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原初ノ力  作者: カイリ
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魔術。それは何年前、いや一体いつから使えるようになっていたのか誰も知らない。僕たちが、地上を動き回るようになった時代からあると言う人々や、偉大な魔道士が現れたという人もいたが、今となっては誰も気にとめなくなった。そんなこの世界では、一部の人に、『特異』と魔導院が指定している特殊な魔法を使える人がいた・・・


― 魔導院指定保護区 時の寺院 ―

 「いいか、今回の指示は以下の通りだ。先日発生した大地震の混乱により、この付近で不可解な事件が多発している。失踪、住民の暴走等だ。それは、この寺院野ほぼ真下が震源であることも関連しているのかもしれない。そう云う訳で我々魔導院は一連の事件の原因の解明、寺院の調査をする事になった。派遣チームは二つに分かれて調査を行ってもらう。アルファチームは拾弐課の者に寺院の探索、ベータチームの拾壱課は寺院周辺の調査だ。それに加えてお前達、魔導院第拾参課の者達は万一に備えここ本部で待機だ。以上で解散とするが、何か質問があるやつはいるか?」

質問も何も僕たちの担当場所を言ってないじゃないか。

「あ、あの、僕たち零課はどうすればいいのでしょうか?この一覧表に何処にも名前が無いのですが。」

申し訳なさそうに聞いた僕に対して隊長ではなく、拾参課の局長アドルフ・ハインケルは鼻で笑いながら答えた。

「お前達のような雑務の零課に、仕事があると思ったのか?まず一体誰にここに呼ばれたんだ?」

それを聞いた拾参課のメンバーや周りの人は、くすくすと僕らを笑った。くそっ、特異の力が使えるからって調子に乗りやがって、そう思って掴みかかろうとした時、

「やめろカイン、奴らと事を起こすと後々面倒だ。今は堪えろ。悔しいのはみな同じだ。」

と、零課の副局長フロイ・ロレンは僕を誰にも気付かないように制止させ耳元で囁いた。彼とは十数年の付き合いで僕が信頼を置く一人だ。そんな光景を遠目で見ていた隊長は、仕方なさそうに口を開いて、

「では零課は、アルファとともに寺院の探索を頼む。」

と、指示をした。拾参課には腹を立てたが、一応仕事をもらえたので、渋々僕らは壱拾参課の冷やかしを聞き流しつつ、アルファと合流する事にした。

 時の寺院とは今から十年前、とある探険家によって発見された古代人の遺跡である。その当初、遺跡の中はほぼ全面黒曜石で作られており、最深部には唯ひたすら円を描くように振れている球体があった。その円の中心には、まるで星空をくり抜いたかのような直方体の物体があった。振り子の周りは大小様々な歯車が取り囲んでいる。当時の古代人の技術を集結させたと見られる。それを学者たちは時計と予測した。時の寺院という名前をつけた。発見後から先日の大地震がある前までは一般公開されていたが、地震後常駐している学者、その数十数名に上る人が忽然と姿を消したということもあり公開を中止していた。失踪してから数日後、常駐研究者の責任者の遺体が遺跡内で発見され、重大事件となり、捜査が本格的なものとなった。その遺体は一枚のメモ書きを握っており、内容は最期のメッセージ、という様なものになっていた―――。魔法の起源について書かれているようであった。この遺跡は実際に時を刻んでいること、寺院はとあるものを観測する場であることが、書き残されていた。しかし、そのとあるものを書き記す前に息絶えたのだろう、その先は書いてなかった。メッセージを回収した魔導院は早急にスタッフを派遣するも、移動中にヘリが突如爆発しスタッフは全滅。事故を偶然目撃した、寺院に最も近い村の村民は、調書を取る前日に謎の失踪。翌週、森の中で首をくくっているのが発見された。一連の事件を世間は古代人の呪いではないのかなどと思い込み、時の寺院に近づく人は誰一人いなくなった。

魔導院は当初、静観の考えだったが、ある要因が彼らを動かした。それは寺院の中から研究員の使ったと思われる魔法の痕跡が探知されたからである。(それを探知できるようになる装置を開発したのは魔導院第五課の研究員である。それにより院は、魔法による犯罪を取り締まる機関『観測する者』を百年前に立ち上げ、機関の努力により、今現在の魔法犯罪の検挙率はほぼ百パーセントとなっている。その事を伍課は今現在に至るまで誇りとなっているというのは余談ではあるが・・・。)


― アルファチーム駐屯地 寺院前 ―

 「はぁ…なんで仕事をしに来て、いちいち茶化されなきゃいけないんだろうな。」

と、僕は不満を出す。そんな僕を見て、ロレンが苦笑いする。

「まあ、エリート集団からしてみれば俺たちが煙たいんだろうな。」

「零って普通に考えればめちゃくちゃエリートなんだけどねぇ」

と、零課唯一の女性隊員ムルミーヌが言う。その言葉に四人しかいない零課は落胆する。

その空気を和ませようと最年少の隊員、ガウェインが一言、

「愚痴は仕事の後にしましょうよ、ね?」

確かに彼の言うとおりだ。今回の仕事はとても楽な仕事じゃない。拾三課の愚痴を言うのが仕事じゃない。みんなもどうやらおんなじことを考えている顔をしている。隊長である僕がしっかりしなくては、隊の全員に影響してしまう。

