余話:講習後の一幕
アヴィちゃん達が色々会話している。
夕方、街の食堂の一角にて。テーブルの上には既に注文し運ばれてきた様々な料理が並んでいる。
「いや頼み過ぎだろ!」
「緊張解けたら、お腹空いたから」
「うーん美味しいニャ」
「美味い」
イルミアとファイの二人はアヴィラとディルのやり取りを横目に既に皿に手を付けている。
彼等4人は迷宮の講習後、取っていた宿へと一旦戻り着替え等を済ませて近場の店へ食事に来ていた。
「緊張したのは分かるけどさ……それにしても無傷で良かったぜ」
「最後の最後でどうなるかと思ったよねー……」
「そうだな。まさか大型の亜人とはな」
イルミアはテーブル中央のローストされた肉を切りながら溜息を吐いた。ファイが皿とソースを取りながら相槌を打つ。
迷宮では地上には存在しない魔物も出現する。スライムや亜人と呼ばれる二足歩行の魔物もそれだ。亜人は特に迷宮に降りる為の資格を取らなければ出会う機会のない魔物とも言える。
「ウィドさんも慌ててたし、想定外だったから仕方ない」
アヴィラは一人頷きながら、揚げられた鶏の肉を頬張った。
「小型ならちゃんと戦えてたかしら」
「どうだろうな。知識あっても実際戦うと勝手が違うもんなあ」
迷宮に出現する魔物については組合や図書館、迷宮の入り口に隣接する管理室で事前に確認が出来る。対峙した経験が無くても対応が出来る様に知識をつける事は迷宮探索に重点を置く者には常識だ。
「アキ達、また会いたい」
「……アヴィ、そんなにアキが気に入ったのかしら?」
イルミアはアヴィラの発言に少し頰を緩ませながら問う。女子同士そういう話を出来るのかもという期待を含めての様だった。
「魔物触らせて貰いたい」
「うーんやっぱそっちかニャー……」
だが期待外れの、ある意味予想通りの返答にガッカリする。アヴィラはイルミアのそんな様子を気にも留めず、次に会えるであろう魔物に思いを馳せながら撫でる手振りをしていた。
「携帯食、色々試して美味しいの持って行ったけど料理には敵わない」
空いた皿を片付け、店員へ渡しながらアヴィラはポツリと呟く。
「収納魔法の鞄があっても食料はあまり大量に持ち込みたくないのが正直な所だ」
収納魔法が掛けられている鞄等の入れ物は通常の状態よりも遥かに収納容量が大きく便利ではあるものの、やはりある程度限界が設けられている為長期の旅程や迷宮探索となると荷物は取捨選択が必要になる。
「焼いた肉美味かったなあ」
「安定して迷宮で食料確保出来たら良さそうなのにねえ」
「潜る前に食料が手に入る階層を下調べしないといけない」
四人はそんな雑談を交わしつつも料理を食べ進めていく。
「アキ達どうするんだろ」
「街に留まるかもって言ってたし、そのうち機会はあるんじゃないか」
「だよな。俺らの町にも一回来て欲しいよな」
「この辺りの出身じゃない様だしな。少し遠いけど一度観光程度に足を運んで欲しいとは思う」
アヴィとディルの住む町はこの街の隣、イルミアとファイの住む町はそのまた隣だ。農業と畜産で成り立っている町と、鍛冶と細工で成り立っている町である。
「美味しい店紹介しなきゃ」
「余念なさすぎニャ」
「色々不思議な所はあるけど、私あの四人が同期なのは良いと思うわ」
「私も思う」
討伐者は資格を取っている人間が多くはないが決して少なくもない資格のひとつである。それでも毎日資格試験を受け付けている為か全くの同日に資格を有するのは案外珍しい。
「機会があれば組んで討伐する事もあるだろう」
「それも楽しみだな」
彼等との再会の日を楽しみに四人は宿の帰路についた。
四人住んでる町もピックアップしたいです。まあアキくん達がいる街の近隣だし。




