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〈side光輝〉
「見た感じ何となく分かるけど。一応聞くと?」
「そのとおりよ」
俺は夏生と雫を幼馴染みにもつ町田光輝だ。
そして目の前のこの女子こそ幼馴染みの雫で、いつも明るいのが取りえなのだが。
「だよな。あいつ最早凄いよな。」
「こちらにしてみたら、たまったものではないんだって。」
「何時解けるのやらこの呪い」
頑張って笑っているが、やっぱり悲しそうに見える。夏生はどうやら雫は俺を好きなのだと思い込んでいるらしく、どれだけ押してみても未だにのれんに腕押し状態は改善されない。
ああ、そうそう俺たち3人は小学校から今の高1までほとんど同じクラスで違うクラスになってもとても近くて現に今年も3人とも同じクラス、腐れ縁だ。
それで雫はえっと?
「何時からだったっけ?」
「何がよ」
「夏生を好きなの」
「小4の夏。」
そうそう小4だ。なんかあいつが転校してきた小3のころは全然だったらしいなだが小4の時になんかあったらしい。
「あれは小4の夏の日で、今日より少し暑いくらいの日で、そして」
「おいまて、お前はそれを話し出すと1時間立つだろ。」
「もッといけるってグッ」
勢いよく親指を立ててきた。さっきの悲しさ全開はどこに行ったのだろうか。
「お前ホント、夏生の話の時だけトーン違うよな」
「え。ほんとに。ダメだ気をつけないと」
「いや別に夏生以外はほとんどわかってるしいいんじゃないか。」
「ぽろっと出ちゃうかもでしょ、夏生の前でさ」
「あいつの前でヘマをしたお前を俺は一度も見たことがないけど」
「『もしも』って時の話だから、ヘマしたら泣きしんじゃうよ」
まあ確かに。でももしかしたら、
「ヘマしたほうが気付いてくれるかもよ」
ソレはすでにヘマではないかも。
「それもう作戦になっちゃてるって」
「うん俺も言ってから思ったわ。」
「とにかく誤解と勘違いが多いからなあいつには。」
「そーなんだよなあ」
「・・・・・とりあえず告白の練習でもしとく?」
「それはさっきしたんだ」
へー頑張ってんだな雫も。
「そーなのか。何時。そんな時間なかったろ。」
「な、」
な?
「夏生の前で・・・」
ぶふっっっ
お茶を飲もうとしたら爆弾が来た。
「どういう風にだよそれ。」
「・・・・・て感じの流れでさ、告白の予行練習って・・・」
な、なるほど流石俺の幼馴染みの夏生だ・・・鈍感の最先端を行くな
「それでここに今いるってことか」
「うん、そう」
「改めて尊敬するぜ夏生ちゃん。」
「『夏生ちゃん』てよんだら怒るよ夏生。」
そうなのだ、じつは俺の幼馴染みはめっちゃ女の子なのだ。見た目が。
なんかこう、THE女子って感じではないんだけど、クールが似合うような女性って感じなのだ。
「それに夏生は『夏生ちゃん』よりも『夏生さん!」てかんじじゃない。」
「中学生の時は『夏生ちゃん』だったけど成長したよな、女性に」
「とりあえず体育と水泳の時は守ってよ絶対。」
で、そこまで女の子らしいと着替えで困るわけで。こんな話になる。
「でもあいつ、むっさ強いからだいじょうぶだって。」
「そういうことじゃないでしょ。ねえ、わかるよね、見られたくないの夏生の着替えを。」
急に雰囲気を変える雫。後ろから阿修羅像がみえてきそうだ、こうなると雫は機嫌を直してくれない
「わ、わかったって。わるかった。絶対守るから。身体能力では敵わないけど、でも絶対」
そしてその解決策はこれだけ。雫の後ろの空気に向かって
「あ!夏生!どうしたんだ」
「へ!え!なな、夏生!?」
雫は慌てて後ろを振り返るがそこには何もない。
「誰もいないじゃん、やめてよ心臓口から飛び出ちゃうよ」
「まあまあ、悪かった。とりあえず夏生の着替えは任せろよ」
雫はこちらを睨んでいたがすぐに溜息をついて、
「絶対だから、これは」
ハイハイと答えながら身支度を整えだす俺に「ホントに分かってるの。」と聞いてくるが聞き流す。
諦めて支度を整える雫を待ってから教室を出た。
ブックマークありがとうございます!
つたない文書ですが、これからもよろしくお願いします。
嬉しすぎて投稿早めてしまいました。