6 二人の姉妹と幼馴染み
小学生の時ってどんな感じなんでしょうか。言葉遣いとか態度とか。
ぜっんぜん分からない・・・
〈side光輝〉
その日も特に何も変わりなく朝起きて余裕をもって家を出た。
ぼくは最近小学校生活に飽きてきていた。こんな言い方をすると鬱陶しいと思われるかもしれないけどその意味のまま飽きてきていた。
その日もいつもと変わらない覚えきった道を行こうと思ったが、余裕もあったし何よりも何か新しい発見でも知り合いでもできればいいなと思って今までに通ったことのない細い道を行き遠回りをして登校することにした。
初めての道は行っても行っても特に変わったものはなく、学校が見えてきて今更に当然かと思った。
こういう時ばかりは少し道を変えてみるだけで違ったものに出会えそうな田舎という響きに魅力を感じてしまう。
遠回りをしたせいで余裕のあった登校時間もギリギリのものになっていた。
何時もこんな時間に正門前を気にしてなかったから気付かなかったけどこのぐらいの時間に登校してくる人もいることに気付けたのは新しい気付きなのかな。
「あんなやついたか」
「いや僕に聞かないでくれ知らないよ」
「だよな」
通り過ぎる瞬間にそんな話し声が聞こえてきた。
話題の人物がだれであるかは前後を聞かなくてもわかった。
門をくぐってすぐのところで親子であろう二人とうちの学校の校長が学校の説明をしているらしかったから。
たぶん年はおんなじくらいだと思う。
「ええ~今日は転校生を紹介しま~す。では入ってきて~」
先生のそんな言葉にクラスのみんなはおどろいていたけど、朝にそれらしい子を見かけたからみんなほどではなかった。
ドアを開けて入ってきたのはやっぱりあの時の子で同じクラスだったのかとちょっとだけ心が弾んだ。
「木村夏生です。父さんの仕事の事情出来ました。よろしくお願いします」
しーんと静まる教室の中。その子だけに向けられたみんなの視線。そして一瞬の間をおいてワッと盛り上がった。
「はーい。皆仲良くできそうでよかったわ。じゃあ君の席はあそこね」
そうしていったん出ていく先生。いつもは次の授業がちかいからそんなことはしないのに。
木村さんの席になったのはちょうど僕の席の後ろで窓側。転校してきたばかりならぴったりの席かもしれない。
そのまま着席する木村さんのほうを向いて話しかけてみよう。
「よろしく木村さん。ぼくは町田光輝」
「よろしくお願いします、木村夏生です。」
「木村さん硬すぎだって。ぼくのことは光輝ってよんでよ」
「あ、じゃあ自分は夏生でいいです」
一時間目が終わると木村、じゃなくて夏生さんの周りにクラスのみんなが集まってきた。
主に女子が集まってきたからもうこうなってはなかなか僕に出番は回ってこないからいったん離れることにした。
次の休み時間になると女子が教室から出ていきだした。
「光輝君、次なんかあるの」
「次は体育なのよ木村さん。」
ぼくが言おうとしたのを横からとったのが幼馴染みの雫。
「ああ、そっか。」
そういって体操服をもってきて服を脱ぎだす夏生さん。
「ちょっと!?木村さん何してるのよ!」
全力で服の裾をつかみながらあわてて夏生さんに訴える。
あ、雫にもう片方の手で目隠しされています。凄い速度で隠されたから見えませんでした。
「あ、今日は見学にするつもりなんですけど体操服には着替えなさいって言われたから。」
「いやソーじゃなくて私達は隣のクラスで着替えるの」
「え?」
「え?」
不思議な顔をする二人。からの「どーゆこと」って顔でこっちを見てくる雫と夏生さん。
なかなかのシンクロ率だとは思うんだけどさ、とりあえずさ。
「とりあえず隣行ってよ。着替えられないじゃん」
「あ、そうだよね。ってそーいえばそうだよ」
我に返ってちょっと焦る雫とよくわかっていない夏生さん。
雫が夏生さんの腕を引っ張って二人とも出ていった。
「「「「「っぶはぁぁ」」」」」
緊張状態がとけるってこういうことをいうのかも。
夏生さんって天然なのかな。