく鳴いた。が、飛び立つ気配はない。手の中で丸くなって目を瞑ってしまった。

「戻ったぞー。何してんだ?」

「怪我した鳥を捕まえたところ……なんだけど飛ばなくて」

リツ兄は片手に依頼の薬草、片手に討ったらしい魔物を持っていた。薬草はルスタが受け取っている。

「どれ」

鳥は突然指でつつかれてびっくりしているので元気はあるらしい。が、やはり飛び立たない。

「どうしよう」

「連れて帰れば?最悪料理の材料にくらいなるだろ」

突然可哀想な選択肢が提示された。鳥も鳴いて抗議している、のだろう多分。

そんな鳥を見てリツ兄は元気じゃねぇかと笑っていた。


手に乗せているのもなんだし、と肩に鳥を乗せた手を移動させると自分で動いて上着のフードの所に上手く収まっていた。

「ところで、薬草ってこれで合ってんのか?」

「うーん、多分。ルスタが受け取ってるくらいだし」

ルスタが咥えていた薬草を見てみると、特徴は写し書きと大差ない気はする。

「後はギルドで確認して貰おう。間違ってないとは思うけど」

「だな」

「ところでリツ兄、それどうしたの?」

「なんか飛び出てきたから反射的に」

持っていた魔物について聞くとそんな返答。小型なので危険性はあまり高くないのだろうか。それともリツ兄が強いだけか。

ルスタの咥えた薬草を貰い、森の外に出ていつも通りに束ねた。



依頼の魔物を討伐して来たソウ兄とシュウ兄も森から出てきたので今日の仕事は終了の様だ。

二人とも鳥を見てつついては不思議そうにしていた。何回もつつかれて鳥も驚き疲れたらしく、後はずっとフードの中で丸くなったまま鳴きもせずじっとしていた。

森を抜けて街に戻ると既に空の光が小さくなり始めている。時計を見るともう夕方の時刻を差していた。まだギルドはギリギリ開いていそうなので、報告へ行ってから借家に戻る事にし、駆け込む様にギルドへ入る。




「はい、報告ありがとうございます。完遂を確認しましたので報酬をお渡ししますね。ここに名前をお願いします」

受付のロシェさんはいつもの笑顔で報酬の入った袋と確認書類を提示してくれた。

「ありがとうございます」

「依頼外の魔物も同じ場所に出たんですよね」

「はい。リツ兄が飛び出てきたって」

もしかしたら元々依頼が出ていた魔物と同時期に発生していたのかもしれないとロシェさんは何か書き留めていた。


討伐した魔物は食用にも出来るとあらかじめ聞いていたので、それの解体と持ち帰りを頼むのにリツ兄とシュウ兄は解体場へ、新しい依頼の件でソウ兄は別の受付に行っている。

「あの、聞きたい事があるんですが」

「私で分かる事でしたら構いませんよ」

「この鳥の種類って……分かりますか?」

肩にいる鳥に手に入る様促すと大人しく乗ってくれた。そのままロシェさんの目の前に連れてくる。鳥はカウンターの上で落ち着きなくうろうろし始めた。

「この鳥は……うーん。ちょっと待ってくださいね」

ロシェさんは受付を少し離れ、ウィドさんを連れて来てくれた。元々ベテランの討伐者だったから知識も造詣も深い人だ。


「アキが魔物連れて来たって?」

「魔物なんですかこの鳥」

ウィドさんは確認の為か鳥を観察し始める。ジッと見られている鳥は緊張した様に大人しく、というか固まっていた。

「コイツはゼレアウェスって言う魔物だな」

ウィドさんの説明によると、内包する魔力がかなり高い魔物だが森深い所に住んでて人前に出てくる機会があまり無い様だ。大人しくて討伐対象にもならないから魔物としての生態はあまり詳しくは分かっていないらしい。見た目小鳥だし、余程攻撃性が高くないならほっとかれそうな魔物だ。


そんなゼレアウェスと言う魔物は、もう終わったからという風に自分の腕を伝って、またフードの中に収まっていた。

「俺も久しぶりに姿を見た。もうお前に懐いてるからキュリルスタング同様可愛がってやったらどうだ」

「懐いてますか?これ」

「今までずっと逃げずについてきたんだろ。今も大人しくしているし……ゼレアウェスの方が離れる気が無さそうだぞ」

言われてみたら全く離れようという気配はなかった。もしかして見つけて治癒した際も戻るのを渋っていたのだろうか。

「ついでに生態観察して報告書でも出してくれ」

「うーん」

その場合何をどうするべきなんだろうか。魔力が高いというし、鳥が使える魔法の確認かな。考えていたら兄達の用件も終わった様で戻って来たので、帰宅する事にした。



「この鳥どうすんのー?」

テーブルの隅で相変わらず丸くなっている鳥を軽くつつきながら、シュウ兄はお茶を飲んでいる。

「ウィドさんから飼えばって言われた。まあ害もないし」

つつかれた鳥は自分の前までちょこちょこと移動して来た。くちばしと足で服を掴んで器用に肩まで登ってまた丸くなる。

「随分懐かれたな」

「俺何もしてないよ……怪我治したのはルスタだし」

ルスタは庭に繋ぐ時に鳥と何か会話らしき行為をしていた。魔物同士は種が違っても何がしか意思疎通がはかれるのかもしれない。自分は一頭と一羽の鳴き声にしか聞こえないけど。

明日も依頼をこなすので、魔物達には留守を頼んで近所の浴場へ向かい、自宅に戻った後は少し雑談と今日の成果の再確認。今は自室で日課のストレッチをやっていた。鳥は自室に入れるとベッド横のテーブルに飛んで行った。翼はちゃんと機能するみたいなので安心だ。


ベッドにうつ伏せになってギルドから借りて来た本を読んでいると、鳥がベッドに降りてこっちに寄ってきた。

「本は破いたり汚したりしないでくれよ」

言うと小さく鳴いて本と自分の体の間に出来たすき間に収まっている。興味津々に本を覗いているので、もしかして字が読めるのだろうか。魔物の知能は高いと聞いてるけどルスタを見てても鳥を見ててもよく分からない。


因みに今読んでいるのはギルドから借りた戦闘魔法の基礎についての本。魔法は想像して発する他に詠唱という決められた短い文を唱えて形成をより強固にする方法もある。

杖自体戦闘魔法を使用する際の増幅器という位置付けだが、魔石等の魔力のこもった素材によりその力も変わるそうで、出来れば所持する事を推奨している。自分がイメージだけで魔法を使えているのは杖の補助もあるみたいだけど、正直この杖は性能がかなり不明瞭だ。どこかできちんと判明させないといけない。

鳥の使う魔法も気になるところだ。街の外に出た時に確認してみたい。


一時間程読書して今日は就寝した。

魔法の話あんまりしてなくない???次話で……もう少し触れます……

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