其の壱 転生?
前の小説をベースにしつつ心機一転書き直す事にしました。
何処まで続けられるかは不明です。
…………年……月……日。この日、日ノ本を……せしめた……、……眞人方虎…が亡くな…れた。
…身一つで…も止め…事の出…なかっ……乱の世を…めた伝説の英…。
こ…書は…が知…うる彼…の全て…記した…伝記也。
ーー方虎武神伝ーー
はぁ…マジやばい……
昨日も徹夜で勉強するつもりが寝落ちしてコレである。
マジで時間がない。
私は人とぶつからないようにしながら必死に教科書を見ながら駅内を歩いていた。
私の通う学校は進学校ではあるが、毎年東大や京大、海外の名大学へ進学する生徒が多い。
それ故にテストが物凄く難しく、赤点回避が容易ではない。
歴史が大好きで、他にも地理や理科、数式、英語など暗記ものは得意としていたものの、頭が決して良かったわけではなく、平均より少し下くらいをいつも彷徨ってた。
高校受験も親や中学の先生に薦められて、断れきれず、どうせやるなら受かろうと頑張った結果であって、本音を言うと合格できた事で満足してしまっていた。
其の為遊び呆けていたら、入学案内とともに届いていた課題に全く手をつけず入学早々怒られ、部活も入りはしたものの居残りが続き練習もまともに出来ず、まさかの郡市の初戦敗退。
そうして気がつけば留年まっしぐらの危機的状況になっていた。
「むむむむむ」
暗記ものは得意だが、大量の情報を一気に脳に入れなくてはならず、特に焦ってる状況では非常に難しい。
なんとか少しでも多く点を稼いでごまか…じゃなくて赤点を……そう苦悶しながらホームに足を進めていた。
〜まもなく〜貨物が通過致します〜黄色い線の内側に立ってお待ちください〜
「〜でさぁ〜」 ドスっ!
「えっ?!」
一瞬だった。近くにいた電車待ちの他校の女子生徒の足に引っかかって体制を崩したのだろう。
丁度よそ見をしてる抜群なタイミング、立ち位置も悪かった。
車線に身体が投げ出されて、目の前にディーゼルの顔が……せま グチャ!!ガタンゴトン……
不思議な夢を見ている気がした。
私は赤ちゃんの鳴き声で意識?を取り戻した。
そうか…コレは走馬灯?いや流石に記憶にない赤ちゃんの頃から振り返るか?普通…
「あらぁ〜お父上に似てらっしゃいますね〜女子なのが信じられないくらい身体付きも良う御座いますね」
???!!???
え?誰?走馬灯?じゃないの?
「ちょ……はぁ…はぁ…貴女早く私にも見せなさい。私の子供……」
「あぁ…申し訳ございませぬ、奥方様御覧くだされ元気な女子に御座います。」
そういうと私の身体らしいものは宙を舞い、可憐な女性の枕元にそっと置かれた。
「はぁ…はぁ……んん。嬉しい、また生まれてきてくれた。ありがとう、私の赤ちゃん」
???????
え?いや、誰?!
マジ誰?あとまさか、生きてる?
試しに声を出す。
「オギャアァァァァァァ!!!」
……………なにコレ?どゆこと?
「あらあら、んん…ちょっと、待ってね。今お乳をあげるから…」
再び身体が宙に浮き、母親らしき方に抱き抱えられ、母乳を与えられる。
次第に心地よい気分になりうとうとし始めた……
「はぁ…あらもうお腹いっぱい?お疲れ様。お眠よね、ゆっくりおやすみ…」
背中をさすられながら、私はそのまま眠りに落ちた。
数時間後
「馬鹿もん!!何故男子ではないのじゃ!!」
何処からともなく響く大きな音で自然と目が覚めた。同士に身体が勝手に泣き叫びだす。
「オギャアァァァアァ!!!!」
「あぁ、すまん。ありがとう、例を言おう……じゃが、どう考えても男子が産まれる余興であろうて、何故女子など……」
着物を着た物凄くイラついてる顔をしてる男性と母親らしき人、付き人らしい方が揉めているようだった。
涙でうるうるの視界をよく凝らして見ると、和室なことが分かった。
明らかにおかしい、喋り方もまるで時代劇。
いや、おかしいのは自分。
私は今、間違いなく赤ちゃんになっているようだ。
正直ありえないし、信じられないけど、多分転生って奴?なのではないだろうか…
「そなたは今日がなんの日か分かるか?!」
「毘沙門様の御日で御座いますよね…」
「其の通り!今日は寅年寅の日、寅の刻!こんなにめでたい事はない!ほんの少しまではそう思っておった!」
「申し訳ございません」
「謝るな!!もし真に今日産まれてきたら、将来定景の右腕として立派な将に成長出来るよう願い、この名を用意しておったのだ!!」
そうして男は持っていた紙を投げつけた。
紙には『命名 虎千代』と書かれている。
母親らしき人のお付きの人が慌てて紙を手に取り読み上げる。
「命名 虎千代…」
…え?ま、まさか…いやそんなはずはね……
「そうだ!其方が毘沙門様の話をした時は、ワシにはまだ御仏様がついておる!戦神が味方におると勝手に喜んでおったが、杞憂だったようじゃ!」
「まぁ…まぁそうおっしゃらず、お顔をご覧ください。ほ、ほらこんなにも愛いらしい…」
そうしてお付きの人に抱えられながら父親らしき人を見る。
「殿にそっくりで御座いましょう?」
「………女子の名など、考えておらぬ。また来る…」
そう言い残し、父親らしき人は部屋を後にした。