2.診断
適正魔法診断とは、15になる少年少女が受ける診断だ。
自分の魔法役職が決まるため、今後の人生を左右する。
努力で変えられない事も無いが向いていない魔法を極める事は極めて難しい。
有名なのは回復が強い「僧侶」や魔法攻撃に長けた「魔法使い」などだ。
ナズナは親から、先祖のどこかにドーナツを生み出せる「ドーナツ師」に診断された人も居たと聞いたことがあった。
ドーナツ師は嫌だなと考えながら扉へ歩みを進めたナズナは、気がつくと少し広い部屋に出ていた。
一人知らない男性がいるが、恐らく魔法を見極めるのが上手い「診断師」になった人である。
男性はナズナの顔をちらりと見る。
「いらっしゃい、ナズナ様でしょうか」
「はい」
「俺は診断師やってるシッポね、そんな堅苦しくなくて良いよ」
緊張でガチガチだったナズナは安堵した。
「座りな」
診断師のシッポは基礎魔法でシンプルな椅子を出し、ナズナはそっと腰掛けた。
「まずは…子供には母親の適正魔法の遺伝が多い。母親はは「召喚士」で合ってる?」
「はい、よく間違ってヘンな虫召喚してます」
ナズナは図書館でなんとなーく下調べをしていた事にホッとし、決めていたセリフをなんとか思い出しながら話す。
その後、親族の適正魔法などを聞かれていった。
「ありがとう、次は実践」
「え?」
ナズナは全く知らなかった。まさか魔法を使う診断があるなんて。
少年少女はこの日まで一切魔法を使う事が出来ない。
彼らが魔法を使うのに必要な魔力は、管理されていたからだ。
特に初めて使う魔法には適正魔法の影響が出るためである。
ナズナは想定していなかった診断(なお、図書館で調べた際にもう2ページめくれば載っていた情報だ)に冷や汗をかいた。