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彷徨人達の異世界生活記  作者: 香鈴
第2章:街での新しい生活
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14.獣人の村再び

今回もちょっと続きます。

今日も朝からギルドへ依頼を受けに来ていた。基本は毎日足を運んでいるけど、午前と夕方はいつもそれなりに混み合っている気がする。


受付が少し空くのを掲示板などを見ながら待っていると、受付担当の男性職員から声を掛けられた。

「おはようございます。皆さんは並ばないんですか?」

「ちょっと落ち着くの待ってる〜」

「そうなんですね。手続き関係はどうしても時間がかかりますからねえ」

そう言いながら声を掛けてくれた男性職員も空いてるカウンターに入り受付業務に戻って行った。そろそろ良いかなと様子見して並び、依頼を受ける旨を伝えた。


「今出てる急ぎめの依頼はこの辺ですねぇ。いつも皆さんがやってくれてる近場での依頼は無くって最短でこの辺の一泊二日で戻れる依頼ですかねぇ」

「……あ」

「アキさんどうしましたぁ?」

「ここの依頼の村って、何処ですか?」

依頼書の一枚を指差して尋ねると、アンジェさんはすぐに近隣の地図を出して説明してくれる。

「この街がここー。で、すぐ隣の村なんですぅ。犬系の獣人さんの村で、森に入れなくて困ってるみたいですぅ」

「セーナちゃんとこみたい〜」

「だな。行ってみるか?」

「受けますかぁ?」

アンジェさんの問いに頷くといつもの配布品を渡してくれた。それと一緒に書類の写し書きを受け取る。

「終わったらこれに村長さんの達成承認貰って、持ち帰ってくださいねぇ」

「分かりました」

「お気をつけてぇ〜」

今日は村の宿に泊まると良いですよぉ〜とアンジェさんが付け加えて手を振ってくれた。



街から村へは一日三回程度往復してくれる乗り合いの馬車がある。バスみたいなものか。前に村から街へ行く時は急ぎでもないしと徒歩で移動したが、今回はなるべく早く着きたい。

今から行けば昼の出発便には余裕で間に合いそうだ。


「アキはルスタに乗ってくんだろ」

「うん。馬車の後ろついて行こうかな」

乗り合いの長距離馬車を使うのはこれが初めてだ。馬車の馬がルスタにびっくりしたりしないかだけが心配。街中ではそんな事無かったから大丈夫だとは思うけど。

「セーナの家に何かお土産買って行きたいな……」

「お世話になったしね」

日持ちするお菓子なんか良いかもしれない。用意の為家に戻ったついでに良く利用させて貰っている近くの料理用品店で尋ねてみることにした。



「おう、リツじゃないか。今日はなんだ?」

「親父さん。土産に出来る菓子の類ってあるか?」

リツ兄はお店に結構足を運んで色々料理の事なんかも教わっているらしくて、店主さんとはかなり仲が良い。店主さんは少し考えた後いくつか候補を見せてくれた。

「この焼菓子は日持ちするし、色々な形の物が一箱に入ってるぞ」

開けてくれた中が区切られた箱には形ごとに綺麗に並べられた焼菓子が詰まっている。

「こっちは生物を使ってないケーキ(トルタ)だ。一日二日なら持つ。口当たりが柔らかくて美味い」

周りにクリームが塗られたり果物が飾ってあったりはしない焼かれたままのシンプルなケーキ。見た目にも柔らかそうな感じがする。

「後はバターと卵をたっぷり使った焼菓子だな」

木箱に収まっている長方形の黄色い焼菓子は切り分けて食べる趣向の物の様だ。


「色々あるな」

「後は……時間の動かない収納鞄を持ってるなら冷菓も勧めるが」

保冷の魔道具で常に冷やされたガラス窓の商品棚にはカップに入った菓子が並んでいる。

「一応持ってるけど」

「おお、それならこっちの方がお勧めだな」

とは言いつつも食べるなら今日中が良いと店主さんは付け加えた。

「なら、これ買ってみるか」

村長さんと狩猟組合の人達にも、とそれぞれ別の焼菓子を買った。



門の方へ向かうと乗り合いの馬車は待機していて、既に乗り込んでる人もいた。

中を覗くと長椅子が向かい合って設置してあった。座り心地が悪くない様にクッションにはなっているみたいだ。乗車時間は二時間から三時間程らしいので着いたら宿を取ったり挨拶に行ったりして今日は終わりになるかも。

