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彷徨人達の異世界生活記  作者: 香鈴
第2章:街での新しい生活
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12.地下迷宮の成果と図書館

十五階層でリズルとも別れて地上へ戻ると、予定より少し遅い時間に着いた様で外は暗かった。迷宮の管理室に戻った事を報告する。


「怪我はないか?」

「はい」

「拾った物はどうしたら良いですか?」

「昼間なら鑑定や換金担当もいるんだけど、もう時間が時間だからな。明日ギルドに持ってってくれ」

決まった時間帯にはなるが、迷宮での獲得物も管理室で見て余程高額でなければ報酬手続きまでやってくれるそうだ。


「今日はもう遅いし明日にしようか」

「飯食って帰るか」

今から帰宅して食事では大分遅くなってしまうし良いと思う。食事の前にルスタを引き取りに行くとやっと来たのかと言いたげに頭を鼻先で突かれた。

「予定より遅れちゃって。俺達も夕飯食べて帰るからまた少し待ってもらわないとだけど」

そう伝えると仕方ないと言う風に鼻を鳴らされた。とは言えそれで怒ったりはしないのでよくできた馬だと思う。


夕飯は正門からそう遠くない場所にあった賑やかな食堂で、お店お勧めの料理を食べた。肉を丸めた物を柑橘のソースで煮込んだ料理と、いろんな野菜を四角く切ってトマトで煮込んだほぼ水分の無いスープ。付け合わせのパンにのせて食べるとおいしかった。お店の人がついでにと野菜を揚げて塩を振った物を付けてくれた。



翌朝。行く前に昨日迷宮で拾った物を種類別に分けてまとめる。袋に入る物は袋に詰め、全て鞄に突っ込んだ。バラバラにしてあるよりは確認しやすいだろうという配慮である。


ギルドに足を運ぶと、開いたばかりの為かまだ人はそう多くない。

「おはようございます」

「おはようございます。皆さん怪我はありませんか?」

「大丈夫〜」

ロシェさんは今日は勤務日らしく朝から受付対応をしている。自分達も依頼受付に一旦並ぼうとしたが。

「あら、昨日遅くまで潜ってらしたでしょうに。お休みしないんですか?」

「えっと……」

そう言われて少し困っていると、依頼を受ける代わりに中央区の図書館を訪ねる事を提案された。大きな図書館があるんだとそういえば聞いていたが、中々個別行動を取らなくて行ってなかった。

「アキくん出てこなくなっちゃう〜」

シュウ兄はそんな事を言うけど流石に入り浸りはしない。と思う。多分。

「たまには良いかもね。ところで昨日拾って来た物はどうしたら?」

「はい、鑑定部へ回しましょう。鞄ごとお預かりします」

ロシェさんに昨日拾った諸々を入れた鞄を手渡す。鑑定には昼頃まで時間を貰いたいという。色々調べたい事はあるし鑑定を待つ間に行く場所としても近いし良い機会かも。ソウ兄も興味あるみたいなので皆でそのまま図書館へ足を運んだ。



図書館や国の機関がある区画。建物はどれも頑丈そうな造りをしている。ギルドのある区画とは雰囲気も少し違う。建物の入り口には入る人間を逐一確認しているらしい人が二人ずつ立っている。

無論図書館にも立っていて、何か証明書を提示してくれとの指示だったので討伐者の資格証を渡した。問題はなかった様ですぐに返された。

足を踏み入れると、大きな本棚が何列も並んでいる。入り口にはどんな種類の本がどの辺りにあるか大まかな案内板が立ててあった。

「リツとシュウは読書したくなさそうだけど」

「目が滑んだよ……」

「調べ物したら?リツ兄なら食材とか料理とか……シュウ兄はなんだろう」

「んじゃー魔物の事でも調べよっかな~」

読書や調べ物の為にか机と椅子が何組も広めのスペースに設置されているので使わせてもらう事にした。


通路に面した棚の横にはどういう種類の本が置いてあるか案内板より少し詳しく記載されている。いるんだけど薬草ってどこの分類になるんだろうか。植物なのか薬学なのか。きょろきょろしていると図書館の職員の人に声を掛けられた。

