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彷徨人達の異世界生活記  作者: 香鈴
第1章:迷い込んだ『異世界』にて
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14.討伐者組合Ⅳ

「戦闘、魔法……ですか?」


名前から察するを戦闘に特化させた魔法の総称なんだろうとけど。

魔力や魔法の使い方はリズルやセーナに一応手ほどきして貰ってはいるし一応使った経験はあると言える。ただこっちに来てから本当に数回だけの事なので即やりますなんて返答はちょっと。

「珍しく魔法に高い適性があるからな。それに、戦闘になった時即座に弓を持つのは難しいだろう」

「そうですね……丁度考えていました」

しかし経験のある武器ならともかく、全くの未経験から少し勝手を覚えた程度なので使いたいからと気軽に使える物でもなさそうなのだが。


「的に、そうだな……例えば火の玉とかを撃ち込めるか?」

「うーん……」

個人的な所感では魔法は想像した物をうまくその場に発現出来るかどうかによる所がある、気がする。それでも曖昧なところは自分の感知出来ない何かで補われているみたいだ。


火の玉というなら、手に乗るくらいの大きさであれば出せるのかも。と、手を出して火の玉の形を想像しつつ掌へ向けて魔力を流す様念じると、着火する様な音と共に空中に火が点った。

「わあ」

「アキくんすげーな」

火は想像の通り手に乗せられる位の大きさにとどまって、空中に浮いている。至近距離に手があるのに不思議と熱くはない。

「それを的に当てられるか?」

「やってみます」

先程ソウ兄が矢を当てていた所を見ていたので、そういう風に飛んでいけば良いなと火の玉を指で押す様に突くと真っ直ぐに飛んで的を燃やしていた。

「燃えたんですけど……」

「そりゃそうだ」

木製だからな、とウィドさんは笑っていた。ともあれ自分はこれで良いらしいので、一旦実技に関しては終了との事。そのまま続けてたら的全焼だから仕方ない。

まだ少し手続きがいると言ってウィドさんは自分達の所を離れ、先に来ていた四人の所に行って何か話をして屋内へ行ってしまった。四人も話が終わったらこっちに挨拶と簡単な自己紹介をしてすぐギルドを出て行った。



それからしばらく待っていると書類片手にウィドさんが戻って来る。

「明日、迷宮で講習を行うからまた来てくれるか」

「講習ですか?」

「ああ。実際戦闘になった時の動きなんかを確認したい。後一晩野宿もするからそのつもりで」

そう言われても自分達が持っているのはナイフ位でろくな武器を持っていない。ウィドさんもそれに気がついていたらしい。持ってきていた書類は武器を取り扱う店への紹介状と地図だった。

「あ。ルスタどうしよう」

「そうだねえ」

「ん?お前達連れがいるのか?」

そう言えばルスタの事を伝えておくのをすっかり忘れていたので、馬の種類とか連れている経緯などを教えると先に言えと怒られた。

「しかし魔物がそうやって付き従っているなら、アキは魔物使いとしても適正があるんだろう」

「よく分からないですけどルスタは大人しい馬なんじゃないですか?」

「比較的穏やかでも魔物だ。攻撃性も知能も高いぞ。だから魔物がお前の指示を聞いて的確に動いているのはお前が魔物使いだと言う証だよ」

「そうなんですかね……」

思い返せばルスタは自分の言った事を正しく認識して動いていた。かなり頭が良いのだから従うべき人間も見極めているという事なのだろうか。なら捕まえたのは自分じゃないから益々不思議である。

シュウ兄にその呟きを聞かれたがアキくんが乗るんだから当たり前じゃんと笑われた。当たり前かなあ。



ルスタは預けている所に相談すると預かる日数が伸びても問題ないとの事で、ルスタには要件を伝えて薬草をあげた。了解したらしく鳴いてくれた。

それから紹介状を貰った武器の店へと足を運ぶ。店の中はいくつか武器が飾られていて、奥には作業場がある。カウンターにいる中年男性に、武器について相談すると作業場の方へ引っ込んで候補らしき武器を持って来てくれた。

