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彷徨人達の異世界生活記  作者: 香鈴
第2章:街での新しい生活
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余話:ジョーさんのお店にて

お店での一幕。こぼれ話です。



「おう、坊久しいじゃねえか」

「こんにちは、ジョーさん。今日お店に行こうと思ってたんですけど、お出掛けですか?」

門を潜って戻って来た道すがら、ジョーさんと会った。作業道具等は持ってなくて身軽な格好だ。というか外に出るのに道具は持たないか。


「いや店に戻るとこだ。坊達は何やってんだ?」

「俺達は街の外に魔物の討伐しに行ってました」

答えるとジョーさんは少し興味有り気な顔をしている。

「ほー討伐者か」

「そういえば伝えてませんでしたね」

「初耳だ。坊と兄貴達が討伐者ならひとつ俺の頼みを聞いてみちゃくれんか?」

道端ではなんだとジョーさんは自分達を店へ招いてくれた。店内には店番している少年しかいなくて、閑散としている。

「頼みというのは?」

「実は仕事に使ってる材料が足りなくなりそうでなあ」

ジョーさんの店は皮革製品を取り扱っている。皮も何種類かあるが、その中でも迷宮で手に入れる事が出来る魔物の皮が不足しているという。迷宮ならそれなりに足を運んでいる人はいそうなものだけど。


自分が不思議そうにしているのを察した様でジョーさんはその迷宮についても話してくれた。目当ての皮が拾えるのは自分達が講習に潜った迷宮の、もう少し下層なんだと言う。

「ウィドさんが調査するとか言ってた様な」

「そうそう。ウィドの奴に聞いたら調査やらはとうに終わって通常通りに入れる様にはなったんだと」

「ただ閉鎖してた期間に不足してた分の素材がまだ補いきれないので、俺達に頼みたいという訳ですね」

「兄貴は分かりが早いな。そういう事だ!」

ジョーさんにはルスタ用の鞍等かなり良い物を作って貰ったから快諾したいところではあるが。

「俺達資格はあるけど階級的な問題が……」

「あ? あーそういや個人からの指名依頼は階級制限があったな」

うーん、とジョーさんは腕を組んで考えている。元々直接個人から指名される程信頼度の高い討伐者は基本的に階級も高い。討伐者のギルドは信用度が主に重要視される階級制だから当然とも言える。


「よしわかった!」

「すいません、お力になれず」

「ウィドに言っとくからギルド経由で受けてくれ」

「いや……指名はダメなんだろ」

「なーに。新人が潜る迷宮なんだから最近入った新人にでもやらせろと言っとくさ」

それにこれは個人では無く組合から依頼をする形を取る、とジョーさんが言う。何だか規則の隙間みたいなものを垣間見た気がするが、他にも新人の人がいたらそっちへ行くかもしれないしと自分達は半端な返事をした。


「そういや俺に用事だったんじゃないのか?」

ジョーさんからの頼み事の件ですっかり忘れていたが、聞かれて思い出した。

「そうです。支払いの残りをお渡ししたくて」

「おーそうかそうか」

先日の迷宮探索で宝石を見つけた為いきなり所持金が増えた。結局兄達と報酬は等分になったのだがそこから兄達にも返すものは返し後はこの支払いだけ。以後お金が必要になりそうな予定が然程ないから生活も問題ないだろう。

「どうだ?使い心地は」

「とても良いです。ルスタも気に入ってるみたいですし」

流石に表情は読めないが、作って貰った鞍の付け心地は悪くない様子。自分も乗るのに不便は無いから、不満や文句等一切無い。


一応ルスタの様子もちゃんと見たいと言う事で、外で確認して貰う。ルスタはジョーさんの事を覚えているのか、また姿勢を正していた。

「着け心地の確認をしたいんだって」

了解らしくひと鳴きしてくれた。気になる所は鳴いて教えてくれと伝えてジョーさんにお任せする。作った側としても気になる様でベルト部分とかあちこち細かく見ていた。ルスタはジョーさんが鞍を触っているタイミングで三回程鳴いていた。

「いくつかちょっと直しを入れた方が良さそうだな」

「お願いします」

「よし。今からちゃっちゃとやろう」

ジョーさんは直ぐに鞍一式を取り外して中に持って行ってしまった。自分もルスタに断りを入れて追いかける。


鞍の直しを待つ間、店内の見本品や商品に目を通す。ベルトや鞄、剣の鞘、防具など色々な製品の展示がある。皮の見本展示もあって、主立って使う製品の例の記載も隣にあった。

「靴、そろそろ予備を考えないとね」

「履き潰しそうだもんな」

皮革製品の中には靴、ブーツもあった。今自分達が履いている靴は元の世界でも履いていた物。手入れをしてはいるけど、仕事柄歩き回る事の多い毎日なので限界が近そうだ。

こっちでは既製品で出回っている靴もある。ただ街の外を歩き回るのには残念ながら向いていない形状がほとんど。耐久性や足への負担を考慮したら個人受注をする必要がある。


「もし作るんでしたらウチから靴職人さんを紹介しますよ!」

カウンターで店番をしていた少年が、使う材料と作成に関する価格等が書かれた板を片手に自分達の方へきてくれた。

「ここで作ってくれる訳じゃないんだ」

「ウチでも作れはしますけど、基本靴は専門の職人さんがいるんですよ。布製品も服は専門の職人さんがいるしー」

少年が説明してくれた話だと、職人同士でも提携があり、顧客の紹介だとか素材の共有だとか行っていると。靴に使いたい素材はこの店で選んでも良いとの事なので見本の説明もしてもらった。説明を受けている内に直しも終わった様で、ジョーさんが店に戻って来る。

「これで問題ないと思うぞ」

「ありがとうございます」

「親方! 皆さん靴を作りたいんですって! 行って来てもいいですか?」

少年既に行く気満々だった。ジョーさんの快諾も得て意気揚々と自分達を二軒隣の靴屋へ連れて行ってくれた。自分達は靴屋に行ったらそのまま帰るので挨拶をする。

「また来いよ」

「はい、ルスタにも着け心地また確認しておきます」


靴屋での説明等は少年に全部任せてしまい、後は職人さんから足を測ってもらったり、希望の色形や装飾を伝えるだけで終わった。後日また改めて靴を受け取りに来ることとした。

尚少年は説明等々を終えると店に颯爽と帰って行った。職人見習いらしいのだけど、交渉とか商談の方が向いているのでは?と思ってしまった。

靴のオーダーメイドって思ったより高いですね……後昔って木靴だったんですよね。重そう。この世界では革や布が主流ですけど。

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