「どんな本をお探しですか?」

「薬草に関する本を……」

「でしたら植物関係の所にありますね。ご案内しましょう」

そう言って該当の本棚まで先導してくれた。図鑑の整列した棚に確かに薬草図鑑がある。職員の人に御礼を言うと、業務の一環なのでと笑顔で返された。


「薬についてなら薬師組合の併設書庫の方が蔵書量がありますよ。閲覧は資格が必要ですけど」

「専門書だからですか?」

「そうです。この図書館は誰でも問題なく目を通せる本で構成されてますからね」

確かに一般人が薬の作り方を知るのは問題ありそう。じゃあ薬学の棚には何があるのかと言うと、薬や薬草の効能に関する本とか、薬草を使用した料理の本があるという。それはそれで面白そう。


「魔法に関しては此処の図書館にあるって聞いてますけど」

「はい。専門の魔法に関する本の閲覧は組合等からの事前申請を頂けたら可能です」

職員の人の話だと、別途鍵の掛けられる別室にまとめてあるとの事。戦闘魔法についてはそこにあるんだろうなと予想。

興味はあるけど、まだギルドから借りた本に全部目を通せていない。そもそも魔法の知識が皆無だから基礎すら何度も読み返さないといけなくて、図書館の蔵書に触れる機会はまだ当分先だろうなと思う。



棚から取り出した本を脇に抱えて机に戻ると、兄達は持ってきた本に真剣に目を通している様だった。シュウ兄は机に突っ伏しているけど。

「シュウ兄何してるの?」

「飽きた~」

一応半分くらい読んだらしい。シュウ兄にしては偉い。借りて本を開くと、魔物に関する簡易の生態等が書かれていた。流石に生息地とか、倒し方みたいなものは載っていない。迷宮の管理室で読んだ本の方が情報量が段違いに多い。

「ソウ兄何読んでるの?」

「世界史と大陸ごとの文化について、だね」

言われるとその辺りは無知に等しい。リズルなら聞いたら喜んで教えてくれそうな分野だけど。

リツ兄は食材に関しての本と調理法についての本を並行して読んでいる。

「すごい読み方してる」

「こう読まねえとどういう料理に使うのかすぐわかんねぇんだよ」

調理法については辞書代わりらしい。リツ兄も読書は好きでないので珍しい姿だなと思う。

自分も持ってきた図鑑に目を通す。薬草についての勉強はセーナの家で受けたきりだ。暇な時間がある時は図書館に通って勉強を続けるのも悪くないかも。



読みふけっていたらそろそろ昼食の時間だと声を掛けられた。本を戻しに行こうとしたら職員の人が片しておきますと預かってくれたので再び御礼を言う。

適当に見かけた食堂へ入ると、昼食時の為か職員の人達で混みあっていた。運良く席は空いていたので昼食時限定で出している料理を注文した。一皿にサラダや焼いた肉、パンが載せられた物だった。洗い物が楽そうだな、なんて思った。



昼食も終えて昼休みも終了しているギルドへ戻ると、ロシェさんが待ち構えていたのか自分達を見つけ手を振ってくれた。

「あ、終わりましたか?」

「中に宝石がある様なので確認したくて。それが鑑定終了したら全て終わりです。宝石も手放すのでしたらこれから鑑定して一緒に換金致しますよ」

ロシェさんによると、あの隠し部屋で見つかった綺麗な石は全て宝石なのではと言う。それはまたすごい事だ。宝石は鑑定前に一旦取得者の確認が必要らしいので待っていたとの事。

「手放してえな」

「特に持ち込みの当ても無いしどうぞ」

即答する兄達を横目に一度返された袋の中の宝石を見る。持っていたら危険だろうか。


「アキ、どした?」

「……一個持っててもいい? 気をつけるから」

気になっていた宝石を一個手に取った。あまり大きくは無いけど、この一個だけがリズルの眼と同じ色をしている。こっちに来てからずっと世話になっているし、神なので何か御礼代わりにお供え位しても良いのではと思っていた。これで装飾品でも作って貰いたい。

「まあいんじゃね?」

「一個だけね」

勿論何個も持つつもりは無いし、それ以外は自分も換金して貰っていいと思う。頷きつつ再びロシェさんに袋を渡した。


「では宝石も鑑定しますね。その間にそれ以外の素材の説明をしてもいいですか?」

今回拾ってきた成果の確認をお願いされた。いつも通してもらう部屋に入って、それぞれの単価や使用目的等を教えてもらう。自分達では全く使途不明の虫の翅とか脚もちゃんと利用できる素材の1つらしい。

「迷宮の魔物について知りたい場合は弊ギルドの図書室にも本がありますからね」

迷宮の管理室に置いてあった本と同じ物がギルドにもあるとの事。思い返すとあの本には残す素材についての記載もされていた気がする。次に潜る機会があれば、もっときちんと情報を得ないといけないな。

ちょっと続きます。

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