3.水脈
少年は瓦礫と共に落ちる
「うぉぉわぁあ!」
激しい水しぶきを上げながら水路へ落ちる
幸い生き埋めにはならず横の足場へ這い上がることが出来た
「ぷはッ」
ゼーゼーと息を切らし身を乗り出しながら
「なんなんだよいったい…なんで木のツタが破裂すんだよぉぉ、痛てぇよぉ(泣)」
あまりの出来事に自然と愚痴が溢れる
裾を上げると腕や足に擦り傷が出来ている
ジクジクと痛みが続く
傷口に樹液が張り付き止血されている代わりに痛むのだ
「なんだ?ここ?」
望む形ではないものの目的の場所には来れた
しかし場所が奇妙だ
見上げると例の場所から一階層越えて落ちてきたようだ
城
城の床
地下路
地下水路←今ココ
「上がれるの?これ…」
奇妙なのはそれだけではない
灯りがある、それも松明の灯りだ
廃墟部分はもちろん調べ尽くした、実は地下も見れる場所は見尽くしていた
当然人の気配は一切しなかったし地下はもぬけの殻で無味乾燥、一度見たからこそ浸水した場所は無いのに水が流れ込む場所に惹かれたのだ
少々不安はあるが前に進むしかない
少し進むとすぐに気づく
「手入れされてる?」
この遺跡の石材は黒色だ、超が付くほどの高級建築に使われる鉄橋石を混ぜて作られるレンガや接着剤は周りの空気に触れると結晶を伸ばして自身をより強固にする
しかし10年ほど経つと平らな面がゆがんだり接着面からはみ出してくるので定期的に削る必要がある、何百年も経つこのような地下で原型を留めているのはあり得ないのである
誰も近寄らない上にアンガットなどの盗賊が住んでいないのは前情報で確認済み
だからこそこんな軽装の子供が一人で探索出来るし、廃墟でも堅牢さが保証されているからこそ誰からも注意されない
「誰もいないんだよね?」
少年に様々な予想が立つ
(国が使ってる通路?廃墟を使った秘密基地?)
何者かがこの場所を利用しているのを感じ始め
廃墟探索にしても素人が手を出すには危険すぎる
しかし少年の心には不安を覆いつくす
期待・興奮・好奇心
ここに来て引き返すなんて「ありえない」
少しずつ慎重に歩く、観察しながら水路を進むと小さな穴や壁に掛けられた看板などがあるが
/2///掃/フ-///
//30//レ///
「よめない」
何年経過したかわからないが劣化がひどい
「手入れはしてるけど使ってないのか?」
未知の場所を進み続け
「あっ…あった」
小さな声がこぼれる
落ちてきた場所から4ー5分だろうか
暗く長い水路脇を進んで見つけたそこにあるのは
光が漏れ出す扉
声が聞こえるでもなく物音すらしない
ただ普通の扉がそこにある
なぜだろう心臓の音が大きい
喉が渇く 汗が頬を伝う
一人で見つけた遺跡の扉
覆い隠せない不安がこみ上げるが扉を開く決意を固めるまでの時間は必要なかった




