1.到着
今日で15になる少年少女が続々と集まる建物。
そこに一人、苦しそうに走ってくる少女がいた…
軽く周りの視線を浴びながらガッツポーズする彼女は主人公のナズナである。
「(あ、遅刻しかけてる人だ…)」
「(見なかった事にしてあげよう…)」
「(見てたら可哀想かな…)」
ドンカンである彼女は周りの優しさに気が付かない。
彼女が立ち止まった瞬間、重厚な扉が音を立て開く。
集まったメンバーは続々と扉の中へ入っていく。
ギリギリ間に合った事にナズナはもう一度ガッツポーズする。
「(クセかな…)」
「(嬉しそう…)」
ドンカンである彼女も今度は視線に気が付いた。
「!」
ナズナは気が付かなかった事にし、適当に近くにいた知らない少年の後ろに隠れながら歩いた。
入っていくと魔法により一人一人にアナウンスが聞こえる仕組みなので、自然にナズナの耳に女性の声の案内音声が流れる。
「ナンバー465 ナズナ 様
右手の扉に ナンバーを告げて下さい」
右にやたらと目立つダサいレインボーの扉があり、そこに人々は向かっている。
それにナズナはなんとなくで着いていく。
「ナンバーよんひゃ…465」
朝から誰とも話していないので舌がもつれるが、無事に扉の魔法は聞き取ってくれた。
ピカッと鮮やかな色に光った扉へとナズナは歩みを進めた。