Labratory恋憚 ~Spinoff1~
本編は現在、鋭意執筆中です。
悪しからず。
シャクヤク、と呼ばれるその花は中国、モンゴルが原産の多年草である。
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と言われるように、百合と牡丹に比肩する美しさから、端麗さの比喩に使われる花だ。
彼女とのデート用にメジャースポットを調べている時のこと。おすすめの一つに植物園が出てきて、この花の読み方がわからなかった。植物についぞ触れる機会がなく、興味本位で芍薬について調べると、これがなかなか面白い特徴を持っている。夕方になると花弁が閉じる姿から花言葉が「はにかみ」と「恥じらい」だそうな。
ふと、彼女――幸を連想する。彼女が時折見せる恥じらい、それでいて凛とした立ち姿の大和撫子。
ぴったりじゃん
たまには植物園もいいかもしれない、と好奇心が掻き立てられる。すぐに彼女に電話で提案する。
「幸さ、よかったら今度のデートなんだけど、植物園行かないか?」
始めは驚いた様子だったが、彼女も好奇心に掻き立てられたらしく、興味津々のトーンだった。約束を交わし、デート当日まで胸が膨らんできた。彼女が芍薬を気に入るだろうか?
彼女が芍薬と並ぶとき、こっそりとその光景を写真に収めたい、と静かな下心が沸いた。
2025/7/31