 そんな会話をしながら移動すること数十分、

僕らはアルファ隊と合流した。まず、僕たちはアルファの隊長と軽く挨拶をした。体調は気前のいい人で、快く僕達を受け入れた。その後、アルファの人たちと遺跡調査の身支度をすることにした。

無線の基地局から隊員の一人がもの凄い勢いで駆け寄ってきた。彼は息を整えながらこう言った。

「い、今、通信で入ったんだ。ベータとの、こ、交信が切れたって。」

と。一同が騒然とした。どうしてとの疑問の声や本当に呪いなんじゃないかの不安がる声もする。その雰囲気をさらに悪くするかのようにさらに隊員が口を開く、

「本部の連絡によると、そ、そのベータとの最後の交信は、『謎の生物に襲撃を受けている、増援を頼む』でき、切れたそうだ。本部は至急拾三課に救援に行かせたが、応答があった地点に到着したころには誰一人、謎の生物どちらも確認されなかった。残っていたのは何か焦げた匂いだけだったらしい。」

その話が終わる頃には隊の顔、全てが青ざめていた。謎の生物と聞いたときは唯の獣と勘違いしたんじゃないかと思ったが、『焦げた匂い』これが全員の恐怖心を駆り立てた。魔法で炎を出すことは確かに出来る。しかし、魔力の炎で焼いたものは焦げた匂いではなく、特有のにおいを出す。つまり、焦げた匂いを出すということ本物の炎を出す生物ということ。そのことに一同は恐怖を覚えた。

僕は、この作戦は何かとんでもないことに首を突っ込んでいるのに違いないと感じた。いや誰もがそう思っているのに違いない。帰りたいという言葉も上がっている。しかし、本部は任務遂行を指示した。僕たちアルファ隊は、嫌々ながらも装備を整え遺跡へと足を踏み入れた。


― 時の寺院 上層部 ―

 まず入って驚いたことは、内部の構造だ。筒状に下に伸びていて、真ん中は吹き抜けになっている。そこに暗闇に飲み込まれるように螺旋階段が延々と続いていた。その様子は、貧相な僕の知識で表すなら、浴槽の排水溝に水が渦を巻きながら飲み込まれていくような感じである。しかしそれだけではない。この遺跡に足を踏み入れてから、誰かに呼ばれている気がする。しかも懐かしい感じもする。そんな僕を見たロレンが、

「どうした?回廊に怖気づいたか?らしくない。」

と、心配しているのか馬鹿にしているのか分からない言葉をかけてきたので、

「あぁ。お前の緊張した顔が怖すぎてびくびくしてるんだ。」

と、返してやったら周りから笑い声があがりロレンはうるさいなと頬を赤めて黙り込んでしまった。ロレンとはこんな仲だ。幼馴染って訳ではない。彼とは施設で出会いマザーに拾われて魔導院の零課に配属された。最初は正反対の性格だったから喧嘩は絶えなかったが、そのやり取りを繰り返すうちにそれがコミュニケーションになっていたのだ。今までは本当に雑務しかやっていなかった。というか、何でも屋みたいな仕事だった。魔導院に寄せられるどうでもいい依頼、逃げた豚の捕獲、ぼけて行方不明になった老人の捜索。(って言うか魔法関係ないじゃんって思う。)拾参課に馬鹿にされるのはしょうがないような仕事しかこなしてこなかった。そんな中マザーが持ってきたのが、この遺跡調査。始めてのちゃんとした仕事である。ちなみにマザーとは僕ら零課の管轄をしている人で魔導院のトップにあたる元老院の一人である。みんなはドクターアルラシアと呼んでいるが、僕たちはマザーと呼んでと言われたのでそうしている。零課のみんなも全員施設出身なので本当の親を知らない。それを拾ってくれたのが彼女なので実際、母親のように慕っている。話を戻してこの仕事はそんな意味でこの仕事はちゃんと成功させなければならない。マザーの為にも・・・


―数日前 魔導院零課ブリーフィングルームにて―

 「というわけで、今回が実質あなた達の初めての実戦よ。無理のないように頑張りなさい。話は以上よ。カインは話が有るから残ってそれ以外は解散して構わないわ。」

マザーに呼びだしをされるのは滅多にあるものではない。メンバーは心配そうな顔を向けながら部屋を抜けていった。

「何ですかマザー、お話とは。」

マザーはいつも冷めた顔をしている。それ故に怖い。

「話と言っても数分で終わるわ。そんな怯えるような話じゃないわ。今回の調査任務についてよ。」

怯えるような話じゃないと言われても。やはり怖い。

「今回の任務で、あなたたちは変わるわ。必ず。そして覚悟しておきなさい。これからの運命を。以上よ。」

そういってマザーはテレポーターを使って消えた。一体何が起きるんだろうか。マザーの言うことはいつもよく分からない。まぁ、きっと初の実戦だから気を抜くなということだろう。そういって僕はブリーフィングルームを後にした。


―時の寺院最下層―

「おいおい、冗談じゃないぜ。」

To be continued

           


ネームセンスほしいな。この作品書きながらそう思いました。ありきたりな名前しか思い浮かばないんだもん!!!知らない知らない、名前なんて知らない!

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