ルスタに乗って後ろから付いて行く事を御者の人に伝えると快諾して貰えたので、兄達とは別れてルスタに乗せて貰う。

「村までよろしくな。森にも久しぶりに行けるみたいだし」

そういえば当初ルスタが縄張りにしていた薬草の群生地はどうなっているんだろうか。ルスタがまだ場所を覚えているなら様子を見てみたい。




馬車の後ろをルスタの背に揺られて数時間。途中休憩も挟みつつだが、街道を行く為に魔物が襲う事も無くのんびりした道程だった。馬車を曳く馬とルスタは割と仲良くしている様子で、折り返し街に戻る馬車を少し寂しそうに見送っていた。


村は初めて来た時と変わらず長閑な雰囲気だが、魔物が出ているというので現状を伺いにまずは村長さんのお宅へ挨拶と確認に向かう。

「こんにちは」

「おや君達は。久しぶりですな」

「今回は魔物討伐の依頼を受けて来ました」

お土産に買って来たお菓子を渡して、資格証と依頼書を村長さんに見せる。

「君達ならなら取れるだろうと確信してましたが」

「魔物って何が出てんの〜」

「おお、そうです。実情を伝えなくては。中にどうぞ」


村長さんの話だと、森には二体程魔物が目撃されているとの事。小型の魔物は組合の森歩きの際に仕留めているけど、中型から大型になると仕留めるのにかなり労力を要するし、怪我を負う可能性が高いので避けて戻るらしい。魔物はルスタの様に縄張りを作りその中でしか基本行動しないので村まで襲っては来ないが、時々猪型の魔物などは畑を荒らしたりもするそうだ。

で、今回は森の中から出てこない魔物と猪型の魔物両方共を仕留めて欲しいとの事。

「デカい猪なら前に遭ったな」

「あんな感じなのかな〜」

初日にいきなり遭遇した猪はたしかに大きかった。村長さんにその事も話して大きさを聞くと今回はそれより小型らしく、普通の猪より二回り程大きい程度らしい。


「とりあえず畑行ってみる?」

「いこいこ〜」

村長さんに被害が出た畑の場所を教えてもらい、宿へ荷物を置いて向かうことにした。その前に狩猟組合にも寄って挨拶をする。魔物の討伐依頼を受けた事を報告すると、組合の皆さんも森に入れないので早急に頼むと念を押されてしまった。



「あれだな」

そう広くない村の中、教えて貰った場所へ向かうと近くの木まで荒れた状態の畑がある。森に隣接している場所なので魔物も来やすいのだろう。荒らされた畑には食い荒らされたらしい野菜の残骸と魔物の足跡が沢山残っていた。蹄の足跡だ。

「同じとこに戻ってくんのかな~」

「無事な畑が近くにあるからまた来そうだけど」

不思議と、すぐ近くの畑と水場は荒らされた形跡がない。植えられたままの野菜は収穫時期がまだの様で、魔物が再度の来訪の為に全て荒らさない様配慮したのかもしれない。周りを見渡していると自分達の方へ走って来る人がいた。


「みなさーん!!」

「あ、セーナちゃんだ」

セーナは手を大きく振りながらスピードを落とさず近付いて来た。

「お久しぶりですー!また会えて嬉しいです!」

嬉しそうなセーナの尻尾がパタパタと振られているのをつい見てしまう。

「元気そうだな」

「私も両親もおばあちゃんも元気ですよ……って皆さんお仕事中でしたね! 邪魔しちゃいました」

「今はちょっと様子見に来ただけだよ。この分なら出るのは夜から朝だろう」

村長さんの話だと夜中に大きな物音があって朝この状態だったというから、夜に見張った方が良いという結論になった。夜に出歩くならば許可をもらっておいた方が無難だろう。


「そういう訳で一度村長さんの所に報告に行くから……」

「家でお待ちしてます!」

「そうなるよな~」

待ってますねーとまた大きく手を振りながらセーナは走り去っていった。元気だ。

元々行く予定だったんだけどと言いつつ自分はソウ兄と報告に、リツ兄とシュウ兄は宿へお土産等を取りに向かうのだった。

セーナちゃんは耳ピンと立ってて尻尾ちょっと巻いてる感じの犬娘です。耳と尻尾はよく動く。

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