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彷徨人達の異世界生活記  作者: 香鈴
第2章:街での新しい生活
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3.初依頼Ⅱ


倒した猪をどうしたものかと立ち往生しているとさっきの馬車が何故か戻って来た。



「君達!無事か?!」

「はい」

二人は倒れた猪を見て安堵の溜息を漏らしている。

「まさかスクローファ系の魔物が出てくるなんて思わなくて……押し付ける様な真似をしてすまなかった」

「いえ、とんでもないです」

不意に出会う可能性のある森の中ならまだしも、人が行き来する為の街道に魔物が現れるとは普通思わないだろう。自分もまさか魔物が馬車追いかけてるなんて想像していなかった。

「荷物は大丈夫ですか?」

「ああ、問題無いよ。ありがとう」

荷台の後ろで良ければ街まで乗せて行ってくれるというので、お言葉に甘える事にした。魔物は持ち帰った方が良いだろうと収納袋へ仕舞う。余っていた水も撒いておいた。

自分はルスタに乗ったまま馬車の後ろをついて行く。


「予定外の事ばかりやってて怒られないかな」

「俺ら初日から問題児〜」

シュウ兄は笑っているけど、確かに先の採取の上に予定外の討伐までしてしまったので何か罰則とかあるのかもしれない。

「それなら私達が報告に同行しよう」

「第三者からの説明も入れば組合も納得して頂けるかと」

「良いんですか?」

「寧ろ此方が組合への同行の許可を貰いたい所だ」

「御礼には足りませんが是非」

「では、よろしくお願いします」

馬車はやはり歩く速度よりも速く、途中魔物を相手にしたにも関わらず予定していたよりも早く街に到着した。



到着早々、隣町の商会に役員として勤めているというチェンダさんと御者のカーチさんは早速報告へ行こうとしてくれたが、先に取引先への商品の納品を勧め、自分達はそれに同行する形を取った。

道中運んでいる荷物が食料品や調味料類と聞いたので、あまり時間を置いても商品に良くないだろうと思っての事だ。


街の門をくぐる前にルスタに声をかけ降ろしてもらう。ルスタはもう乗らないのか?という雰囲気だったけど、しばらくは毎日乗る予定だからよろしくと伝えると了解してくれた。街中を進む前に馬車に乗せてもらうと、ルスタは何も言わずともそのまま後ろからついてきてくれる。馬車は門から南区と中央区をそのまま抜けて、西区の食料品店で止まった。

「荷降ろし手伝いますよ。このお店に全部渡すんですか?」

「いえ、あと北区の食料品店にも卸しますよ」

「へぇ。どこの店だろうな」

借家も北区に位置しているから、お店の事は知っておきたい。リツ兄は料理をするから興味あるみたいだし、自分も少し気になる。


到着した店は、中央区から北区へと入ってすぐの場所にあった。さっきは入り口で待機していたけど、折角滞在地の近くなので店内へもお邪魔させて貰った。

「わあ…」

綺麗に陳列された商品棚には瓶詰めの調味料が、魔道具で冷やされたガラス張りのケースにはチーズや野菜の加工品らしき物が並んでいる。

「おう、待ってたよ」

「では此方を。あといくつかソースと加工品を買って行きますね」

「ああ。ところで新しく護衛雇ったんかい?」

店主さんは自分達の事を言っている様だ。

「いえ、道中魔物に追われているのを助けて頂いたんです。予定外の討伐ですからこれからギルドへ同行するんですよ」

「俺達ただのお客だから〜」

「そうかい。気になるモンあったらいくらでも説明するからな」

「ありがとうございます。でもまた後でちゃんと買い物しますよ、借家からも遠くないし……」

「ん?もしかして昨日越して来たのはアンタらか」

昨日借家と街中を往復してあれこれやっていたからなんとなく知っていたらしい。借家は討伐者が時々借りるけど店はあまり利用してもらえないと店主さんはちょっと嘆いていた。やっぱり討伐者は外に出る事が多いから自炊をそんなにしないんだろうと思う。

