1.出会いは必然か
カッーーン、カッーーン そこは数百年放置された城の亡骸
賑わいを見せたのは遥か昔
影には苔が繁茂し中庭だっただろう場所に草花が栄える
まさに遺跡、まさに廃墟、まさしく何も無い場所だろう
そんな場所に少年が腰を据えて遺跡の床を暴こうとしている
何もないのは関係ない、そこにナニカアルという自身の勘を信じる
「硬ってぇ…」
余りの硬さに衝撃が伝わった手を庇う
廃墟とは言え元は城だ、【エンガット】屈指の豪商とされた首領が遺す、度を超えた遺産の一つ
「そうやすやすと壊されては困る」と職人の声が聞こえる
(本当に普通の廃墟なのかな)
一抹の不安がよぎりそうになり
一度休憩を取ろうと小高い場所から一望する
(にしても良い場所だ!景色もだけど、なにより、この規模の遺跡!)
平原の小高い丘に広々と構えるのは歴史を紡いだエンガットの駐屯基地
現在の国神はこの地で人々と誓約を交わしたとされている、そんな歴史のある場所にナニモナイなんてアリエナイ
きっとそうだと自身に言い聞かせ深呼吸をする
見渡すと水が流れ込む場所に気付く
出処は塔から絶え間なく滴り続ける小さな水脈だった、貯まる訳でもなく、地面に吸われる訳でもない
何かある…少なくとも空間が存在するのは間違いない
少年の肌が逆立つ
ナニカだったものが何かに
アルはずだという勘が実感に変わり始める
休む暇はない、水を辿っていこう




