零
零話以外は、
精神的に重くなったり、
不安になったり、
恐怖を感じたりする描写が多くなる場合がありますので、
思い込みが強い方や精神面に自信が無い方は、
注意して閲覧するようにしてください。
それは、唐突に。
そして、確実に。
総てを侵してしまうだろう。
ナニが全てを侵食してしまうか。
そんなもの今は解らなくてもイイ事だ。
これは全てに対する---なのだから。
真っ暗な空間に一つの光が灯る。
ふと、誰かが…
この場所へ呼ばれたようだ。
.人間というものは、思い込みによって、
自分を形成し、思い込みによって破壊する。
絶望へ到る橋の大多数は、
追い討ちをかけられている。
という思い込みが加速したものに他ならない。
例として、
悪口を言われてもそれを悪口と知らずに生きていれば、
その事柄に対しての絶望は生まれない。
. あぁ…紹介が遅れたね。私はミスターベッケラー。
ある古びた屋敷で、書物を書いている唯の老いぼれさ。
本来ならこんな【モノ】に呼び寄せられる。
なんて事、有りはしないのだが。
そうなると…
ふむ、私が呼ばれた理由は、
この【モノ】と今、私が居るこの場所に対する説明のためという所か。
ならば、私が出来る限りの説明をするとしよう。
私が今居るこの場所は、
得体の知れない黒い【モノ】が充満している真っ暗な空間だ。
そのモノ自体は、
煙のようなモノだったり、
液体のようなものだったりしているようだ。
この真っ暗な空間の床にも黒いゼリーのようなものが散らばっている。
この黒い空間や物が、何を表しているのか…
私の理解するところではないが、
これから、嫌な事が始まるということは感じられる。
この空間の中で起きる物語に注目するべきなのかもしれない。
…が、正直私は一刻も早く、
この空間から去りたい気持ちでいっぱいなのだよ。
とにかく…ココは。
人間の不安とは何か、
怖さとは何か、
大事なものは何か。
そんなものが展開されて行く場所だと言う気がするよ。
「黒い部屋の中、白い灯りがぼんやりと浮かぶ」
さて、どうやら元の世界に戻れるらしい。
私と君達の触れ合いも此処で終わりのようだ。
これを見ている君達が、この黒い空間に捕らわれない様、
私が祈っておくとしよう。
それでは、また逢う日まで。
「そういって誰かが去っていった」
黒々とした何かは、
獲物を待つようにその空間に佇んでいた。
歪-零-
終。