「兄ちゃんの言う弓は近年扱われ始めた形でなあ。改良進んでるからギルドの訓練用とは感触が違うぞ」

「んー確かに。軽いし、扱いやすそう」

ギルドで見た物よりも少々小型化されている。基本性能は同じようだ。他にも矢が無くなった時に魔力を撃ち出せる魔道具として代替も出来る物があった。矢を射るよりは精度や距離は落ちるそうだけど。その辺は現在研究、精錬中らしい。

矢にも種類があって、貫通性を重視していたり、魔法で毒を仕込んだ物だったりと色々考えられている。


「あとは短剣と、格闘用の武器か」

短剣は基本的にシンプルな作りの物ばかりだった。リツ兄は握ってしっくりくる物を選んでいる。持っているサバイバルナイフが本当は一番良いみたいだけど、一応元の世界の物なので人の目がある所で振り回すのは躊躇われるらしい。

格闘武器は手袋に金属板を着けた物やナックルが主だった。軽いが硬い金属らしく、腕を振っても重みがそんなに変わらない様だ。

「靴には鉄板仕込んでんだけど手ってあまり無いな〜」

「仕込んでんだ……」

今その事実を初めて知った。


「魔法を使う為の杖ってありますか?」

「なくはないが……」

そう言って見せてくれたのは自分の身長程の杖だ。細やかな装飾が施され、先端には装飾の他に綺麗な石が取り付けられている。

「街では使う人間が少なくてうちじゃあまり取り扱いがなくてなー」

「そうなんですね」

リズルが魔法を使う為の杖があると言っていたから見たかったのだが、持つのをためらう位綺麗な作りだと思う。あとこれをついては歩けない。流石に。

「兄ちゃんは魔法使いか?」

「いえ、そういう訳じゃ」

「そうか。持ってる杖に魔法石が使われているみたいだからそうなのかと」

「えっ」

持っている杖を見る。こっちの世界の素材に変質したであろう杖にはまだ不明点が多いけど、そんな物になっていたとは。

「しかしその形状で魔法用の杖も兼ねてるとは珍しいな」

「そうでしたか……じゃあこのまま使っていきます」

「おう。それがいいな。でも壊れた時には言ってくれ。そういう杖が欲しくなったら伝手もあるし」

そんな会話をしている間に兄達は選び終わったらしく、支払いをして武器の調達を終えた。


ついで、と言ってはなんだけど隣に討伐者御用達の服屋があったので色々見て誂えたりもした。自分が選んだのは少しゆったりしたフード付きの上着。全体像はマントに近い気がする。

今着ている服は元いた所で配布された物なので皆殆ど同じ格好をしている。側から見てると同じ場所に居たんだろうと分かるだろうしそもそも揃いなのはおかしいと思う。なのでいい加減こっちの世界の服に着替えるべきだろう。

後今居る国は着ていた上着では少々暑いから、という理由もある。寒いと感じる時が無いから随分温暖な国だ。

防具関連も少し取り扱いしていたので兄達はその辺の最低限を固めていた。これで完璧とは言えないが明日迷宮に行くには問題もないだろう。

「あっ、鞍ってどこで買えるんだろ……」

ここでルスタに着けたいなと思っていた馬具の事を思い出した。そういうのは何処で売ってるんだろう。明日ウィドさんに聞いてみよう。あの人なら色々と知っている気がする。



必要な物も一応揃えられたし今日はこの辺で、と宿に戻る前に食堂へ立ち寄って夕飯を済ませる。今日は塊肉と野菜を煮込んだシチューとパン。あとは生野菜のサラダだ。塊肉は切られているがそれでも大きい。一目で食べ切れない気がしたので切り分けてシュウ兄にあげた。

「うまいな〜これ」

「資格証、貰えるかな」

「明日講習を受けないといけねぇなら最低のラインは越えたんだろ……多分」

「だといいね」

講習は迷宮で、と言っていた。迷宮がどんな場所か想像出来ないが、実地での立ち回りを見る試験も兼ねていると思われる。面倒ごとさえ起きなければ良いかと、明日に備え早目に就寝した。

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