「しばらく厄介になります」

「ウチを利用する予定って事は料理するんだな」

「そっすね。でも知らないモンばっかだからまた寄るかな」

「よし、閉店まで待ってるからな」

いつの間にか確約になってしまった。


商品棚を見ている内に納品と手続きが終わった様で、また馬車に乗せてもらい、今度はギルドへと向かう。

受付に行こうかと思っていたらウィドさんが掲示板の所にいたので挨拶をする。何故か物珍しそうにこっちに来てくれた。

「ソウ達依頼終わったのか? それにその人達は」

「実は……」

ウィドさんへ簡単に説明する。チェンダさんとカーチさんは魔物に遭遇した経緯を話してくれた。ウィドさんは魔物の事をもう少し詳しく聞きたいと、自分達も合わせて応接室へ通してくれた。

「ネグスクローファか。どの辺で遭遇しましたか?」

テーブルへ広げられたのは多分この街から隣町までの地図。カーチさんがこの辺です、と指を指す。森に比較的隣接している道沿いだ。

「ふーむ、それなら改めてギルドで調査依頼を立てて見に行く必要があるな……」

「調査ですか」

「まあ調査と言いつつ中身はただの討伐依頼なんだが……何せどういう魔物が潜んでいるか分からんからな」

だから調査という名目だ、とウィロスさんは苦笑する。対象がはっきりしないためにそこそこ実力がある討伐者で請け負うものらしい。

「今からでもギルドで依頼を立てておこう。情報ありがとうございます」

「いえいえ、彼等にも融通して頂けますか?」

「勿論です。お前達はやはり見込んだ通りの実力者だな」

「今回は予定外の事ですから褒められた事じゃ」

「緊急時は仕方ない。怪我人も被害者もいないし最良の結果だろう。特に罰則もないし何なら討伐報酬は別途支払いになる。受付で手続きして解体場に持って行けよ」

「はーい」

チェンダさんとカーチさんは用事も終わったので街を出るそうだ。

「帰りは大丈夫ですか?」

「実は街に討伐者の資格を持つ関係者がいてね、合流して帰るので大丈夫。ご心配なく」

「今日は本当にありがとうございます」

「お気をつけて」

護衛になる人が同行するのなら安心だ。2人は比較的よく此処の街へ出入りするそうなので、機会があったらまた会いましょうと言って別れた。


薬草の採り過ぎも特に咎められなかった。とりあえず依頼された種類の物だけを全部提出するとまたよろしく、とアンジェさんからにこやかに言われてしまった。超過分は追加報酬を貰った。


解体場はギルドの受付や応接室がある場所から少し離れて設置されている。施設間は渡り廊下があり、解体場の扉は開けると重い音がする。開くと少し血の匂いが漂うが、解体が終わる度に掃除と浄化をするらしく綺麗に保たれていた。

「解体か?こっちの台に頼む」

「お願いします」

収納袋から狩った魔物を出す。あの大きさが入るのだから魔法は凄い。

魔物を見て担当者の男性はほお、と感心した声を出していた。ソウ兄がついでにと狩ってた動物も一緒に出してしまったが、折角なので合わせてやってくれるとの事だ。こっちは有り難いけど余分な仕事をさせて申し訳ない。


「討伐者本人は希望部位の持ち帰りが出来るが、何かいるか?」

「こいつ食べれるの?」

「ああ、二頭とも大丈夫だ」

「食べたい〜」

「よし、じゃあお前らには一番美味い部位を取ってやるか」

男性は刃渡りの大きな鉈の様な刃物と、大振りのナイフで手際良く解体を進めていく。離した骨にはほとんど肉がついていない。それだけ解体の腕が良いのだろうなと作業を見つめていた。

「ほらよ」

「ありがとうございます」

魔物は最終的に店に置いてそうな塊肉になった。狩った動物も綺麗な食肉になっている。これに包めと加工された木の皮をくれたのでそれと使っていない布で二重に包んで鞄へ入れる。

「やったー」

「この魔物ってどう料理するんすか?」

「基本は元となる動物と同じだな。猪の魔物なら猪と同じ、馬の魔物なら馬と同じだ」

「ルスタも美味いのかな〜」

お願いだからルスタは食べないで欲しい。

「なあ、さっきの店寄っていいか?」

「いいよ、俺も気になってる」

「俺も〜」

自分も気になる物が色々あった。帰路の途中にあるし別に寄り道しても何も問題はないので満場一致で寄る事にした。

元々の依頼の魔物について全く触れてないのですが、多分鹿系とかです。多分……。

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