1 告白
サブタイトルはあったりなかったりします
俺、木村夏生には二人の幼馴染みがいる。
町田光輝、わが校で知らないひとはいないであろうイケメン。皆とは言わないまでも、もちろん女子にはとても人気だ。運動神経〇、成績〇、顔◎、さらに優しく接しやすいとなればもうこいつがもてないならだれがもてるねん。という感じ。
しかしさっきも言った通り男女問わず優しすぎる性格で男子にも恨まれたりはしていない。むしろ尊敬?のような目で見られているらしく幼馴染みの自分としては悪い気はしない、というか誇らしい。 はいそこ!お前は関係ないじゃんとか言わない。まあ関係ないのは事実だけどさそういうことじゃないんだよ。
まあ要するに我が幼馴染みの一人、町田光輝は凄いと分かればいいわけで。
で、もう一人の幼馴染は滝本雫。こいつもわが校が誇るイケメンさの持ち主。こちらは多分本当に俺と光輝以外は一度は気にしたことがあるのではないかと思う、なんせ光輝みたいな朴念仁男以外みんな馬鹿だからだ。俺が言うのも何なんだけどね。
ああ、そう。忘れてたけども雫もいわゆる文武両道というやつですね、はい。
ところでなぜ冒頭からこんな話をしているかというと。
雫が光輝に長年恋をしていて、この度僕が後押しすることになったから。
「で?話って?」
まあ今から手伝ってとお願いされるところ。
しかしなぜここなのだ!!
「あの、その・・・だからわざわざこんな場所に呼んでいるのにわかんないわけ?」
そうなぜかここは校舎裏なのである。授業が終わると雫が近づいてきて小声で話があるからと言われたからついに頼まれるのか。とついてきてみれば、どうせカフェとかなあと思っていたのとは違い校舎裏に来たのでちょっと不思議ではある。
「まあさすがに分かるわ、すまんすまん」
まあ確かに恥ずかしいよな。俺が鋭くてよかったな!
まあ割と周知の事実だと思うし。俺がみんなに教えただけだけどね。そういえばクラスメイトに教えたとき”?”を浮かべてから“ああ、確かにこれは大変そうだわ”とか言ってたか。なんだったんだろう。もしや俺が言う前には既にみんな知っていたとか?え、やべえ恥ずかしくなってきたな・・・
「そうだよねじゃあ今からいうからね?」
「ああ、大丈夫。分かった引き受けるわ。作戦はどうする?」
やはり既に作戦は自分自身で考えているんだろうか。それとも一緒に考えるのか。
「え、ホントに!ありがと・・・ん?」
「ん?ああ考えてないのかあ、まあ一緒に考えよう。幼馴染みの俺としてもやっぱり成功してほしいし。」
「(もしかしてまた?)・・・一応聞くと・・・成功って何を?」
「え?光輝に告白でしょ?」
え、ちがうの?
「告白だよ・・・」
「だよね??」
「そうなんだけどね?違うんだよ。」
そうなんだけど違う???なんだそれは?
すると少しあきれる顔をしていた雫だが、いつもの調子に戻っていく。
少し引っかかるけどまあ良いでしょ。
「まあいいや。それでどうする?割とすぐにうまくいくと思うけど」
「え?そうなの?」
「いや、だって雫が告白するんでしょ?」
「私だから?」
この恋する乙女は自分を鏡で見たことないの?
まあ自信満々でもちょっと引いちゃうかもしれないけど。
「雫は可愛いんだから、いくら鈍感で朴念仁な光輝でも実際に告白されて気付いたらオーケーしてくれるんじゃないの?」
急に黙りだす雫。何かいい案でも思いついたんだろうか。
そして唐突にこちらを向いて。
「私と付き合ってください、夏生!」
・・・・・・お、おう凄いなこれは。これで落ちない男なんていない気が。
「よし!そうそう。本番で間違えて夏生っていうなよ。よし即時実行が一番いいんだよ。こういうのは」
雫の手を取りまだ残っているであろう光輝の教室へ。光輝は運動神経抜群なのに読書が大好きなのである。そして放課後静かな教室で本を読んでいることが多い。だから多分まだいるでしょ。てか居て。
「ちょっとやめよーよ。だめ、ホントにダメ。」
「大丈夫だって。俺も教室の外で見守っとく、あ。やっぱりだめか。他人の告白聞くのはだめだな。」
「そういうことじゃないのあの・・・だから・・・」
そうこうしてるうちに教室はもう目の前だし。お、光輝居るじゃん。空気読める幼馴染みっていいね。鈍感とか朴念仁とか言ってごめん。
「よし、居るみたいだから」
ガラガラガラ~
扉の音で光輝はこちらを向いた。するとすかさず、目を輝かせ雫を見る。しかし雫が首を横に振るというジェスチャーの出し合い。これは!ほぼ確定なのでは!
「雫、この感じ絶対いけるよ!頑張って!光輝俺帰るわ。じゃーなー」
これはいけたでしょ!まあ俺は何にもしてないけど。さてさて今から明日の学校が楽しみだ!