集会の場所ー⑦
「どうだった?」
病院から数分離れた平原に白井さんのジェット機が止まっていた。
乗り込むなり白井さんに聞かれる
「ぐっすり寝てた」
「まぁこの時間だもんな~」
「でも、手術成功したんだね…」
「うん~移植手術だって言ってたかな。俺がコッソリ見た時は手術前だったはず」
「そっか…」
「起きなかった?」
「うん。でもお土産置いてきた」
「へぇ~でも来たなら起こせよって言われそうw」
「確かにw」
二人で空の帰り道、殆んどの会話はゆきんことのものだった。
「お土産何にしたの?」
「ん~~~……内緒!」
「なぁんで~?」
「えぇ~~~だってさぁ~~はずぅかし~~じゃん!」
「言えよぉ~~」
相変わらずアホらしく舌っ足らずに喋り出す。
でも今回は白井さんでも言えないかな…
離れていた分だけの想いがあるから
ゆきんこと離れてからのこの数か月で、ロスサントスでは色んな事があった。
ゆきんこの居ないロスサントスでの出来事
俺の想い出がゆきんこに伝わればいい…
白井さんの操縦するジェット機で、数時間で今在る我が家ロスサントスに戻った。
アジト前の飛行場に無事着陸すると皆が駆け寄ってきて「おかえり」の言葉が溢れかえる
俺の居場所に帰ってきたんだと自覚しつつ
本当にゆきんこはここに居ないんだと思い知らされる。
今まで愛しく触れていた髪や頬の感触が夢だったかのような…
切ない気持ちになった。
「ゆきんこに会えたー?元気そうじゃったか?」
ナリエルが傍に寄り優しい声色で聞いてくる。
「いや、行ったの夜でさ……寝てた」
「そうか~…でも渡せたんじゃろ?」
「うん!全部病室に置いてきたよ!」
「うん~~ありがとなぁ安城」
「いやいやこちらこそだよ、ナリエルもありがとう!」
お互いにお礼を言い合う傍ら白井さんは不思議そうにしていたが、
実は今回のプレゼントにはナリエルの協力もあった
というのも、別れる前にダークヒーローとしてではあるが
ゆきんこからプレゼントをもらっていたナリエルは
また自分からもプレゼントをしたいとも申し出てくれた。
それだったら一緒に贈ろうと集会に行く前に準備をしていた
ナリエルと俺のプレゼントが
ゆきんこに少しでも喜んでもらえたらいいな…
「プレゼントで少しでも元気になったらいいなぁ」
「そうじゃな~」
二人で空を見上げながら、ゆきんこが帰って来るのを願って
ゆきんこの笑顔を思い浮かべた。